イントラブログとしてのはてなグループの可能性

先日の飲み会で少し語ったのだけれど、そう言えばずっと公開しそびれていたことを思い出したので書いておく。


ネット界隈ではブログという言葉が定着して久しいが、人口に膾炙したと言うほどでもないようで、ビジネス界隈では一部で対外的なマーケティングツールとして使われる他はあまり知られていない。
そんなブログをイントラ上でグループウェアの代替として使おう、というのが「イントラブログ」である。
最近では専用にシステムを開発した日立のBoxerをはじめ、[ドリコム]やシックスアパートなども参加してマーケットの形成を模索しているようだ。


イントラブロググループウェアの狙うところは非常に近い。いずれも社内での情報共有ツールとしての需要を前提としている。
しかしグループウェアが静的なデータの蓄積とトップダウン的な情報の集約/発信を得意とするのに対し、イントラブログは個人の持っている「ちょっとした」情報が気軽に、動的に発信されるという違いがある。
つまり、イントラブログではこれまで以上に「情報というほど纏まっていない」情報の断片が社員から引き出され、またそれらがRSSリーダーなどをによって拾い出され、これまでにない情報のつながりが生み出されるのではと期待されるわけだが、反面情報の蓄積と整理が明確に為されない問題点がある。
イントラブログについての過去の公演などではそうした静的情報蓄積の弱さと、それに対する各社の提案が為されたわけだが、それを聞いていて真っ先に思い浮かべたのははてなグループであった。


はてなグループでは動的な情報を日記で、静的な情報をキーワードで蓄積し、文章内で受動的に関連情報と結びつけることができる。つまり(不完全ながら)イントラブロググループウェアの双方の利点を兼ね備えていると言えるのではないだろうか。
例えば、営業日誌程度の情報を個別に日記上で書いて、その中で特に説明を要する専門的情報をキーワードとしてストックする。誰かの営業日誌でその話題が出てくれば二つが結びつけられ、場合によっては適切な他部署の担当者に仕事を引き継ぐこともできる。


また、情報の連携としてはある意味で情報そのものよりもそれを発信した「人」の方が重要である。「こういう知識を持った人がいる」という情報が直接つながりのないところから引き出せれば、部署を超えて人同士が繋がることで新たな価値が創設され、ゆくゆくは縦割りな部署制ではなくプロジェクト単位でのチーム制など、柔軟な運用も可能になるかも知れない。


無論、そうしたシステムを他者で実装しても構わないのだが、はてなは既にその原型を持っている。それを有効に活かさぬ手はなかろう。小規模ならASPとして、大規模ならライセンス販売/カスタマイズとして、積極的に売ってみても良いのではないかと思う。
まあ、実際に「グループウェア」の代替として捉えるには、今ひとつ日記以外の機能が弱いような気もするが。