本音で政治

今回のミサイル騒動などを見ていると、どうも本音と建前の乖離が全然隠せずにいるのが気持ち悪い。建前というのは本音を隠してこそ意味があると思うのだが。
隠せない/隠す気がないなら建前など捨ててしまうが良い。本音だけで政治してみたらどうだ。


実際に本音だけで行動していたら、今回の件がどんな風になったか考えてみる。
北「我が国は欧米諸国を射程に捉える新型ICBMの発射実験を行なう」
日「ミサイルが日本の領空に入ったら即座に迎撃する」
……あれ、なんかそんなに問題ない雰囲気に。建前としての「これは軍事行動ではなく人工衛星打ち上げ実験なので迎撃したら我が国への先制攻撃と見做す」がなくなってしまった分、却ってすっきりしてしまった。


とは言え、今回の件では日本側の「ミサイルである」という見解も北朝鮮側の「人工衛星打ち上げである」という建前も、どちらも間違いとは言えないという側面があったりもする。ミサイル技術と共に、衛星打ち上げ技術を確立したいのも確かだろう。
北「我が国は欧米諸国を射程に捉える新型ICBMの開発、及び独自の軍事衛星打ち上げ技術の開発を兼ねて、模擬衛星の軌道投入実験を行なう」
日「ミサイル開発には断固として反対するが、衛星である限りは反対できない。日本への被害可能性を最小限に留めるため、津軽海峡を通過するコースでの打ち上げを要請する」
……まあ、これはこれで。現実問題として打ち上げに於いてはほぼ真東方向への射出コースを取らざるを得ず、東が公海に向いている日本はともかく北朝鮮としてはどうやっても日本上空を通過するコースを取るしかない(もしくは、中国かロシアの射点を借りるか)。日本としても許可しないわけには行かないだろう。


ところで韓国からの打ち上げでも日本上空を通過するコースである点は一緒だよな、どうしてるんだろうと思って検索してみたのだが、どうやら韓国には独自のロケット技術がないらしい。ロシアの技術協力によりKLSV-1ロケット開発及び羅老宇宙センター建設に着手していたが、途中でロシアが技術移転を拒否して頓挫している模様。
韓国は既に結構な工業国なので独自のロケット技術ぐらい持っているものと思っていたのだが、実はこれまで開発経験がなかったらしい。衛星なんかはどうしているんだろうか?国内で開発し他国で打ち上げていたのか、それとも衛星自体借り物なのか。


そうして見ると日本が戦後すぐから(ロケット先進国ドイツから資料を押収したソ連や技術者を押さえたアメリカと違い、碌な蓄積もないのに)独自にロケット技術を研究し純国産で液燃ロケットや世界にも類を見ないほどの固体燃料ロケットを完成させたという事実は、地味ながら凄いことであるのだなと今更再認識する次第。やる気は更々ないものの、やろうと思えばすぐにでもICBM配備してみせられるだけの技術が既にあるわけで。