TRPG表紙議論

ルルブの表紙問題についての三つの立場 - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込むでざっくり纏められているけれど。
好みの問題はさておき、気になるのは「萌え絵表紙の隆盛は需要の現れではないか」説。まあ半分ぐらいはその通りかなとも思う。
半分、というのは「萌え絵を好むユーザが多い」のと「萌え絵を表紙にした方が有利」は必ずしも一致しないから。


全部のルールブックを知ているわけではない(というより、近年主流のアニメ調表紙系はほとんど触れてない)ので印象論になってしまうが、そうしたゲームはまずシステムからしライトノベルやアニメなんかで多そうなキャラクターの再現に主眼を置いた作りになっているように見える。かつてエルジェネシスあたりではかなり露骨に「どこかで見たようなキャラの」テンプレートが満載だったように記憶しているが、そうした需要というのは確かに一定割合であるだろうと思う。
そのような見地からはアニメ調の表紙絵というのは需要にマッチしており最良であるようにも思える。
が、これが最適であると理論付けるならば条件として「そのような表紙絵が勾配意欲を促進する」ことを示さねばなるまい。換言すれば「表紙絵で購入を決める」ようなルールブックがどれだけあるか、という話だ。
少なくとも私にはルールブックをジャケ買いした経験はない。可能ならば事前にシステムの解説なり他者の評価なりを調べ、そうでないとしても最低限裏表紙に書かれる説明を見て、ゲームとして面白そうだと判断してから買う。文庫版なら安い上に中身を確認できるから気軽なものだが、大判書籍やボックスとなれば基本ルールだけで4000円から、追加セットなども含めるなら数万の世界だ。気軽に買えるものでもない。
と考えるならば、極論イラストは購入を決意させるに足る要因ではないように思える。


それなら逆に萌え絵だって問題なかろうと言えそうなものだが、実際には事態はそう簡単でもない。現に抵抗を感じて買えないという事例があるからだ。
些か極端な例示ではあるかも知れないが、「クイーンズブレイド」シリーズなどは(RPGではないが類似する商品として)まさにその一つに当たる。原型となったLost Worldsでは無骨な戦士やモンスターなどが闘うゲームだったものが肌も顕なお色気女戦士に差し替えられたことで、システムに違いはないにも関らず買って遊ぶ気になれないという人は、恐らく私だけではあるまい。
勿論程度問題ではあるのだが、そもそもが市場規模の非常に小さな業界、最多に媚びようとしてそれ以外を振り落としかねないならば訴求要素を抑えてでも広く受け入れ易い無難な路線を狙った方が巧く行くのではないかという気もする。


もっとも、ああいった表紙に抵抗を感じる向きはそもそもアニメキャラの再現を前提とするようなシステムを好まないのかも知れない。そうであれば、むしろユーザの弁別用として巧く機能していると言えなくもないのだが。
いずれにせよ、(中身が私の想像しているような代物であるかどうかも含めて)なんの客観指標もなしに議論可能な話題ではないというのは確かなところ。
家電類がカラーヴァリエーションを用意するように、いっそルールブックも2種類の表紙を用意してみても良いのかも知れない。カヴァーを変えるだけで済むからコスト的に大きな影響はなさそうに思うが、どうか。