海亀風味のスープ

不思議の国のアリス」に登場するウミガメモドキ。豚の顔をした海亀のようなものとして描かれているが、最近までこれが何なのか良く判っていなかった。この話を最後に読んだのはもう15年は前だから、無理もないが。


ところで、去年の末に谷山浩子のコンサートに行った。コンサートと呼んでよいのかどうか、語りと歌で構成される芝居仕立てのもの。この形式は今回で2度目で、1回目は「雪の女王」だった(そう言えばこれも細部を覚えていない話だ)。
で、2度目が「不思議の国のアリス」だったのだが、これは谷山浩子の独自訳に基き製作されているらしく、一部が良く知られたものと異なる。ここではウミガメモドキはウミガメフウミと呼ばれていた。


ウミガメフウミはつまり、「海亀風味のスープ」の「風味」ってなんだよ、偽物か、いやあれはウミガメフウミで作ったスープなんだ、というような展開で発生したものなのだろう。生物的に見れば「ウミガメモドキ」という方がそれらしいが、この成立を考えれば「ウミガメフウミ」という名ほど相応しいものはないことが理解できる。


無論、同様に鳩サブレーには鳩肉が、蟹風味蒲鉾にはカニフウミが、無果汁メロンソーダには無果汁メロンが入っているに違いない。