都市伝説検証:有楽町線

http://d.hatena.ne.jp/enmotakenawa/20060124/p1より。
この「有楽町線軍事路線説」はまことしやかに囁かれており、実際納得の行く材料も多い。陸自朝霞駐屯地横の操車場、皇居や国会議事堂など重要施設の傍を通るルートなどは、如何にも有事の際の拠点防衛を視野に入れた作りに思われる。
この噂の真偽を検証してみたい。


まず、「有事の際に戦車が走る」という点。これは全くのデマだろう。
戦車は舗装路の走行に向かないから、コンクリートアスファルトの上を(戦闘中以外に)直接走行することはまず無い。舗装を掘り返して破壊してしまうし、なにより履帯が傷むからだ。
通常、長距離の輸送には専用のトレーラーが用いられるが、この貨車がトンネル内を走行することは不可能である。
90式戦車の全幅は3.4m、やや小型な74式でも3.1mある。対して地下鉄の車幅は2mちょっと。どう見ても通れるわけが無い。
ただし陸上兵力は戦車だけではなく、市街地に於いてはむしろ歩兵が主力である。それらを輸送する手段としては適していると思えるので、噂のすべてを否定する根拠とはならない。


次に、朝霞駐屯地との関係について検証する。
地図で朝霞駐屯地を探すと、すぐ北に和光車両基地が見える。確かに、車両を徴発して兵員輸送に利用するには最適な位置だ。
では、駐屯地からはどんな部隊が動員できるのか。Wikipediaほかの情報に拠れば朝霞に駐屯しているのは主に東部方面隊、その衛生・通信・会計など後方任務を担当する部隊ばかりのようだ。有事に際して即時動員される戦力とは思えない。
また乗り入れしている西武池袋線沿線の航空自衛隊入間基地にしても、主戦力は陸上兵力ではないので道路線で移動させる理由があるとは考え難い。


こうして見ると、実際には最大の根拠が最も薄弱であることから、この伝説が単なる噂に過ぎないことがほぼ断言できる。