PanzerFront aufs.B

前々から目を付けていたゲームを、中古で(そこそこ)安く入手。昔、PSで発売されたマニアックな戦車戦闘ゲーム「鈍色の攻防」の流れを汲む戦車戦シミュレーターである。
「鈍色」では(マイナーメーカー故の工夫だったのだろうか)変にキャラクター主体のストーリー展開が行われ、またそれなりに敵撃破の爽快感を演出する感があったが、PanzerFrontシリーズはもっとストイックである。台詞も音楽もなく、粛々と戦闘が行われる。
レーニングマップすらハードで、いきなりIII号戦車でMk.IIと戦わされる*1。Mk.IIの装甲を打ち抜ける切り札の硬芯徹甲弾Pzgr.40はほんの数発しかない。50mm砲では敵の装甲を貫くことができず、弾を撃ち尽くして数回やり直す。


Pzgr.40は近距離に於ける貫徹性に優れるものだが遠距離では通常徹甲弾より劣るらしい(砲弾については守備範囲外であった)。そのため、200mという戦車戦とは思えないような距離まで接近しないとまともに効果を発揮しない。当所敵の砲威力を恐れ遠距離線を展開していたが埒が明かず、至近距離にまで切り込んでみたら割合あっさり撃破できた。


愈々実戦である(トレーニングとて、いきなり実戦に放り込まれるというだけのことではあったのだが)。マップ(大体10km四方か)はフランスの小さな町を二つ含む広さで、ここに結構な数の戦車が揃う。これなら勝てる……と思いきや、指揮車両はII号戦車*2。これは結構辛い。
幸いにして敵には戦車は殆どないようで、対戦車砲を機銃で掃射しつつ先へ進む……のだが、なにしろ戦車と違って人間はシルエットが小さく遠距離からでは狙えない。かといって近づくには、II号の装甲は弱すぎる。
まあ今回は味方が皆III号で指揮車両がII号だから、最初から地震の戦果など期待されては居ないのだろうが。
II号は軽戦車だけあって足まわりはIII号より速い。うっかり突出しすぎて対戦車砲に撃破される。


連合軍に恐怖を振り捲いたVI号戦車Tigerの存在と卓越した戦車運用法が「ドイツ戦車は強い」という印象を創り出しては居るが、実のところ初期のドイツ戦車はかなり貧弱である。その頼りなさを実感できるという意味でも貴重なゲームと言える。

*1:戦車マニアでない人向けの解説:III号戦車はドイツ軍の、装甲も武装も貧弱な当時の主力戦車。Mk.IIはイギリス軍の重装甲戦車

*2:対戦車にはまず通用しない20mm機関砲と薄い装甲しか持たない軽戦車