大宮 中山道まつり:氷川神社例大祭

埼玉県は「見るところのない県」だと言われる。なにしろ関東平野のど真ん中、東京の北側全体にわたり境を接する位置にあり、西部を除き起伏のほとんどない平坦な土地柄である。それゆえベッドタウンとしての価値、が突出し、およそ独自の面白みというものを持たない。とりわけ大宮は、北日本へ向かう新幹線の分岐点であり13もの路線を抱える巨大駅を持ちながら、駅周辺の僅かな範囲以外にはほとんど人が向かわない、単なる通過地点なのだ。

しかしそんな埼玉県が、かつて重要な地であった時代もあった──1500年かそこら昔の話だが、当時最新の軍事技術である鉄剣に最新の文化知識である漢字を刻み、金で象嵌した国宝・金錯銘鉄剣が出土したこともある。
その時代に作られた神社が、大宮の地にある。関東にのみ広がる氷川信仰の総本山であり、この神社の存在こそが大宮という地名の由来である。縁起によれば存在の疑われる先史八代天皇の時代に作られたものといわれるが、その真偽の程はさておき我が国の文字文化よりも古い時代のものであることは間違いない。
そういう由緒正しい大社の例大祭が行なわれたので、撮りに行ってみた。
といっても神事が執り行われるのは平日の日中なので、撮ったのは夕方の山車と神輿の行列だ。

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山車は全部で5台。宮町、大門町仲町、下町、吉敷町である。
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宮町の山車は三輪スタイル。この時は獅子舞が乗っていた。
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大門町も三輪で、外周に寄付内容が貼られている。この写真ではわからないが小槌を持っていたようなので、大黒天か何かなのだろうか。
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仲町の山車は四輪で、ひょっとこが舞っていた。「神武天皇」と書かれた立て板との関連性はよくわからない。
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下町の四輪山車にはおかめ。仲町のと対なんだろうか。
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吉敷町にもおかめが。ただし演者は男性だった。
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山車の列に続いて、各町の高張提灯を持ったスカウトや手古舞、木遣りの行列が続く。
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最後に神輿行列。
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街中も祭の装い。アーケードには普段ない提灯が。
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家の軒先にも下がっている。
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到着したのは17時半、駅前の大通りを封鎖して会場とし、盆踊りの行列が舞っていた。
暗くなるまでには間があるので、ちょっと2kmほど離れた氷川神社まで足を伸ばした。
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参道はおよそ2車線の車道ぐらいの幅があり、その両脇に樹木が並木をつくっている。
今回は大宮駅で降りたので二の鳥居から入ったが、起点となる一の鳥居はさいたま新都心駅の近くにあり、境内までおよそ2kmも続く。

三の鳥居をくぐると境内である。
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例大祭に於ける神事のためだろうか、斎竹が立てられていた。
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これは何の場なのだろうか。白黒の幕は忌事を想起させるが、神事では意味が異なるかもしれない。
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本殿へと通じる橋の前にも斎竹が。
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そろそろ日も暮れてきたので駅前に戻ると、青みはじめた空に提灯が灯っていた。
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街中を練り歩いた山車が大通りに集い、舞いを競う。
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ブルーアワーに提灯。
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関東有数の大社の例大祭であり、関東有数の都市の祭であるというのに、人出はそう多くない。いや勿論大勢が参加して賑やかではあるのだが、人混みで動けなくなるようなこともなく、撮りやすい祭だった。

そろそろ祭の場を離れ、日常へ戻ろう。
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