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星を写すレンズ

星辰光学社のIndu-Star61はかつて天体望遠鏡用のファインダーレンズとして設計されたものを元に、前後を入れ替えたマクロレンズである。その出自から「星を導くもの」を意味する通称で呼ばれるが、不思議なことにこのレンズで撮影した像には昼夜を問わず、被写体に関わらず、星が映り込むという。
──とかいう架空設定はさておき、このレンズに「星が写る」のは事実だ。星というか、星型の光、だが。
ソ連リトカリノ光学ガラス工場製造、INDUSTAR-61L/Z 2.8/50。ライカM42マウント……というかそのソ連コピーであるFED用レンズ。
実際に星を写すような高倍率望遠レンズなどではなく、逆にごく標準的な50mmの焦点距離で30cmほどまで寄れるセミマクロ的なレンズである。6枚羽の絞りがF5.6あたりでは六芒星のような形状になる設計のおかげで、光が円形ではなく星型にボケるレンズとして有名なのだそうだ。
星を屋号とする身としては、星の名のレンズと共に星の映るレンズも押さえておきたいと出物を探していたところ、たまたまオークションに銀色のモデルが出品されていたので落札。もっとも、本来このレンズはすべて黒塗装されているものであり、本品は誰かが塗装を剥がして磨き上げたカスタム品らしい。

分解して組み直した時の都合なのかヘリコイドの回転が少しズレているようで、最短側はMを越えて少し回り、最長側は5の手前までしか回らない(その先に10と∞があるのに)。まあ実用上特に不都合はないので気にしないことにしよう。
また本来は49mm径の筒先に52mmのステップアップリングが固定されており、ちょっとしたアクセントになっている。

このレンズは絞りにプリセット機能があるのだそうだが、恐らくはその作用によるものだろう、絞りを回転させてみたところF5.6あたりでリングが空回りするようになり星型のまま動かせなくなってしまった。どうやったら解除できるのかよくわからないが、まあ元々星型以外で使うつもりもなかったので丁度良い。

当初は箔押しの星をちりばめた天体図でも写して星空に星型のボケを楽しもうかと思っていたのだけれど、全面に細かいボケが散乱するとあまり星型に見えないようで、どうも巧く撮れない。
諦めて屋外の光を星型に取り込んで楽しむことにした。

うまくピント範囲外に強い光源が点在してくれると、このように綺麗な星が見える。

光源が多いと、星というよりも単なる鋭角な光の重なりになってしまう。こういう時は円形ボケの方が綺麗に見える。
ちなみにマクロレンズとしては最短撮影距離30cmと「すごく寄れる」わけではないものの、この程度には写せる。


まずまずのところではなかろうか。