初めてレンズ交換式カメラを買う人のためのレンズマウントまとめ

f:id:DocSeri:20180814200541j:plain
スマホで手軽に撮る写真に満足できなくなった時のステップアップとして、一眼レフやミラーレスなどの「レンズ交換式」カメラの購入を考える人は多い。
本体のレンズで撮れる範囲で済ませるしかなかったレンズ固定式のカメラと違って、レンズ交換式カメラは取り付けるレンズ次第で写りが変わるので、一台でなんでもできるし、表現の幅が広い。
その一方で、たくさんのオプションがあるために何を買ったらいいのかわからなくなりがちでもある。なにしろメーカーごとにレンズの取り付け方式が違っているし、同じ方式であっても使えるレンズと使えないレンズがあったりするので、慣れないと混乱する。
その辺りの事情を、すこしでも解りやすく整理できれば、と思ってこれを書いている。

レンズマウントの基本

レンズ交換式のカメラは、「レンズマウント」によって本体とレンズを接合する。これによって自由にレンズを付け外しでき、様々なレンズが扱えるわけだ。
ところが、レンズマウントには様々な種類があって、メーカーごとに採用している形式が違う(これにはカメラの発展史に伴う様々な理由があるにはあるのだけれど、一番大きな理由は要するに「他社の製品を使わせないため」だ)。
だから基本的にはカメラ本体を買ったら、レンズも同じメーカーのものを買うことになる……のだが、これにも色々と例外があって、たとえばカメラーメーカーとは別にレンズだけ作っているメーカーがあったり、同じメーカーにも複数のレンズマウントが混在していたり、逆に複数のメーカーが同じレンズマウントのカメラを出していたり、さらには同じレンズマウントなのに組み合わせられないカメラ/レンズがある場合もあったりしてややこしい。

レンズマウントごとの特徴

要するにレンズマウントの種類ごとに使えるレンズが決まってしまうわけで、ある意味本体の性能よりも「使いたいレンズが付けられるカメラはどれか」の方が重要とすら言える。もちろん、はじめてカメラを買う時にレンズのことがわかるはずもないので、最初は漠然と「使えるレンズは多いに越したことはない」ぐらいに捉えておけばいいと思う。
参考までにマウントごとの対応レンズ数を記載するが、こちらは2018年8月15日現在の、価格com「交換レンズ」カテゴリに於いて各レンズマウント用として表示される総数を記したものであり、価格comに登録されない商品の数は含まれていないので、実態とは多少の差があることに注意。

そういうわけで、レンズマウントごとに特徴を見ていこう。といっても、ほとんどのマウントはメーカーごとに違うので、メーカー単位でマウントを見てゆく感じになる。

なお、この記事はあくまでカメラ初心者に向けて書いているつもりなので、いきなり手を出すことのなさそうな中判カメラやライカなどについては割愛する。

ニコン

Fマウント(対応レンズ364本:うちAPS-C専用76本)

35mm判フィルムカメラ時代からずっと変わらず使い続けている、一眼レフ用としては現役最古のマウント。プロを中心にユーザが多いため交換レンズが豊富で、安価なものから超高価なものまで選択幅が広い。
デジタル一眼レフでは35mm判フルサイズ機(FX)とAPS-C機(DX)の2種類があり、レンズの中にはAPS-C専用のものがあるので注意。
現在、一眼レフと競合する新マウントのフルサイズミラーレス機の発表を控えており、今後Fマウントを継続展開するのかどうかは不明。

Nikon 1マウント(対応レンズ22本)

1インチセンサーを採用した小型ミラーレス一眼用マウント。レンズ交換式としては初めて専用ケーシングなしで防水を実現するなど意欲的な試みも見られたものの、レンズ本数が非常に少なく、そのため最広角でも27mm相当、魚眼レンズもないなど選択肢が狭い。2017年を以て販売終了。

Zマウント(仮称)

近々発表されるはずの新規格ミラーレス一眼用マウント。未知数。

キヤノン

EFマウント(対応レンズ308本:うちAPS-C専用68本)

35mm判フィルムカメラ用のマウントとしては最後発で、そのぶん電子化時代を見据えたマウントとして長く活躍してきた。ニコンFマウント同様にプロユーザが多く、選択幅が広い。
デジタル一眼レフに35mm判フルサイズ機とAPS-C機の2種類があるのも、APS-C専用レンズ(EF-S)があるのも同様。

EF-Mマウント(対応レンズ:45本)

