TrackBack2.0

昨日関心空間の日記でトラックバックの関心空間起源説を書いたが、その関連で考えたこと。


昨今、言及を伴わぬトラックバックのあり方について議論が巻き起こっているようである。
大まかに言って、現在のトラックバック利用法には以下の3種類があろう。

  1. 他のエントリに触発されて書かれたエントリからの言及通知
  2. エントリのメインテーマに関連する語で検索した結果に対して為される関連通知
  3. 内容とは無関係に閲覧可能性を高めるためだけに無作為に送信されるトラックバックスパム

3は論外として、問題視されているのは2を正当なトラックバックと認めるかどうか、である。(参考:トラックバックをめぐる4つの文化圏の文化衝突――「言及なしトラックバック」はなぜ問題になるのか[絵文録ことのは]2006/01/06)
これを松永氏は文化的衝突として解説されている。双方の主張についてはもうこれ以上言うべきことも無いし「見解の違い」である以上解決策も無いのだが、見ていてつくづく思ったのが「日本人には相互のつながりが性に合うのだな」ということ。トラックバック本来の意義を理解している先鋭的文化圏の人間以外は基本的に広範囲に相互トラックバックし合うという性質を見ても、それは裏付けられるだろう。


で、その構造をどこかで見たような……と考えて思い出したのが関心空間の「つながり」であった。
関心空間はブログではなく、商品やサーヴィスをキーワードとして登録する一つのデータベースである。その性質上、キーワード同士が「言及」し合うようなことはまずないが、何らかの関連性は見出される。それを結びつけるのが「つながり」機能である。
つながりのトラックバックとの違いは、

  1. トラックバック送信先にのみ表示される一方通行なものだが、つながりは双方に作用する
  2. トラックバックと違い「つながり」の理由が書かれる

の2点であろう。そして、この二つがトラックバックに見られる文化的衝突をほぼ0にしている。


言及性の無いキーワード同士を繋ぐ「つながり」機能では、当然ながら含まれるキーワードを軸にした関連トラックバック的なつながりが基準となる。例えば「iPodつながり」「Macつながり」のように。この性質ははてなキーワードを介したそれに類似している(というか、はてなダイアリーキーワードの源流は関心空間のつながりにあったはずだ)。
前提として言及性が要求されていないので言及不在による問題は生じようも無いのだが、「メーカーが同じなだけ」などのごく緩やかなつながりも許容される理由の一つは、それが双方向であることにあろう。
トラックバックでは送信先にTB元が表示されるのみであり、人の流れはTB先→TB元への一方的なものとなる。感覚的には「客を奪う」機能とも言えるもので、だからこそこちらからリンクを張った先にしかTBすべきではないなどの意見が聞かれるのだが、つながりは繋げた元キーワードにも繋がった先のキーワードにも表示される双方向のものだから、人の流れは一方的にならない。見方を変えれば、人気キーワードに繋げることで閲覧可能性を増やすことができるとともに人気キーワードには自然とリンクが増えて人が集まって来るという、双方に利のある構造になっているわけだ。
そしてもう一つ、つながりの理由である。トラックバックでもRSS等の利用で言及元の内容を部分的に表示すれば関連性を理解し易くなるかも知れないが、これはあくまで機械的なものであり的確な表示に繋がるとは限らない。しかし人が入力する「つながり」に於いては何を以てつながりを見出したかが明示されるため、関係性が明確である。


つまり、この二つの機能を盛り込んだ新たなTrackBack規格「TrackBack 2.0」を制定すれば、spam以外の文化的衝突はだいたい解消するのではないだろうか。
……しかしそうなると、TrackBack1.0以前に関心空間では既に2.0が実装されていたことに……?