Amazonのおすすめに見る集合知

久々に図書館に行ける事になったので、その前にAmazonで本のおすすめリストをチェック。
長期にわたり持っている本・欲しい本を覚えさせた結果、今ではかなりの精度で私の欲しい本を出してみせるようになった。追いかけている著者の新刊のみならず、その周辺に居る似た傾向の作家が浮かび上がってくるのは非常に助かる。


あまりそういう方向で取り上げられたのを見た記憶がないが、あれは立派な集合知の成功例だ。個人個人が自分の為だけに蓄積したデータが、多数重ね合わさる事である傾向を浮かび上がらせる。ロボット検索のGoogleが人力分類のYahoo!に勝るとも劣らぬ精度を実現したのと同様、Amazonのおすすめも自動処理であるにも関わらず腕利きの司書や書店員にも勝る*1働きをする。
実際、今回私が図書館へのリクエスト用にリストアップしたのは8冊。105冊中8冊と見れば精度が低いようにも思うが、中には少なからぬ割合で漫画や技術資料などリクエス不能なものが納められている上、図書館などで既読のものが「すでに持っています」でも「興味ありません」でもなく置かれている事を考えれば、充分に高精度である。


AmazonGoogleのデータ蓄積に付いて危惧する声を聞く事がある。個人の嗜好に基づいたデータを多く蓄積する彼らによってプライヴァシーを暴かれる恐れがあるのではないか、と。
それが不可能だとはいわない。誰か1人のデータだけを取り出し詳細に分析する事は、技術的には可能だろう。
だが、本当にそうするとは考え難い。なぜなら、特定個人に付いて深く掘り下げる事に価値がないからだ。集合知の真価は互いに独立した無数のデータが重なり合う事にあるのであって、その中から一例を抜き出すメリットは無きに等しいからだ。


ところで図書館のリクエストは、不思議な事に最大20件蓄積可能となっているにも関わらず一度の申請で5件までしか受け付けない。幼児を二人抱えた身でそう頻繁に足を運べるわけもなく、これは非常に不便な事だ。
やろうと思えばWeb上でリクエストを受け付けるシステムもあるのだが、これの利用にはまず図書館で申請が必要で、それには住所を証明する身分証が必要となる。保険証は住所証明には適さないので、運転免許証又は住民票が必要となるのだが、免許証もなく住民票を取りに行く余裕もない人間に一体どうしろというのか。
そもそも図書館利用券作成時に住所証明しているはずなのだが、何故二重にせねばならないのか。或いは住基ネットと連動してその場で本人確認するとか。いや住基カード持ってないけど。

*1:同列に並べては司書や書店員に申し訳ないかも知れない。彼らとて、私の読書傾向を深く知ればより精度の高いリストアップが可能だろうから