はてなSNSへの嫌悪とか

様々な人がはてなSNSに嫌悪感を表明しているのだが、今ひとつその理由が良く解らなかった。
ひとくちにはてなSNSへの嫌悪といっても色々あるようで、それらを十把一絡げに扱っても仕方ないので個別の例を引いてみたい。


連想プロフィールに出てきたキーワードに注目。(中略)実験だか何だか知らないけど、身に覚えがないにも程がある情報を如何にもワシに関するものの様に表示されても困る。表示される情報をこちらでコントロールさせてはくれないのか。といふか、「連想プロフィール」の意味がそもそも分らない。何を示してゐるの?
なるほど。yms-zun氏の苛立ちは理解できた。実はこの連想プロフィール、どういう条件なのか私のところでは表示されない(他人をみた場合しか見えないのかも知れないが、adramine氏にも表示されていなかった)のでその存在に全く気付いていなかったのだが、確かに勝手に押し付けられた感(しかも的外れ)はどうかと思う。
この的外れ感はAmazonのお薦めなどにも度々感じることだが、はてなSNSの表示で問題なのはそれが自分へ向けたものではなく他人に向けられたものであるということだろう。自分の与り知らぬところで勝手に捏造された紹介が為されている苛立ち。
せめて、連想プロフィールに「はてなが自動的に付与したもので正確さを欠く場合があります」とでも断り書きがあれば随分違うのではないかと思う。

理由1:SNS自体僕は大嫌いだから(id:rir6:20040821:1113913544参照)
理由2:そして、例え嫌っている人でもこのサービスをはてなユーザーは全員拒否することが出来ないから(http://i.hatena.ne.jp/idea/8786参照)
rir6氏のこれははてなSNSについて根本的に誤解しているとしか思えない(氏は過去にSNS(主としてmixi)が参加者の招待でしか新規参入できない点をして「俺達の知り合いを知り合いに持たない奴等なんてみんな荒らし野郎に決まってる!」っていう偏見に基づく選民主義と切り捨てているが、それがSNSへの嫌悪の理由なのだとすればオープンなはてなSNSを嫌う理由がない)ので考慮の必要はなさそうだ。
はてなアイデアのコメント欄を参考にキーワードを含む日記/エントリを含む日記を見て回ったが、他に有意な反対意見は見出されなかった。
その他、結びつけを想定していなかったユーザーデータがひとまとめに表示されてしまうことについてid:mutronix氏か何方かがコメントされていたような気がするが、見つけられなかった。尤もこちらは、元々公開されている情報でありだれでもそれを実現できる状態だった(実際にはてなSNSは第三者によって作られたものが元となっているし、そもそも手動で各サーヴィスの同一IDページを開いてみることも可能である)以上、問題になるような性質のものでもないと考えているのだが。
以下、焚書官の日常(5)2006年2月28日分のコメント欄より。

サービス提供者と関係ない第三者による情報集約というのは、わたしの姿が外からどう見えているか、というのを鏡に写してくれるようなものですね。
(中略)
サービス提供者が新しく集約のビューを作るときに対応する喩えが思いつかない…強いて言えば、入居してるところの大家が勝手に、自分の部屋の壁のある面を鏡にしちゃった、というか…。
(中略)
「鏡が正しく映っているか」という問題ではなくて、「鏡の置き場所」「これから予告なしに鏡を設置される可能性」あたりが問題なんじゃないかと思うんです。
(中略)
自分が気を配るメディアが一つ増えたことに対してむかつく、ということだと思います。

三者の個人的なまとめであれば、それは概ねわたしの姿が外からどう見えているか、というのを鏡に写してくれるようなものと言えると思う。必ずしも発言者個人が特定されない、件のはてブ人物辞典@wikiのようなものでも、ある程度は何らかの意見反映と捉えられるだろう。
しかし自動的なデータの集約による纏めは、誰が作ったかに関わらず鏡とはなり得ない。出力されたものは自分自身がエントリしたものに他ならず、他人の目を反映していないからだ。
また、公式・非公式に関わらずこれから予告なしに鏡を設置される可能性は存在する。鏡の置き場所については好みの問題だと思うが、考えようによっては本人の与り知らぬところに設置されてこっそり運営される方が陰湿だ。
最後の自分が気を配るメディアが一つ増えたことに対してむかつくについて。はてなSNSはこれまでのはてなサーヴィスの中では異質な、「使う前から結果ができ上がっている」サーヴィスである。そのことにはコメントがあるまで思い至らなかったのだが、言わば他のサーヴィスが「気に入らなければ利用しなければ良い」ものであるにに対し、はてなSNSは「その気もないのにデータができ上がっている」。その違いは大きいのかも知れない。
確かにはてなSNSのデータというのはこれまでユーザーが各自の判断で公開してきたものであり、それを集約したからといってプライヴァシーが侵害されているわけでもなんでもない筈だ。その意見は今でも変わらないが、同時に「サーヴィスを拒否できない」という点の居心地悪さについては得心がいった。