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屍者の帝国 用語集X

屍者の帝国

目次

第三部

VI

ロンドン塔
テムズ川岸に建つ古城。最初に建てられた城閣部分がタワーと呼ばれていたため、増築後も全体を指して「タワー」と称するが、語の意味に反して塔ではなく城である。→全体図
ホワイト・タワー
最初に建築された3階建ての城閣。13世紀には漆喰で白く塗られ、故にホワイトタワーと呼ばれる。城の中心であり文字通り最後の砦であるこの塔はロンドン塔全体の中で最も堅固な構造であり、王の居室にして兵舎、武器庫、そして監獄でもあった。
反逆者の門
テムズ河に半没した門。反逆の大罪で捕えられた(少なからず濡れ衣もあった)囚人らはこの門からロンドン塔に収監された。
ヨーマン・ウォーダーズ
ヨーマンは15世紀から続く国王の衛兵隊であり、このうち王の警護に当たるのがガード、ロンドン塔の看守を担当するのがヴォーダーズである。ビーフィーターの俗称は、給与の一部として平民の口には入らない牛肉が支給されたことから牛喰いと呼ばれたとも、あるいはフランス語の食事番=王の幇間と呼ばれたとも。国王が先陣を切らなくなって後には退役軍人による組織となっているが、永年の陸軍勤務と素行の評価を必要とする名誉職である。平服は紺地に赤線(画像)、正装ではガードと同じく赤地に金線。
ウェイクフィールド
13世紀にヘンリーIII世の居室として増築された塔。薔薇戦争の最中に幽閉されていたヘンリーVI世が暗殺された場所でもある。
血の塔
15世紀に、13歳で即位したエドワードV世とその弟が幽閉され暗殺された場所として知られる。
エドワードV世
イングランド王(1470-1483)。在位わずか2ヶ月半で叔父グロスター公リチャードにより戴冠前に退位させられ(リチャードが戴冠しリチャードIII世となった)、弟と共にブラッディ・タワーに幽閉されたままリチャードIII世あるいはヘンリーVII世により暗殺されたと考えられている。後に塔の回収時、2人分の子供の骨が発見されたが兄弟のものかどうかは不明。
ヘンリーVI世
ランカスター朝イングランド王(1421-1471)。生後僅か9ヶ月で父王を継ぎイングランド王に即位、10ヶ月で母方の祖父を継ぎフランス王に即位。争いに明け暮れた英国王家にはおよそ不向きな性格で、後年は精神を病みロンドン塔に幽閉されたまま死去。
サー・ウォルター・ローリー
イギリスの廷臣、探検家、作家、詩人(1552頃-1618)。ロンドン塔に三度投獄されている:一度目は女王の侍女との無許可結婚により、二度目は内乱への関与疑いにより、三度目は探検中に部下がスペイン領内で略奪を働いたことで。三度目はスペイン大使の求めにより斬首に処され、伝記に拠れば妻はその首に防腐措置を施し手元に置いたという。
ベドラム
世界で最も古い精神病院のひとつ、正式には王立ベツレヘム病院と呼ばれるが、略称ベドラムがそのまま癲狂院を指す語ともなった。病院と呼ばれはしたが、19世紀になるまでは実質的に牢獄あるいは見世物小屋であった。
セント・ジョン礼拝堂
ホワイト・タワーの一画に設えられた礼拝堂。→英Wikipedia
ウィリアム・スタンレー・ジェヴォンズ
(文中にはデヴォンズとあるがジェヴォンズの間違いかと思われる)英国の経済学者・論理学者(1835-1882)。貨幣や景気循環の研究で知られるが、同時に論理学に於いての基礎解説書、及び「論理ピアノ」と呼ばれる鍵盤式の数理論理演算装置を発明している。
随伴現象説
意識について、「意識することが脳内の信号伝達など物理作用を決める」のではなく「脳内の物理作用の結果として意識が存在する」とする説。突き詰めれば意識とはすべて結果に過ぎず、主体性というものは錯覚ということになる。傍証として、認識は行動の後に生じるとする実験結果も存在するが、議論は未だ決着を見ない。
理を円環状に
恐らくはアニメ「魔法少女まどか☆マギカ」最終話に於けるセリフ「円環の理」のオマージュではないかと思われる。

