マクドナルドのコストパフォーマンス

最安価ファストフードチェーンとして知られるマクドナルドだが、イメージはともかく言うほど安く済まないのではないかという疑惑がある。
ちょっと価格/カロリー比を検証してみた。

単品のコストパフォーマンス

マクドナルド史上最安のメニューは恐らくハンバーガ1個65円だろう。バンズにビーフパティ、刻み玉葱とピクルスを挟みケチャップをかけただけのシンプルメニュー。標準で1個275kcal、1円あたり4.23kcal。今だと100円で販売しているようなので2.75kcal/円か。
割と高級なファストフードチェーンのイメージがあるモスにも、実はシンプルなハンバーガが存在する。こちらもマクドナルドのものと構成はほとんど変わらず、273kcal160円、1.71kcal/円。
単品については、マクドナルドのコストパフォーマンスは圧倒的だ。


ハンバーガ以外で比較すると、山田うどんたぬきうどん344kcal240円(1.43kcal/円)、松屋牛めし並773kcal320円(2.42kcal/円)、松屋のカレー710kcal350円(2.03kcal/円)、いずれもマクドナルドには及ばない。

セットのコストパフォーマンス

如何にC/Pに優れたマクドナルドのハンバーガと雖も、これだけをたらふく食べるというのは些か厳しいものがある。実質的には小腹の空いた時に1個だけ、あるいはもうちょっと食事らしい食事にする場合はセットでの注文となろうかと思う。そして、検証の主眼はこちらにある。
単品わずか100円のマクドナルドでもセットにすると(地域、セット内容によるが)460〜480円。フライドポテトM454kcal、ドリンク140kcalが追加されているとはいえ1.89kcal/円まで下がっており、必要金額でもC/Pでも松屋牛めしに負けている。公平な比較のため松屋をセットにしても877kcal460円=1.91kcal/円と、やはり金額でもC/Pでも僅差ながら負け。


そもそも最安のハンバーガだとセットにした時の値引き率的にはC/Pが低いので、普通のセットで比較してみよう。
マクドナルドの海老フィレオはセット価格610〜650円、カロリー単品388kcal(セット982kcal)でC/Pは1.61kcal/円。
モスバーガーの海老カツバーガーはセット価格740円、単品389kcal(ポテトL+ドリンクMセットで821kcal)でC/Pは1.11kcal/円。まだ結構な差があるものの、ハンバーガ単品比較のC/P比62%から比べれば68%とやや差が縮まってはいる。
ついでに最高額メニューであるダブルクォーターパウンダー・チーズのセットを見よう。このクラスになると量的な意味でモスバーガーでは比較し難いので、量で知られるバーガーキングを見てみる。
ダブルクォーターパウンダー・チーズ単品では825kcal480円(1.72kcal/円)、セット780円(1.82kcal/円)。
バーガーキングのワッパーチーズベーコン 811kcal540円(1.50kcal/円)、セット870円(1.47kcal/円)。微妙に敵わぬものの良い線行ってる。

付加価値とターゲット

比較しておいて何だが、そもそもマクドナルドと他のハンバーガチェーンでは狙いが違う。恐らくマクドナルドの売りは「100円から食べられる」という気楽さにあり、食事の場というより暫く談笑するための場を提供するという感覚だろう。無論、食事をターゲットにしていないということはないから量的な満足感を与え得る大型メニューも用意されているが。
対してモスバーガーは徹頭徹尾「食事としての満足感」を売りにしている。ハンバーガひとつでもそこそこのヴォリューム感と価格を設定し、「味わって食べる」方向性だ。
牛丼系はコストパフォーマンスの点ではマクドナルドと近いが、あくまで「短時間で食べ終える」ことを主眼とした展開であり、基本的にカウンター席以外を作らず寛がせない。


結局のところ、コストパフォーマンスとはいっても単純に比較できるようなものではない、ということだ。食事の満足感はカロリーが決めるものではない。
考えようによっては、カロリーばかり多いマクドナルドは食事としては些かバランスに欠け健康的でない、と見ることもできるだろう。

付記

なお、1食あたりのカロリーC/Pとして最大なのは多分フジパンのメロンクーヘン(1403kcal/210円)。