整理より検索

質問の度に独立したスレッド/トピックが作成されることを良く思わない風潮がある。確かに、検索の弱いシステム等では、単発の質問が乱立することで有用な情報が埋もれてしまうという懸念は尤もであると言わざるを得ない。しかし、検索がしっかりしていないからこそ過去の有用な情報を探すことができず、新規の質問を投げかけざるを得ないという二律背反の面も。
これを解消するのは簡単なことで、要は精度の高い検索システムが備わっていれば良いのだ。そうすればトピックが膨大な数に上ろうとも気にすることはないし、また情報が探し易くなるから無駄な質問用トピックの乱立も抑えられよう。


しかし実際のところ、どんなに検索精度が高かろうとも初心者はそれを使いこなせず、また初心者故に質問用トピックを探すという発想もなく、因って単発質問トピックは量産され続ける。そしてまた、整理された状況に美しさを見出す人々は常にそうした混沌を厭い、両者の摩擦は留まることがない。


昨今、ファイルを整理できずデスクトップ(或いはマイドキュメント/書類フォルダ)にすべてのファイルを保存してしまうユーザーは後を絶たず、OSメーカー各社は整理し易い構造よりも整理の必要なく目的のファイルを引き出す検索機能に力を入れ始めた。個人的にはそれに対し多少の苛立ちを感じるものであるが、ともあれ簡単であるに越したことはない。
早晩デスクトップメタファーは崩壊し、ファイルは保存場所を定めることなく記憶媒体の海から浮かび上がるものになるのではないかという予感もある。
そしてWeb上のドキュメントもその例に漏れず、一纏まりのWebサイトとして認識されるのではなく検索エンジンに因ってページ単位で拾い出されるものになるのかも知れない-----部分的には既にそうなっているのではないかとも思うが。