Vermilion考

紀元前2200年頃のインダス文明期に於いては、世界は神の創った巨大な塔の一階層にあたるもので、他の階層にもそれぞれの世界があるという「巨塔世界説」が広く受け入れられていた。
あるとき、人々は神の創りしこの巨大な塔を模倣して塔を建設しようとした。一説には次の階へ上る足がかりであったとも、神の模倣としての偶像であったともされるが定かではない。ともあれ、この行為は神の怒りを買い、人々は言葉を乱され、地上には不和が充ち、諍いにより塔は崩壊したと伝えられる。
巨塔信仰はその後、中東に伝搬して赤を表す色名vermiloiと結びついて赤塔信仰となり、また仏教とともに伝来し巨大さの象徴としてmilionが強調され百万塔信仰となる。
今日に於いては既に世界の外が星々の連なりであり塔でないことが判っているが、今なお宇宙の果てに塔の外壁があるとする信仰は根強い。


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