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インセインSCPを遊ぶために知っておくべきこと

遊戯

インセインSCPのライセンス問題によってTRPG界隈では俄にクリエイティブ・コモンズ(CC)、および著作権についての話が盛り上がった。
なにしろ著作権というのはなかなかに難解、というか線引きの難しい問題を含んでいて、どこまでが保護されどこからが保護されないのか、そう簡単には断言できない。
とはいえプレイヤーの側としても「わからない」では遊ぶのに躊躇があるわけで、少なくとも「これは大丈夫」「これは駄目」がはっきりしている部分については説明しておくべきだろうと考えたので、この記事を書いている。
ただし筆者はSCP財団の当事者でも冒険企画局の当事者でもなく、また知的財産の専門家というわけでもなく、単なる一介の第三者に過ぎない。従って(これと大きく異なるものにはならないだろうとは思っているけれども)なんら公的な見解ではないということには留意されたい。

クリエイティブ・コモンズとは

大雑把に言えば、「いちいち作者の許可を得ないで作品を利用できるようにするための仕組み」だ。このライセンスに従って公開された作品は、ライセンス条件さえ守れば「こんな風に使っていいですか」と訊くことなく利用できる。
同じCCライセンスでも、商用に利用して良いかどうか、改変して良いかどうかなどでいくつかの種類があるが、SCPおよびインセインSCPの場合には「表示-継承」という条件になっている。これは要するに「原作者が誰なのかはっきりさせること」「この作品を利用して作った何かを公開する場合、それもCC-表示-継承のライセンス形式を受け継ぐこと」という意味だ。代わりに、転載・複製・改変・商用利用が自由に行なえる。
……つまり、あなたはSCPを自由に使うことができるが、SCPに影響を受けてあなたが作った作品も誰もが自由に使えるようにしなくてはならないという意味だと思えば、だいたい間違ってない。

CC 表示-継承で公開するとどうなるのか

あなたが公開したものは、基本的には誰でも自由に使って良いことになる。その誰かはあなたの作品をコピーしてもいいし、そのコピーを勝手に書き換えたものを作ってもいい。また売ったりすることも許される(ただし、それらも公開にあたってはCC 表示-継承を宣言する必要がある)。
まあほとんどの場合はそんなに気にするようなことにはならないと思う:自分の書いたシナリオの改良版が作られたりとか、自分の描いたキャライラストが動画に使われるとか、そんなことはあるかも知れないけど。

CCライセンスが必要な場合とそうでない場合

オフラインのセッションで遊ぶだけの場合

ごく普通に対面でセッションして、シナリオを公開するわけでもリプレイを公開するわけでもなく、伝統的なTRPGの遊び方の範疇に留まるならば、著作権クリエイティブ・コモンズについて何も考えることはない。キャラクターシートなどのコピーやルール・データの改変は、遊ぶために必要な行為として認められているし、いずれにせよ私的利用の範囲内ではいかなる権利も侵害していないと言ってよいので、非公開の範囲ならば気にせず遊ぶことができる。

オンラインセッションの場合

これは多少考えるべき事例に思われるが、ひとまずセッション自体がメンバー以外には非公開で行なわれる場合は気にしなくて良いだろう。オフラインでのセッションと扱い的にはほぼ同一だ。
セッションを誰でも見学可能な状態で行なう場合には、もしかしたら「派生物の公開」と見做される可能性がある。しかしログが事後に消滅する場合は(実質的には)気にしなくて大丈夫だろうと思う。
またセッションのために狂気カードなどの内容を入力することは、少なくとも非公開なら私的利用の範囲内、公開の場合は登録に用いたデータをCC-表示-継承ライセンスに従い公開した方が良いかも知れない。

リプレイやシナリオなどを公開する場合

財団保有のSCPを使うにせよ、オリジナルのSCPを作るにせよ、基本的にはCC-表示-継承ライセンスを適用すべき範囲。ただし、扱う内容によってクレジット表記に違いが生じる(後述)。

キャラのイラストなどを公開する場合

そのイラスト内に何を描いたかによるのだが、基本的に自キャラを描いただけならば単なるオリジナルなので何のクレジットも必要なくCCライセンスも不要。SCP財団それ自体には明確なビジュアルイメージが存在しないので、CC的に抵触するとしたら「SCPの具体的な説明に基づきイラスト化した場合」だろう。それを公開する場合はSCPからの派生物としてCC-表示-継承ライセンスに従った方がいいかも知れない。

CCのライセンス表記

SCPおよびインセインSCPのCCライセンスは「表示-継承」なので、「内容をどこから取ってきて、その作者は誰か」をはっきりさせる必要がある。
基本的な書き方は、おおむねインセインSCPの254〜255ページにあるクレジット表記を参考にすれば良い。ただし何を利用したかによって、書くべき内容に違いがある。

SCP自体はオリジナルの場合

SCP財団のシンボルマークを利用する場合は255ページ左上の「カバーおよびキャラクターシートの装飾」部分、それ以外は254ページ右下の「全体を通して言及される〜」以降を、また「インセインSCP」自体の権利者として冒険企画局、文章およびデータ部分については斎藤高吉、イラストはカバー:青木邦夫、リプレイ内イラスト:coco、コマなどのデフォルメイラスト:落合なごみの各氏をクレジットすべきだろう。
なおインセイン自体の基本システムについては冒険企画局/河嶋陶一郎氏となるが、こちらはCCでライセンスされていないことに注意。

財団保有のSCPを利用した場合

254〜255ページを参考に各SCPの作者をクレジットする必要がある。ただし記事には(直接的には)作者名が表記されてないので、以下の方法で調べることになる。
SCP-XXXシリーズについては:クレジット - SCP Foundation 非公式日本語訳wikiに、日本語のみのSCP-XXX-JPシリーズについてはSCP-JP著者一覧 - SCP財団の著者一覧.xlsxを参照するのが良いだろう。
これらに載っていない場合、基本的には各SCP記事ページ下部の「履歴/history」を見て、rev.の一番古いバージョンを投稿した人物のIDを調べるのが順当だろう。