mixiや2chにはしばしば「知識共有系コミュニティ」が成立しており、ここでは日々質問と回答が繰り返されている。
こうしたコミュニティには必ずと言って良いほど過去の質問へのリンク集や頻出する質問をまとめたFAQ、「スレ|トピ立てるまでもない質問用」のスレッド|トピックが存在する。それは何故かと言えば、ストックされた情報へ誘導する筋道であり、双方の労力を軽減する有用な手だてだからだ。
「ググれ」と一蹴するのは、そうした労力を無為にし、またちょっとした労力負担さえ厭う怠け者のユーザーに対する当然の反応であろう。検索の方法さえ分からない超初心者である可能性は否定しないが、そういう人達はそもそも知識コミュに飛び込む前に学ぶものがある筈だ。
また「教えてください」など中身を反映しないタイトルでの投稿が厭がられるのは、一見して内容が分からないために情報の有用性が低くノイズになりがちだからだ。
こうしたことは普通、どのコミュでも冒頭に注意書きされているものだが、何故か無視されることが多い。きっと日常的に、説明を読まない/聴かないユーザーなのだろう。そういう人はむしろ、少し叩かれて学んだ方が良いのかも知れない。
ところで知識を持っていると自負するユーザーは少なからず教えたがりでもあるので、最初から「初心者に教える」ことを前提に成立したコミュニティならば両者は共存できる可能性もある。代表的な例でははてなの「教えてはてなダイアリー」やmixiの「こちらミクシィ探偵事務所」などがあるが、いずれも教えられたい人と教えたい人のコミュニティであり、他では反発しがちな両者が巧く共存している。
これには
- 知識系コミュでは初心者メンバーに成長を期待するが、教えるコミュでは期待しない
- コミュ全体としての成長のような目的がない。教えたい欲/教えられたい欲を充足して終わり
- 1回教え/教えられて終わりの後腐れ無い関係
- 利害関係がないので責任もない
- 偶々教えられる時に教えるだけ/教わりたい時に質問するだけで責任もないし、固定メンバーのようなものもない
- 答えるべき範囲が狭いと教え側が固定されがちだが、広いとまったく不定になる
といった事情が深く絡んでいるものと思う。
この中で特に重要なのは、実は「質問者と回答者の関係」及び「利害の不在」ではないだろうか。
人力検索はてなのような有料検索サーヴィスも教えるコミュニティの一つと言える。これは答えを教えてもらうのが目的のサーヴィスだから「ググれ」という答えは存在しないが、にも関わらず結構荒れ易い性質がある(少なくとも、かつては。リニューアルでそれが変化するかどうかは経緯を見守りたい)。それは多分、「質問者が回答者より偉い」という位置関係に問題の源があるのではなかろうか。
質問者の方が偉い構造になっているのは質問者から回答者に報酬が払われるからだが、結果として争いに発展することがある。質問者の「金払ってこれかよ」対回答者の「労力かけてこれっぽっちかよ」的な感じだろうか。
教えてはてなではこれを、教える側を「偉い人」と位置づけることで解決している。「偉い人、ありがとう!」そこに報酬はないが、満足感はある。些細なことかも知れないが、教えて君でしばしば問題になる点のひとつが「訊くだけ訊いて感謝もない」だったりするので、有用なやり方と言えよう。
探偵事務所では誰にも解けなかった謎はその旨の説明なくスルーとします
で回答側の責任を軽減。また「それくらいググれ!」という類のコメントはご遠慮ください。万が一、そう思った場合はこっそりと心の中でつぶやいて優しくスルーしてあげてください。
依頼数が膨大であるため重複トピ(依頼)立てに関しての厳しい言及はご遠慮ください。
などの注意書きで質問者への配慮を行なっている。
これらの手法がそのまま知識共有系コミュで有効に機能するわけではないが、幾許かの示唆にはなるかも知れない。
まとめ切れなかったが、ひとまず。