当日:空港〜国際通り周辺
出発の前々日に元首相暗殺事件でヴァカンス気分が吹っ飛んでしまった……だからなんなのこのタイミングの悪さ(無論、事件に「良い」タイミングなどないのだが)。
とはいえ容疑者は逮捕されており、同様の犯行が続く気遣いはない。べつに航空便がなくなったわけでなし、今更スケジュール変更もできないので、気にしないのが一番だ。投票は事前に済ませているのだし。
2時間ぐらい余裕を持って出るつもりが直前に対応せざるを得ない案件が飛び込んできたため、思ったよりギリギリに。空港内でもターミナルまでバス移動が発生し、だいぶ慌ただしい出発となってしまった。
昼過ぎの便で羽田を発ち那覇へ。
那覇空港からはゆいレールで安里駅へ向かう。
沖縄唯一の固定軌条交通機関であるゆいレールは2輛編成のかわいいモノレールであった(現在、3輛化に向け駅工事中)。駅間も空港〜次駅以外は1km以内と非常に短かく、どうやらこれは鉄道というより「渋滞しない、定刻で運行されるバス」的な存在なのだということがわかってくる。
Hotel AZATは駅の目の前(この写真には写っていない)。道の反対側には24時間スーパー「リウボウ」もあるのだが、生憎と店内改装のため休業中だった。
飛び抜けて優れたホテルというわけではないが、観光の拠点地として必要十分なサービスを備えている。
駐車場のある地階にはコインランドリーがあって毎日洗濯ができ(洗濯は1回300円、ガス乾燥機は10分あたり100円。洗剤も含め1回の利用で二人分につき700円程度)、大浴場はないが各室のユニットバスで体を洗うことはできる。
ひとまずチェックインを済ませ荷物を置いた後、夕食も兼ねて国際通りへ向かってみる。
建物がいちいち楽しく、撮りながら歩いていたら通りの中程で平和通り商店街に吸い込まれた。
Kaisouさんという2軒並びのブティックはオリジナルデザインのシャツや貝殻を加工したアクセサリなどを販売しており、デザインが素敵だったのでTシャツなど購入。
その勢いでアーケードを制覇して歩く。金沢で1日目に街を撮るのにハッスルしすぎた教訓とはなんだったのか。
途中で見付けた古い沖縄屋根 雑貨店「じーさーかす」さんでは昭和中期のおもちゃやガラス器などのほか、沖縄米軍統治時代の切手など紙ものも充実。紙好きの愛妻が舞い上がって山ほど買い込んでいた。
浮島通りから国際通りへ戻る頃にはすっかり日も暮れ、適当な居酒屋でとりあえず飯。
2日目:美ら海水族館
「ここだけは絶対行きたい」場所は先に行っておくに限る、ということで2日目を美ら海水族館に当てることに。世界最大規模の大水槽で名高い、沖縄でも有数の観光スポットである。
旭橋駅の那覇バスターミナルから1時間に1本ぐらいの割合で出ている高速バス117系統で2時間ほど。8時半から開館なので、最速なら7:10の 便で9:13着、と意気込んでターミナルへ向かったところ「高速バスのチケット販売所は7:30始業」とのことで前日に買っておかないと始発は間に合わないのだった……
仕方なくファミリーマートで朝食を買い待合室で次の便を待つ。
バスを下りるとすぐ海洋博公園である。
https://oki-park.jp/kaiyohaku/
門から真っ直ぐ開けた先には伊江島が見える。
ここは沖縄返還後すぐに日本本土復帰記念事業として行なわれたExpo'75沖縄国際海洋博覧会の会場だった場所で、とにかく広い。水族館だけでなく海洋文化館や3つの植物園、エメラルドビーチなど、ここを回るだけでも3日ぐらいは必要になりそうな規模だ。
園内のあちこちには日除けを兼ねて大きく枝を広げた植物が植えられており、思わず寄り道してしまってなかなか水族館に辿り着かない。
水族館の入口はコンクリート打ちっ放しの、神殿を思わせるような建物だった。
高台にあって、眼下には沖縄の海が一望できる。
入館すると、まずは日光の射し込む明るい水槽。ここから、大きな水槽のまわりを巡りながら複数の様相を見つつ進んでゆく。
沖縄の海には様々な生物が棲息し、危険なものも少なくない。ここでは模型を用い、光によって危険部位を見せていた。
個別の水槽も楽しい。
そして一番の目玉、大水槽。
水槽の隣はレストランになっており、悠然と泳ぐ魚たちを見ながら食事ができる。
ソーダ味のソフトにアラザンを散らした「じんたソフト」。
大水槽の先はほどなく出口。すごい水族館ではあったけど大型水槽以外の展示は思ったより控え目かな……とか思いながら館を出たら、その先にとんでもないものが待っていた。
メガマウスにリュウグウノツカイなどアカマンボウ目の大型魚、ウバザメの液浸標本である。
クジラ類の全身骨格やホオジロザメもある。
超広角があったから収められたが、なかったら危なかった。
更には別棟で亀やジュゴンなどの展示も。
そして海。
水族館を出て右手にはエメラルドビーチがあり、そちらでは海水浴も可能だが、暑くて遠出はしたくなかったのでジュゴン館そばの浜で水辺を撮影してきた。
「浜の真砂」はみんな珊瑚や貝殻なのだった。
帰りのバスは最終が17:30頃。まだ時間はたっぷりあったが暑さに堪えかねたので、明日以降に体力を温存するために諦めて戻る。本当は植物園も海洋文化館も行きたかった……次また沖縄に来ることがあればこの近くに宿泊しよう。
高速バスで県庁前に戻る。
黒川紀章設計の庁舎はコンクリート造りの細かい桟に覆われた真っ白な建物で、沖縄に特徴的なコンクリート住宅の「花ブロック」を意識しているのだろうか。
沖縄の特徴的な家屋といえば漆喰で硬めた赤土瓦に覆われた傾斜の緩い四方下がりの屋根を持つ低い平屋だが、戦後の建物はほぼコンクリート造りで穴の空いたブロックを用いて柵や採光窓が作られている。本州などでも昭和中期の建物ではしばしば見られた手法ではあるが、沖縄は現代でも一般的に広く用いられ、専用のブロックが製造されているそうだ。
沖縄は珊瑚礁などから成る石灰岩が多くコンクリート製造も盛んで、それが戦後の住宅様式にも影響しているのかも知れない。
大通りの入口に立つシーサー。
沖縄に来る前は、シーサーといえば「狛犬」のようなもの、程度の認識しかなかったのだが、実際にはもっと身近な「魔除け」の風習であるようで、ほぼあらゆる入口には、それこそ民家の門や扉からコンビニの入口、駅の改札に至るまでシーサーが睨みを利かせている。
国際通りの脇で見掛けたモッズ。1960年前後にイギリスの若者に流行ったという、スクーターを多数のサイドミラーやライトなどで飾り立てるスタイルだが、非常にセンス良くまとまっている。