転載も目的次第?

あーなるほど。
今回の転載問題については単に「情報を広める」ことを目的とした行為と考えていたから、「なんでリンクじゃ駄目なの?」という疑問があったわけだが、確かに「リンク集というコンテンツの価値を維持する→リンク切れ防止が必須→予め転載してそっちにリンクする」という発想であれば、転載の意味も理解できなくはない。
ただ、これをやってしまうと「リンク先のリンク先」を次々と転載する羽目に陥らないだろうか。どこかで線引きが必要だが、明確な境界はない。例えばこの「サイト批判リンク集」というコンテンツの場合、批判テクストのみならず批判対象となっているサイト自体を保存しない限り、批判が的を射たものかどうか判断できず、ひいてはリンク自体の価値にまで影響することになろう。
また、(原文が「Yahoo ブログの転載機能を擁護する」なので)Yahoo!ブログに限って言えば、転載可能な範囲がYahoo!ブログ内→Yahoo!ブログ内に限られるため適用範囲が狭く、実質的にあまり有効に機能しないのではないかという懸念がある。


正直に述べれば、他者のコンテンツに依存するコンテンツを作成する以上はそのコンテンツの変容によるリスクも許容せねばならないのではないかと考えるので、氏の理屈には些か抵抗を覚える。だがそれはそれとして、「消さずに残して欲しい」という欲求は理解する。
現状ではサーバ領域の利用は無償ではなく、故に対価を払わなくなったものは消去される運命にある。これは無料で提供するものでも同様で、定期的にメンテナンスしない限り将来にわたり持続する保証はない。データは消えずとも、運用側の都合でURLが変更になる場合もある。それを解消する方法は唯一「Xanadu」の実現しかあるまいと思うが、ここでは追求しないことにする。
氏は儚く消えるデータの転載による保存を訴えて活動されていたようだが、2002年といえばブログの進出より前の話。今のようにパーマリンクの概念や自動的にリンクされるトラックバック機能もない、むしろ「無断リンク禁止」など著作物コントロール欲求が幅を利かせていた頃だ。そんな折に「転載したい」と言われて承諾するサイトはごく少数だろう(ミラーの必要性があるような大手などは別として)。剰え、批評サイト周辺というのはどちらかというと技術に疎い、理論より感覚を重んじる人々である(ようだ)。利を説くだけ無駄に思える。


コントロール権は兎も角、転載が法的に不可であるのは今更述べるまでもないこと。また「リンク切れによりコンテンツの価値を減じたくない」というのは、極言してしまえば氏の勝手な理屈である。こまめに手入れして新鮮な状態を保つか、諦めて定番以外をカットするか、二つに一つだ。
どうしても新規参入する批評サイトを網羅したいのであれば、ご自身でサイト批評のためのWebサーヴィスを作ってしまえば良かったのではないか。「サーバ貸します、システム貸します。その代わりログ保存して消させません」それならば転載の必要もないし(外部を取り込めない欠点はあるものの)、コントロール権も得られて言うことなし。