VIII

ヤコブの梯子
雲間から漏れた陽光が空気中に光の筋を描く現象を呼ぶ。ここでは天窓から射し込んだ光が空気中の塵を浮かび上がらせた様子の形容。
包絡線
与えられた線族と接線を共有する曲線のことを指すが、「直線の集まりが円を描くような」というのはつまりこういう感じのイメージであろうか→画像
クリシュナ
ヒンドゥー教の神話に登場する、最高神ヴィシュヌ神の第8の化身にして他のすべての化身の起源となるもの。英領インドに置かれた解析機関に与えられた名であろう。
女媧
中国の創世神話に登場する蛇身人首の女神。黄土を捏ねて貴人を作り、縄で泥を跳ね上げて凡人を作ったとされる。
黄帝
中国の伝説にある最初の帝。女媧ともども中国の解析機関の名と考えられる。

XI

チャールズII世
ステュアート朝英国王(1630-1685)。イングランド皇太子時代にピューリタン革命から逃れフランスへ亡命、のちスコットランドに渡り王に即位するが共和制イングランドとの戦争に破れ再び亡命、以降ヨーロッパ各地を巡る。イングランドで王制復古が成立しイングランド王に即位、放蕩生活を続け多数の愛人との間に14人の庶子をもうけ「陽気な王」と呼ばれた。トマス・アーカートはチャールズII世即位の報を聞き笑い死にしたと伝えられる。
古き印
旧き神ヌトセ=カームブルが作成したとされる魔術的紋章。概ね五芒星の中央に目のような模様を描いたものとして描写され、悪しきもの(とりわけ旧支配者に関連したもの)から身を守る効果が期待される。

エピローグ

I

ギネス
18世紀半ばに創業したビール会社で、ローストした大麦を上面醗酵させたスタウト(所謂「黒ビール」)の代名詞的存在。濃厚な味わいと高いアルコール度数、クリーミーな泡立ちで知られる。
オロンテーズ号
「マイワンドの戦いで負傷した」ワトスンをボンベイからポーツマスへ運んだことになっている兵員輸送船。オロンテーズは中東を流れる河の名に因む。
ポーツマス
ブリテン島南岸に位置する、英海軍の主要軍港のひとつ。
来るべき種族 comming Race
エドワード・ブルワー=リットンが1871年に著した小説。かつて地上を恣にした偉大なる種族が洪水を逃れ地下に潜むうち、大いなるエネルギー「ヴリル」を発見し地下に巨大都市を築く。物語は彼らがいずれ地上に戻り人類を滅ぼして復権を果たすであろうことを予言し、それが少しでも遅くなるようにと結ぶ。
ヴリル
地底種族ヴリル=ヤが利用する、宇宙的流動エネルギーを秘めた鉱石。20世紀にはドイツでこの石の名を冠したオカルト団体が設立され、ナチ党のオカルティズムを後押ししていたとされる。
日本では別れの歌
蛍の光」。元はスコットランド民謡「オールド・ラング・サイン」。
形成の書
3世紀から6世紀にかけて成立したとされる、数秘術の経典。10の数が象徴する四大根源元素と六方位、および22の文字が象徴する元素によりこの世界が形作られたと説く。
ストランド街
ロンドン中心部、チャリング・クロス駅から東へ延び、シティ・オブ・ロンドンへ至る通り。→地図
アイリーン・アドラー
シャーロック・ホームズに登場するアメリカ生まれのオペラ歌手。「ボヘミアの醜聞」に登場、ホームズを出し抜き、ホームズがただ一人「あの女性」と呼び一目を置く人物。
イェフダ・レーヴ・ベン・ベザレル
プラハの神秘思想家、ユダヤ律法学者(1525-1609)。いくつかのゴーレム伝承に於いて最も有名な造り手として知られる。

II

ミーミルの首
ミーミルは北欧神話に於けるアース神族の賢神で、ヴァン神族との和睦に際し人質交換として送り込まれたが斬首され首だけが送り返された。オーディンは腐敗することのないよう切断面に薬草を塗布し、首だけとなったミーミルに助言を仰いだという。