Stella Deusの不満点とSRPG全般への要望

まずは不満点。

  1. シナリオが微妙。よく判らないまま敵軍の下について、よく判らないままそれを抜け出して反乱軍に加わる。どちらの側に付くかの葛藤なんかがあると良いのだが。
    世界設定、特に宗教観はどうかと思ったが「精霊が居なくなると砂漠化」あたりは水野良
  2. キャラが微妙。いや、殆どのキャラは非常にいい味出しているのだが、猫耳だけは許し難い。凡そどんな世界設定でも猫耳は共存し得ないと思う。
  3. メンバー選択が微妙。1マップに最大6人しか出られないのに、既に20人近い仲間が。結果的に殆どのキャラは在庫に。これは殆どのSRPGで見られる問題である。
  4. クラスチェンジが微妙。チェンジというかアップグレード。他のクラスに乗り換えたりする広い選択肢が欲しかった。能力によって持てる装備が違うようにすれば剣と斧を「戦士」に纏めたりして広い選択肢を保てると思うのだが。
    クラスチェンジには専用アイテムが必要且つ能力条件を満たさねばならないというのは面倒と思ったが、どうやらこれは訓練でレベルアップを繰り返す人対策のようだ。
  5. マップが微妙。というか強制出撃キャラとか。ただでさえ少ない選択肢が更に狭まる。
  6. エストが微妙。っていうかクエストはシナリオと一切関わらない金儲け(時にはレベル上げ)用途でしかない。こんな飾り物を入れるぐらいならいっそ全部なくすか、或いはミッション選択によりストーリーが変化するマルチシナリオ式にすべきだ。
  7. 敵行動パターンが微妙。単純に近くの敵に直線的に近づくルーチンになっているようで、高度さがあり移動不能な状態でも接近して来るものだから弓兵の餌食。また、何故かアクションポイントを無駄使いする傾向があり、わざわざ最大限移動して接敵→一歩戻るなど奇妙な行動が見られる。
  8. 方向が微妙。ポリゴン製マップは右スティックで回転可能だが、このときキャラのグラフィックが斜め4方向しか無い為どちらを向いているのか判り難い。向き決定時には矢印も出るが、これはマップの向きとの対応でなくキャラグラフィックとの対応であるため、マップの向きによっては判別つき難い。要改善。

シナリオはゲームの本質に関わりないのでさて置いて、システムでの不満点は主にクラスチェンジとメンバー選択にある。クラスチェンジについてはほぼ上で書いた通りであり、この種の傑作たるタクティクスオウガの良さ(の一つ)がここにあるのだということを世の作り手はさっぱり理解していないものと思われる。はっきり言えばお仕着せの部隊編成など楽しくも何ともないので、「自分の軍は動きが遅いが近接戦闘力・防御力抜群の壁を前面に置いて後方から弓兵隊と衛生兵がサポート」とか独自の運営方針を打ち出して遊びたいものだ。
或いは同じファイター系でも装備により行動回数が多いが打撃・防御力ともに低いライトファイターと攻防ともに強力だが動きの遅いヘヴィーファイターを作れたりすると嬉しい*1
もう一つ、メンバー選択の部分に付いてはタクティクスオウガでは「死んだら復活しない」というあっさりしたやり方で問題を克服した。即ち雑兵は死んだら予備役と入れ替わるというわけである。しかしこの方針も「死んだらリセット」派には通用しない(多分そういう人はメンバーの流動的な運用に魅力を見出さないのだろうが)*2
また、7(セブン)〜モールモースの騎兵隊〜は(SRPGの範疇に入れるかどうかは微妙な作品であるが)キャラが寿命でどんどん使えなくなって行くという大胆なシステムで、タクティクスオウガよりも強力なメンバーの強制的な入れ替えを実現している*3
そこで一つ考えたのは「実動部隊に投入しない人材は後方支援」案。例えば、盗賊系キャラは動きは速いものの攻撃力・防御力ともに乏しく、実戦に参加させても活躍させるのは難しい。必然的に予備に回されるのだが、ならば彼らを部隊の偵察兵として組織してはどうか。偵察の人に就かせたキャラの能力により情報収集能力が変化するのである。同様に兵士の一部を拠点の防衛に就かせたり補給任務に登用したりする。
……って実はこれも既にオウガバトルで或る程度実現しているような気もするのだが。

総評

上では悪い点ばかり書いたが、総体としては悪くない。画面上の全キャラの行動順が示され、選択した行動によりどこまで次の行動順が下がるか表示されるので、それを元に行動順を組立てられる(敵が1〜2体行動するまで回復役は待機/Aが側面攻撃して敵を振り向かせた後、Bに行動を譲っても敵よりAが早く動くので二人で側面→側面→側面と攻撃できる、など)のは細かく行動計画を組立てることができるため戦術性が高まる。
攻撃タイプと地形の高度さを利用し、一方的に攻撃を仕掛けることも可能。
必殺技や連携攻撃により大ダメージを与えることができ、とりわけ連携攻撃は一撃で死亡する程の威力を見せることもある。この辺りの派手さは好きずきだろうが、自分で利用することでゲーム展開を楽にし、またボスキャラの高いHPを大きく削れる反面、敵の連携に注意しないと重要キャラを抹殺されかねず、より慎重な行動が求められる。
訓練マップや合成による高レベルアイテム生成で難易度を調節できる他、それがやり込み要素ともなっている。私はクリア時半数死亡程度のバランスを好むため訓練は非使用キャラの練度維持程度、合成は全く行わないようにしてプレイしているが、結構敵が強い---シナリオクリアのみでは自軍より1〜2Lev上、人数1.5倍〜2倍程度---ため難しすぎるときはレベル上げと強力アイテムを用意して臨むと良いだろう。
グラフィックはかなり奇麗。主要キャラ以外のグラフィックは奇妙な鎧に包まれた不気味なもので、人によっては厭がりそうだが私個人は気に入った。
スキルの装備数が少ないのは人によってはデメリットと取りそうだが、組み合わせの選択を余儀なくされるのは良いことだと思う。


最終的な評価は今後の展開次第(まだ2章に入ったばかりなので)だが、現在のところ感触は良好と述べておこう。

*1:勿論ライトファイターは側面・背面への攻撃と一撃離脱を多用して効果的な打撃を加えつつも自分への打撃を抑え、へヴィーファイターはZOCで敵を足止めして致命的な一撃を叩き込むようなバランスになるだろう

*2:私はゲームに於ける死の重みを大変重要視しており、「死んだら復活しない」はおろか逐一セーブされてリセットでも復帰できなくても良いくらいだと考えている

*3:隊列に拠るパズル的な戦闘システムなど、本作には見るべきところが多い