こちらはAPS-Cミラーレス一眼用マウント。EFマウントに比べてずいぶんレンズが少ないが、どうも主力である一眼レフと社内競合しないようにわざと少なくしているようだ。
他社がほとんどソニー制の撮像素子を採用する中で唯一撮像素子を独自開発しており、全画素をそのまま像面位相差センサーとしても利用できるAF技術で「ミラーレスでも一眼レフ並みの合焦速度」を謳う。

リコー・ペンタックス

Kマウント(対応レンズ156本:うちAPS-C専用67本)

35mm判フィルムカメラ用のマウントで、何度も小改修を続けたらしく細かく見ると同じマウントにも色々と差があるのだが、まあ基本的には電子制御のレンズについては気にしなくて大丈夫……だと思う。
例によって35mm判フルサイズ機とAPS-C機があって、レンズもAPS-C専用のDAと35mm判対応のFAがある。

Qマウント(対応レンズ9本)

コンデジと同じ小さなセンサーを使った小型ミラーレス一眼用マウントで、マウントは同じだがセンサーサイズが2種類(1/1.7型と1/2.3型)あるため同じレンズでも画角が変わるので注意。なお2014年以降、新たな製品が登場しておらず、公式なアナウンスはないが展開を終了したものと思われる。

GXR(対応レンズ5本+α)

撮像素子とレンズを一体化したユニットごと交換する特殊な方式のミラーレス一眼。これによってレンズのサイズを抑えたまま、大型センサーで解像度の高い短焦点距離レンズや小型センサーでズーム倍率の高い望遠レンズなどを特性に合わせて使い分けられ、しかも一体型なので水や埃に強いという画期的な製品だったが、特殊すぎてレンズわずか5本で終わった。なおライカM42マウント用ユニットが存在したため、手軽なライカレンズ母艦として一部マニアに人気があったようだ。

ソニー

Aマウント(対応レンズ165本:うちAPS-C専用39本)

ミノルタ時代から引き継いだ一眼レフ用マウント。もちろん35mm判フルサイズ機とAPS-C機があって、APS-C専用レンズがあるのだが、なぜか他メーカに比べAPS-C用の比率が低い。
半透過ミラーによるミラー動作なしのレフレックス機構など新機軸を取り入れてきた意欲的なラインだったが、近年ソニーは一眼レフ路線からミラーレスへの移行に本腰を入れたため、こちらは今後フェードアウトしてゆくものと思われる。

Eマウント(対応レンズ173本:うちAPS-C専用30本)

こちらはミラーレス一眼用のマウント。当初は他メーカー同様にAPS-Cサイズのミラーレスを展開していたのみだったが、途中から「他社一眼レフに競合する本気の35mm判フルサイズミラーレス」路線を打ち出し全力で展開を始めた。そのぶんだけAPS-C用レンズは抑えられている(マウントは共通のためフルサイズ用レンズをAPS-C機で使うことも可能であり選択肢は広いものの、サイズと価格が問題になる)。
余談ながらαはAPS-C機では珍しく、最新のα6300より前の機種ではモニターにタッチしてフォーカス位置を決める機能がないので、ピント位置変更がちょっとやりにくい。

シグマ

SAマウント(対応レンズ56本)

シグマは交換レンズメーカーとして知られるがカメラの製造も手がけており、独自構造の撮像素子を製造するFoveonを買収し自社製品に搭載している。
SAマウントは一眼レフ・ミラーレス共通のマウントで、撮像素子のサイズに関わらず共通のレンズが使える……というか、つまり35mm判フルサイズ用のレンズしかない。

富士フイルム

Xマウント(対応レンズ97本)

APS-Cサイズのミラーレス一眼用マウント。キヤノンソニーと異なり社内競合となる一眼レフ機のラインを持たないため心置きなく全力で取り組むことができるため、他社APS-Cミラーレス機よりも対応レンズ数が多い。
また、フィルムメーカーであるため独自のフィルム発色再現機能を持っており、フィルムカメラの愛好家にファンが多い。

オリンパスパナソニック

これはちょっと特殊で、単一メーカーの独自規格ではなく複数メーカーの共同規格のため、異なるメーカー製品で互換性がある。

フォーサーズマウント(対応レンズ35本)

コダックが中心となって策定した一眼レフ用マウント。既に展開を終了している。ミラーレス用の現行規格であるマイクロフォーサーズとは直接の互換性がないことに注意。

マイクロフォーサーズマウント(対応レンズ188本)

