真剣勝負型TCG「ディメンション・ゼロ」

大変良いゲームなのだが全く知られていないので紹介しておく。運の要素をギリギリまで排除し、戦術と駆け引きの要素に特化したトレーディング・カードゲームである。初期には競技性を活かしメーカー自ら賞金を賭けての大会まで運営していたのだが、残念ながらあまりにガチすぎて競技人口が拡大せず、大会は無期限停止になってしまった。


他作との主な差違は、3×3のバトルフィールドが存在し位置の概念があること、リソース専用のカードが存在せず不要な手札をリソース用に回せること、負けが近付くほどにリソースが増えること、ほとんどのカードが相手の番にも使用可能であること、場に出した後も使用ごとにコストが発生すること、あたりだろうか。


ルールを概説する。
このゲームの勝利条件は、「相手の山札を7枚削る」あるいは「相手の山札が尽きる」ことである。9マスの戦場のうち手前3マスにユニットを召喚、これを移動させて中央あるいは敵側の列に送り込むと、「スマッシュ」により相手の山札を削ることができる。
たった1マス移動でもうスマッシュ可能であるからあっという間に削れそうな気がするが、そこで「ほとんどの手札が相手の番にも使える」という特徴が活きる。つまり、スマッシュを試みたユニットに対し即座に手札ユニットを召喚し戦闘に持ち込むことができるわけだ。撃破してしまえばスマッシュは取り消される。
自分の手番に、毎ターン1枚の手札をエネルギーゾーンに置くことができる。ここに置いたカードはカード毎の色を持ったリソースとなり、もう手札としてプレイすることはできなくなる。
また、スマッシュを受けた場合は山札の一番上を裏向きのままスマッシュゾーンに置くが、これは無色のリソースとして使うことができる。
自分の番には、エネルギーを1支払うことで山札の1番上を公開することができる。これをプランゾーンと呼び、手札同様に扱える他、カードによってはプランゾーンにあることで特殊な効果を発揮する場合もある。カードが気に入らなければエネルギーを追加で払うことで現在のプランを捨て、新たに1枚めくっても良い。


このように、リソースに専用カードを用意しないことにより「リソースが引けない」「リソースと色が合わない」「リソースばかり引く」といった問題を解決し、更にリソースのある限りドロー可能とすることで「欲しいカードが来ない」問題も軽減しているため、「運の差で負けた」ということはほとんどなく純然たる実力勝負ということになる。
また、あらゆる行動にリソース消費を要求することでターン毎の行動計画が極めて重要になり、相手の番への対応力も含めて厳しい取捨選択を迫られる。相手の番での行動ならばすぐにリソース回復が行なわれ一時的優位を得られる半面、自分の番では手札の追加によるアドヴァンテージを得られる利点もあるため判断は難しい。
ダイスやコインの目に一喜一憂するのも楽しいが、偶にはこういう真剣勝負も如何だろうか。


余談ながら、この手のゲームでは戦闘力を3〜5桁の数字で表す例が多く、本作もその例に漏れない。当初は「ゼロいくつか余計だろ」などと思っていたのだが、実はこれがスマッシュ時の攻撃力(一桁)と視認性の上で区別するために意味があるという、珍しい事例となっている。