理由無き戦争

私は極端な非戦論者であって、自衛隊を含めた一切の武装放棄による完全な非武装中立をよしとするのだが、それはそれとして他国の戦争権を非難する気はない。
しかし、今回の(未だ始まってはいない)戦争は、国家レヴェルで見ても筋が通っていないことを理由に反対の異を唱えたい。
そも国際法では戦争行為そのものを禁じてはいないが、際限ない憎悪の応酬になる報復戦争は禁じられている。然るにアメリカの行動は明らかに2002/09/11のテロに対する(敵を摩り替えての)報復であるのは誰の目にも明らかで、当初口実に利用するつもりだったイラクアルカイダの関係は立証されず、査察についても(今までに比べ格段に)協力的だったにも関わらずの最後通告である。仏独が反対の意を表明したのは何も国内の事情だけが原因ではあるまい。
寧ろ今回問題となるのは英西、そして日本の態度である。国連の意向を無視して独力で戦争を宣言するアメリカに、これらの国は何故追随せねばならないのか。
13年前の湾岸戦争のときは、曲がりなりにもイラクが占領したクウェートの開放という大義名分があった。しかし今回は、米軍が過去のイラクと同様の立場に立っているのだ。その点だけ見れば、今回多国籍軍に攻撃されるべきはイラクではなくアメリカの方ではないか。


幸いにして、世界的に反戦の声は高く、強硬派諸国でさえ国民感情は戦争反対の傾向が強いようだ。とは言えアメリカでは、平和を訴えるシャツを着ていることを理由に店から追い出された人が居たり、反戦を訴える作文に書き直しが要求されるなど、社会感情としての言論弾圧が顕在化しつつある。
この状況は第二次世界大戦当時の日本やドイツと酷似しており、自由の国アメリカが全体主義に染まりつつあることの証左にも思える。
憲法戦争放棄を謳っている日本に至っては、前大戦で何を学んだのかと小一時間どころではなく問い詰めたくなる。全く呆れたものだ。