攻殻機動隊:続き

知人にDVDを纏めて借りたので、凄い勢いで見る。
取りあえずTV版を5巻(10話)まで見た後、映画版を掛ける。
映画版は昔2回ほど見ているが、改めて見て色褪せぬクオリティ*1に感心する。
それは作画レヴェルだけの話ではなく、むしろリアリティを持たせる演出の問題なのだろう。


例えばトグサが侵入に気付いた時の推理と演繹、あれは情報戦の白眉である。限られた情報と知識から推論を導き、そこから新たな情報を得て裏を取り、彼は僅かな周辺情報だけで侵入を証明して見せた。
適正な情報を得る手段はなにも大仰なハッキングばかりではなく、実はこんな小さな情報の積み重ねこそが重要なのだ。
残念ながらTV版は、情報戦、とりわけ関ネットワーク連の描写がややケレンに過ぎるように感じる。例えば人の形を取って入室するチャットルーム、音声データのやり取りで対談し、それに対し文字で各発話者にコメントがつく。映像的演出としてはまあ良いが、インターフェイスとしての設計はあまり誉められたものではないと思う。何十年か前のサイバーパンク初期的描写形態であり、今となっては時代遅れだ*2
そもテロを予防*3する役割を担う筈の9課が、全体を通して常に後手に回りつづけているような印象が、この微妙な違和感を呼んでいるような気がする。

*1:1995年の作品、つまり8〜9年前とはとても思えない。

*2:これについてはオマージュとしての意図的な演出である可能性を否定しない。

*3:事が起こる前に無力化