ポータブルなシン・クライアント、という妄想

銀行でMacをシンクライアントに採用するなど、パーソナル用途でない分野でMacの利用が拡がっているようだが、パーソナル分野での利用に付いても考えてみた。


今後増加するであろう家庭内でのPC普及を考えると、シンクライアントは一つの理想的環境とも言える。音楽データやデジカメ写真などがメインマシンにストックされ家族で共有される状態から、それらデータやアプリケーションをすべて集約するサーバーへの移行。アプリケーションは一本導入すれば済み*1、アップデートも楽になる。
データは共有可能だが、プライヴァシーに関わる部分を鑑みてパーソナルな領域を設けても良いだろう。


一方で、常に端末が固定されている社内業務用と違い、家庭での利用形態はむしろ無線LAN+ポータブル機器による場所を選ばぬ利用にシフトすると思われる。自室や書斎でしか利用できない有線/デスクトップ環境より、居間でも寝室でも自由に通信可能な無線環境の方が明らかに優位であり、普及には時間がかかりそうだが一度得たら手離せないものになるのは確実だ。
そうなれば、当然環境をそのまま外に持ち出したいという考えに行き着く。パーソナルコンピューターであればアプリケーションもデータもすべて持っているから簡単なものだが、シンクライアントとなるとサーバーに接続していない状態では無力な箱である。
この問題を解決する一つの方法は、端末に限定的なアプリケーションとデータ記憶領域を内蔵することである。但し、そうしてしまうとアプリケーション/データの管理を一括できるメリットは失われる。両立のためには、それらを一時的な保持に止め、接続時に自動で同期するよう設計する必要がありそうだ。
もう一つの手段として、Web上にアプリケーションと記憶領域を用意する方法が考えられる。ある意味でこのダイアリー自体もその一つだが、テキストエディタや簡単なペインタ、表計算などの機能を提供するWebサーヴィスを利用する、或いは家庭内のサーバーにWeb経由でログインして機能を使えるように設定するのも良い。但し後者の場合は、高機能なソフトウェアなどは現実的に利用可能なほどの通信速度を確保できないだろうから、極めて限定的な機能しか使えないことになると思うが。


自宅、勤務先、公共空間、それぞれに違うネットワークに接続して用意されたアプリケーションを切り替えて利用する。そういう未来が早期に実現すると良いのだが。

*1:それに伴いライセンス条項も変化を迫られる