音楽ケータイは「iPodの死角」を突けるか?(前編)(後編)

iPodの弱点がPC依存にあるのは確かで、だからこそ直接ダウンロードによりPCを介在しないアプローチを……ということなのだろうことは解るが、それには検索/ダウンロードまわりのインターフェイスを改善せねばなるまい。
現在はあくまで通信機能が主体であり、音楽ダウンロードはインターネットブラウジングの一部として機能するにすぎない。しかしiTMSに抗し得るインターフェイスを持つならば、これは専用アプリとして機能すべきだ。検索→ダウンロード→ファイル管理→再生をひとつのシステムでシームレスに行ってこそ、真の携帯音楽装置になり得る。


「若者はPCより携帯が身近」という点は概ね同意するが、携帯で音楽を聴く層は何らかのポータブルオーディオを使う層より圧倒的に少数だと思う。その理由は「携帯に音楽を取り込むのが大変」だからだ。
基本的に、音楽を持ち歩くユーザーの目的は「既に保有しているコレクションの再生」である。この点で手元の音源が活かせなければ意味がなく、従って音楽ダウンロードは敬遠されることになる。つまり「PCを介在しない」というメリットよりも「新たに買わねばならない」というデメリットの方が優先される形だ。
「WinnyはCDの売り上げに関係なし」慶應大学経済学部の田中助教授などとする調査結果にも出ているように、データが手に入ってもユーザーはモノの入手を希求するもので、この点でもダウンロードは歓迎されない。
但し、米国に於けるiTMSの成功のように、安さを武器にできれば今後ダウンロード販売が根付く可能性は残されるが。


さて、そうすると音楽ケータイと雖もPCでの取り込みを無視できなくなる。つまりiPod他のポータブルオーディオと同じ土俵に出るということになるが、音楽の再生に特化したインターフェイスを持つ機器に対し多機能故の汎用性を要求される携帯は操作性の点で分が悪い。特にiPodは、単体での卓越した操作性に加え、PCとの連携でも群を抜いている。この土俵上にいる限り、iPodを出し抜くのは事実上不可能と言い切っても良いだろう。


冒頭に戻るが、音楽ケータイの生き残りは検索/購入から再生までのシームレスなインターフェイスにかかっている。携帯単一で完結する音楽再生環境の整備-----それだけが唯一、iPodの成し得ない音楽ケータイの強みとなるだろう。もしかしたらその環境が整った頃には、AppleiPod Phoneをリリースしているかも知れないが。