こちらはオリンパスパナソニックが中心となった、世界初のミラーレス一眼用マウント。写真用カメラだけでなく動画用カメラやクアッドコプター搭載カメラなどにも採用されている。
メーカーごとの互換性があるため対応製品が多く、ミラーレス機では最も選択幅が広い。センサーサイズが35mm判フルサイズの縦横半分になるため焦点距離が2倍換算となり、レンズがぐっと軽くコンパクトになるのが特徴。
また他のマウントと比較してボディ内手ぶれ補正機能とセンサーのダスト除去機能(特許を押さえている)の強さには定評がある。

レンズマウントアダプター

レンズはそれぞれにマウントの規格が違うため取り付けられるレンズの種類がカメラによって決まっているが、「どうしてもこのレンズだけは使いたい」というようなこともある。その場合には、取り付け部の構造を異なるマウント用に変換するアダプターを使うことで、非対応レンズを使用することもできる。
ただ、これにも制約があるため、あらゆるカメラにあらゆるレンズ用のマウントアダプターがあるわけではない。
また、アダプターがあっても電子接点がないとオートフォーカスなど電子的な制御の必要な機能が働かなかったり、働いたとしても純正レンズのようには動作しなかったりする。あくまでイレギュラーな手段と割り切ろう。

画角と距離とセンサーサイズ

レンズには焦点距離というものがある。これは「撮像面からレンズ主点までの距離」なんだけど、重要なのはそれが「画角」、つまり撮影範囲を意味するという点だ。
二等辺三角形を描いてみよう。底辺が撮像面、頂点がレンズの主点だ。
撮像面から主点に向かう2本の直線を延長する。この範囲がつまり、レンズを通って撮像面に映る範囲の角度になる。これが「画角」だ。
焦点距離が長くなると、そのぶんだけ画角が狭くなり、短かくなれば広くなる。そういう関係性であることが理解できればいい。
ズームレンズはそうやって、レンズを動かして主点の距離を変えることで画角を変更しているわけだ。

ところで画角は焦点距離だけじゃなくて底辺の大きさでも変化する。同じ焦点距離でも、底辺を広げれば画角も広がり、狭くすれば画角も狭くなる。つまり、撮像面のサイズが変わると同じ焦点距離のレンズでも画角が変わってくる。
具体的には、35mm判フルサイズの画角に対して、撮像面が狭いAPS-Cサイズでは実質的に焦点距離が1.5倍(キヤノンの場合は更に若干狭くて1.6倍)、フォーサーズだと2倍相当になる。たとえば35mm判で50mmと同じ範囲を写すレンズは、APS-Cなら35mmぐらい、マイクロフォーサーズでは25mmということになるし、50mmをAPS-Cで使うと75mm、マイクロフォーサーズでは100mm相当のレンズになる。まあ変わるのは画角だけで、レンズの明るさやボケの強さなんかは焦点距離相応なんだけども。
ということを覚えておくと、「異なったカメラ間で同じぐらいの性能のレンズを比較する」時なんかに役立つ。

一眼レフとミラーレス

この2つの何が違うかというと、「どうやってレンズが映す像を確認するか」だ。
一眼レフは、レンズの後ろに斜めのミラーを置いて撮像面への光を遮り、それをファインダーへ送って直接レンズから来る光を目で見る。元々、フィルムカメラの時代には撮像面に光を当てるのは撮影の瞬間だけだった(光を当てた瞬間に像が焼き付けられる仕組みな)ので、それまで遮っておける形式は都合が良かった。
それに対しデジカメの場合は撮像面に光を当てっぱなしでも問題なく、像の確認も単に撮像素子の捉えた映像をモニターに映せば済むので、撮像面への光を遮る仕組みも、レンズの光を目で直接見るための仕組みも必要ない。
デジタル時代にフィルムカメラの方式をそのまま流用していた一眼レフから、デジカメには不要な機構を省いて元のやり方に戻したのが「ミラーレス一眼」だ。逆に言えば一眼レフとミラーレス一眼は、ミラーがあるかないか以外では基本的な構造に差はない。

でも一般に「一眼レフの方がミラーレスより高性能」と思われている。それには色々と理由があるのだが、まあ要するに「今までは一眼レフの方がミラーレスやコンデジよりも高性能になるように差を付けていた」といったところで、本質的に一眼レフがミラーレス一眼やコンデジよりも優れているというわけではない。だから「フルサイズミラーレス」など一眼レフと差のないミラーレス一眼が作られはじめると実質的な差はなくなり、むしろ「撮影の直前まで撮像素子を遮る」一眼レフでは事前の画像解析による機能、たとえば「人物の顔を識別して目にピントを合わせる」などミラーレスならばできることができないといったデメリットの方が大きくなってきた……というのが現在の状況。