ブラウザで遊べるカード戦闘型RPG「ヴァンディアブレイカー」

一昔前までは無料ゲームといえばダウンロードして遊ぶものが中心で、ほとんどWindows専用という感じだった。
OSを選ばずブラウザ上で遊べるゲームも多数あるが、大半はパズルゲームや簡単なアクションゲームなどミニゲーム的なものに限られた。
しかし最近ではマルチプレイゲームなどにもブラウザゲームが増えてきて、手軽に遊べるようになりつつある。


ヴァンディアブレイカーバンダイナムコゲームズによるブラウザRPGである。特徴はカードによる戦闘で、予め構築した3〜9枚程度のデッキにより完全自動処理される。
6ヶ月単位でストーリーが完結するマルチゲームとの触れ込みで、1週間単位でシナリオ・カードが追加され徐々にストーリーが進行してゆく。また公式サイトにてヴァンディアTVという10分の動画を公開、現在の世界情勢を説明するほか、英雄の選出などのイヴェントが進められる。

システムの解説

戦闘

デッキは3×3マスのカード配置テーブルを3〜9マスの範囲で一筆書きに繋ぐ「サーキットライン」と、そのサーキットに沿って並べたカードで構成される。カードはそれぞれPower・Skill・Mindの3つの能力値を持ち、その中で最大の値で相手を攻撃、相手は対応する能力値との差分をダメージとして受ける。デッキが1周する度にサーキットの持つ特殊効果が発動、追加ダメージや回復、敵の能力低下などの影響を与える。
戦闘には一切のランダム要素が介在しないため、勝てなかった相手にはデッキを変更しない限り絶対に勝てない。カードはクエスト報酬や戦闘で得たゴールドによるランダムカード購入などで入手することができる。またリアルマネーによる購入も可能。
自分の力だけで勝つのはかなり難しいが、各都市にはNPCがおり、また他プレイヤーのキャラについても承認の必要なくパーティに加えることができるので、戦力の高いPCを戦列に加えることで戦闘力を増加させることが可能。敵は常に1体であるのに対しパーティは自分含め最大4人、直接攻撃を受けるのは先頭の一人だけだが攻撃できるのは4人全員なので、人数を増やすだけでも単純に4倍の戦力が得られることになる。積極的に活用されたい。

移動

移動は道に沿った拠点の間を双六の如くコマが一歩づつ跳躍するように行なわれる。基本的には1歩あたり行動力(AP)1を消費するが、険しい道では2AP、遺跡など特殊な場所では3APを消費する。また2AP消費して探索することでアイテムを得ることもできる。APを消費した時、ランダムに敵が出現することがある。
APは1分あたり1回復。序盤は10APしかないのでちょっと進んでは10分ほど休憩することになるが、10LVまで育てれば30APほどに増加するので動き易くなる。また有料アイテムを使えば瞬時にAP回復させることも可能。

エス

各都市のギルドにはクエストの一覧があり、選んで5つまで受けることができる。大別して移動(目的地に到達すればクリア)、採取(指定アイテムを一定数集めればクリア)、討伐(特定の敵を一定数倒せばクリア)があり、採取は条件を満たしてから受けても問題ない代わりに達成によりアイテムが消費されてしまうため類似クエストを同時にこなすことはできないが、移動・討伐は複数のクエスト条件が同時に満たされるので平行受託が効率良い。
一部クエストはクリア後にも再受託可能。

魅力

このゲームの面白さは主としてデッキの構築にある。
カードの強さが3種の能力値に分かれるため相手との相性次第で弱点を曝け出すことがあり、またサーキットの効果との相性、及びカードの周囲8方向に記された支援効果との組み合わせで戦力が変化する。
またサーキットは隊列によっても効果程度が異なる。敵からの打撃を受ける最前衛はLPが高い打撃耐性重視カード+防御系サーキットにすることで被害を減らすことができるし、後衛は防御を捨て攻撃力を高めた方が戦い易い。


また、RPGとしてはソロプレイゲームとしての特徴とマルチゲームとしての特徴を兼ね備えている。ストーリーは6ヶ月単位でリセットされ、1週間ごとに新たなクエストやカードの公開、世界情勢の変化などが発表されてゆくが、個々人のストーリー進行度はあくまで短かいクエストの繋ぎ合わせで提示されるため人によって進行は異なり、途中から始めて話の流れが解らないというようなことはない。

問題

どうやらこのゲームは、企画段階ではコンシューマゲームとして開発されたものを途中からマルチゲームに作り直したのではないかと思われる。そのためソロであることを前提とした仕様の名残りがそこかしこに見られ、マルチとしてのあるべき魅力をスポイルしている面が見られる。
例えば、キャラパターンはたった3種類しかない。戦闘中のセリフが自由に設定できるためにそれなりの個性が演出できているものの、PCが皆同じ顔をしているというのはなんとも奇妙ではある。アバターパーツの変更によるカスタマイズぐらいは今時マルチゲームの当然の嗜みではなかろうか。
あるいはデッキについても、折角戦術を考えた構築が可能な仕組みを持ちながら、隊列の変更が不可能という致命的な仕様により事実上(自分のプレイに於いては)防御的デッキの必要性が皆無であるため選択肢を狭めてしまっている。
またPCのパーティへの組み込みに制限がないため、序盤から高レベルなメンバーを編入してしまうと戦闘が簡単になりすぎ、自分の戦力を改善する理由がなくなってしまう。
カードのバランスに関しても、コスト概念がないにも関らず能力合計でバランスを取っておらず「全能力に於いて他を凌駕するカード」が存在するため、デッキに採用すべきカードの種類が極めて限られており構築自由度を狭めてしまっている。


その他、バンナムの名を冠しているとは思えぬほどにバグやちょっとした不具合が多い。致命的なものではないが表示がちょっとおかしかったり未実装な部分があったり、あるいはバグではないにせよプレイアビリティを悪くする仕様なども少なくない。


ただ、逆に言えば不具合が多いにも関わらずプレイは楽しい。ゲームとしての魅力少なからぬだけに、早急に不具合の解消・仕様の変更について検討して戴きたいと思う。