PLC(電力線通信)は是か非か

総務省PLCに関するパブリックコメントの締め切りが3日後に迫っている。
PLCとは、家庭用の100V電線に信号を載せる通信規格のこと。元の規格は結構古く、まだISDN/56kモデムが一般的だった頃に高速通信技術として登場したのではなかったか。
メリットとしては通信用ケーブルの敷設を必要とせず既存設備を利用できること、また20Mbps程度の高速通信が行えること。
現在ではインターネットに関してはADSL他の高速通信手段が確立されているためあまり需要はなさそうだが、将来的にインターネット家電によるホームネットワーキングを考える時、台所や洗面所などにまで通信ケーブルを敷設するよりは既存のコンセントがそのまま使えるシステムの方が望ましいということだろう。そのため総務省や家電業界あたりが規格制定に乗り気であると伝えられる。
デメリットはアマチュア無線や短波放送、それに電波天文観測で使用する周波数帯と競合すること。有線通信とはいえ信号送信を前提にシールドされたケーブルを用いるわけではないので電磁波が漏れ、これらが前掲の通信や観測に影響を与えるであろうことは想像に難くない。
また、漏洩電波が医療機器などに与える影響についても調査が進んでいないのは気になるところだ。


デメリットの影響を受ける層は多くはないが、これらはPLCが普及すれば直ちにその影響を被るだろう。
一方でメリットの方は、直ちに発効するというわけではない。インターネット家電は現段階ではコンセプト以上のものではなく、普及には少なくともあと10年はかかるとみられる。その頃には恐らく家庭内LANとして無線ネットワークが発達し、電力線通信技術は無意味になっていると考えられる。
なにもわざわざ新規格を作らずとも良いのではないだろうか。