齟齬

先日極めて短時間で印刷を強行せざるを得なかった印刷物だが、クライアント側から仕上がりを見て色味の違いについてクレームがあったようで、それを係長に事情説明する。
こちらの言い分は

  • 時間の都合で先方とはメールに添付した画像のみでやりとりを行っている
  • 画面の印象とレーザープリンターでの出力、実際の印刷仕上がりにはどうしても発色上の隔たりがある
  • 色校正を行うことである程度補正できるが、今回は時間がないので色校正は行わないと予め通達してある
  • 色については懸念がないでもなかったが、只でさえ当初のリミットから1日遅れの入稿であり、修正の暇はないと判断した

で、係長の言い分は

  • 紙に出力したものを見せて最終確認を行い、それを印刷会社に渡せばイメージ調節はできたはずだ
  • 印刷会社に訊いたら「簡易校正の時点で言われればなんとか直せた」と言われた
  • 印刷会社から渡された出力見本を先方に見せて了解を得るべきだった

彼の言い分が解らぬではない。今回は本来行うべき手順をかなり簡略化しており、それが色味の違いに結びついたというのは一面で真実である。
が、問題なのは論点が決定的にずれていることで、私は今回の依頼が時間的に極めてシビアな状態にあったこと、また食品などと違い多少の色味の違いが影響するような性質の商品ではなかったことから時間の短縮を最優先課題としたのに対し、彼はあくまで最終出力のイメージにこだわり「もっと時間を割くべきだった」と主張しているのである。その論点の違いを懸命に訴えてはみたものの相手の理解力を鑑みれば無駄なことだったようだ。最後に「とにかく今後クレームになるようなものを作るな。以上」と言い捨てられ、打ち合わせは終わった。