FireFoxの強味、OpenOffice.orgの弱味

Microsoftのバンドル製品を押し退け急激にシェアを伸ばしつつあるFireFoxに対し、同じバンドル製品の代替であるOpenOffice.orgはなかなか受け入れが進んでいない。
Internrt Explorerは無料で配付されているが、MS Officeは有料である。バンドルされているからと言って無料で入手できているのではなく、その分がPCの価格に上乗せされているだけだ。百歩譲ってそれを無料と考えるにしても、Standardに含まれないデータベースやプレゼンテーション機能は5万ほど出してPro版を購入せねばならない。
それを無料で利用できるという絶大な利点にも関わらずOpenOffice.orgが利用されず、元より無料であるIEを置き換えるFireFoxの方が広まっているのは何故だろうか。その違いを検証してみる。


ひとつはセキュリティ問題だろう。WinIEのセキュリティホールについては連日のようにニュースになっているし、技術系にそれほど明るくない向きにも「IEでWebページを開くだけで感染する」ウィルスの存在は記憶に新しい。こうした一連の流れを追い風とし、FireFoxは成長した。
オンラインで使用されることで常にセキュリティ上の問題に直面するブラウザーと異なり、わざわざ使い慣れたオフィススィートを他製品に置き換えなければならない積極的な理由はない。


もう一つは見栄え。Webの世界では、環境によって見栄えが異なることが前提として(それなりに)受け入れられているから、IEと多少見え方が違っていても致命的でなければ問題にならない。
しかしオフィススィートでは見栄えの変化は致命的だ。とりわけ日本市場では紙ベース文化が幅を利かせているから、僅かな差異も許さないユーザーが多い。見栄えを変えたくないというだけならPDFで書き出せば済みそうなものだが、編集機能を残す必要がある場合にはそうもいかない。
とは言え、これについては気にするほどではないと考える。MS OfficeのファイルはすべてOOoで読み込めるし、MS Officeで読める形式で保存できる。多少フォーマットが崩れはするが、OOoMS Officeでの非互換性程度には、MS Officeの各ヴァージョンにも互換性がない。その程度の差異に収めたOOoを賞賛すべきか、自社製品同士の互換性も維持できないMicrosoftを非難すべきか。


こうして見ると、OOoの普及を阻む要因は何もない。ただ、積極的に乗り換える要因もないというだけだ。
人は元来保守的なもので、使い慣れた環境が変化するのを頑に拒む。ヴァージョンアップによる変化は「以前より良くなった筈だ」という盲信とともに受け入れるが、他製品に乗り換えた場合は「悪くなった」という評価になる。

普及のために

では、どうしたらOOoが使い易くなるのか。
実はOOoがMS Offiseに比べて決定的に足りないもの---それは、信用とノウハウである。巷に解説書が溢れ、テンプレートが充実するMS Officeに比べ、OOoはそうしたサードパーティーのサポートがまだまだ足りない。
OOoを愛するユーザー個々が草の根的に運動して行くしか、現状を打破する方法はないだろう。


取り敢えずプレゼンテーション用のテンプレートでも作ってみるかね。