はてブのホットエントリは集合知とは無関係 - sta la staに於いて、はてなブックマークの「集合知」性に疑問が突きつけられている。
具体的には、ユーザーがホットエントリ/注目エントリリストからブックマーク対象をチョイスする傾向が強いために、フィルタが歪められているのではないか、といったことだと理解した。
ホットエントリ(人気エントリー)に掲載された記事は否応無く注目度が高まる。ホットエントリーはブックマークのトップページ最上段に位置し、簡単に入れ替わりはしないから長時間露出することになる。そして、それを目にしたユーザーによってブックマーク数が一層押し上げられる。
この現象は注目エントリでも発生するが、こちらは閾値が3〜5ブックマークと低いために刻々と書き変わり、一つのエントリが長時間上段を占めることは無い。とはいえ、注目ブックマークに載ることで加速し人気ブックマークに載る例も珍しくはないだろう。
提起されている問題点は二つに分けることができる。
一つは、はてなブックマーク自体が情報源となっている実態。閉鎖空間内のみで相互に作用を続ければ、徐々にミームは劣化し澱みだけが残る危険を伴うと考えられる。
これが「まとめサイトを参照してまとめを書く」的な二次=三次参照の形を採るならば問題だろう。しかし実際には、はてなブックマーク自体はURLの羅列に過ぎず、情報は外部のソースを参照することになるので、確実に外部情報が取り込まれ劣化は抑えられる。
もう一つは、注目を促す構造による加速度的なブックマーク数の増加がもたらす、フィルタ性能の劣化である。これはブックマークの役割をどう捉えるかに拠って来る。
?Bのブックマーク数というのは、瞬間的なGoogleページランクのようなものだ。ページランクがリンクの収集により比較的長期的な人気ページをリストアップするのに対し、ブックマークは長くても1日程度のごく短期的な人気をリストアップするという違いこそあるものの、基本的な役割はあまり変わりない。
Googleのページランクでは被リンク数と加リンク数(「被」の対義を思いつかなかったので、被害/加害の例に倣い「加」としておく)を用いた再帰的な計算が為されているが、?Bでは同じことをユーザー同士の再帰的相互影響性によって(結果的に)実現しているのではないか。
……というのはまあある意味ネタに過ぎないのだが、情報の出所がどこであれいちユーザーの視点というのは常に偏っているし、故にそれを集合させて(母集団の中では)偏りを無くした情報に無意味と思えるエントリが多いのは当然であろう。優位なエントリの割合が極端に多いのだとしたら、その情報源はあなたの好みに合わせて偏っているのだ(それを積極的に実現するのが「お気に入り」機能なわけだが)。