火星年代記

王立科学博物館の05「ロケットの夏」を見て以来ずっと気になっていた、レイ・ブラッドベリ火星年代記」読了。
ブラッドベリにはなんとなく古典文学的イメージを抱いていた為に今迄読まずにいたのだが、冊子に引用された一文は私を引き込むに充分なものだった。


寒い冬の朝、その力強い排気で夏をつくりだしながら、ロケットは立っていた。ロケットが気候を決定し、ほんの一瞬、夏がこの地上を覆った……

なんと詩的な表現だろうか。とても毎秒数十トンもの燃料を爆発的に噴射する暴力的な鉄の塊を指す言葉とは思えない。

けれども、内容に関しては私の印象を覆すものではなかった。叙述的ではあるが脳を揺さぶるような興奮はない。
ひょっとしたら、発表された当時は衝撃的だったのかも知れないが、今となっては非科学的な夢物語に過ぎない。それは決して悪い事ではないが、私の求めるものとは違うようだ。