する側にばかりいると意識に上り難いところなのだが、ヲチというのは大変に趣味の悪い行為なのだということを認識した。
長くWebで活動しているから、ヲチに加わったこともヲチされる立場になったことも何度かある。しているときは大概「されるだけの理由があるよな」とか思っているわけだが、される側に回ると非常に気分が悪い。なんとなれば、所謂「上から目線」だからだ。
上から目線というのは、単なる批判や中傷とは異なる。それは距離を置いた嘲りである。
間違ったことを言ったならば批判は免れまい。或いは、そうでなかったとしても意見を異にする人物からの反論、あるいはまったくの中傷などが行なわれる場合もあろう。それはそれで対処のしようがある。
しかしヲチの場合、直接のアプローチは何もない。ただ、どこか知らぬ場所から見下ろして嗤っているだけである。
間違った思考であれ、表明すれば何らかの反応がある。「そういう考え方をする人がいる」という事実、あるいは陥り易い間違いに対する指摘は蓄積情報として有効である。間違いが放置されるのは悪であっても、訂正を生むことは無益ではないし、また総論として誤りであっても各論としては慧眼に価するものを含む場合もある。
が、ヲチの場合は何ら過ちを指摘しない。ただ嗤うのみである。これは単に無益かつ悪趣味な行為に過ぎず、馬鹿の極地という他ない。
念のため。嗤うことを目的としないヲチ*1というものも存在し得る。過ちの指摘を試みたが通じず、断念して他所での指摘に留める場合、あるいは直接のアプローチが災禍を招くと判断される場合の回避措置として、などである。それはそれでヲチされる側にしてみれば陰口のようで気持ち悪いかもしれないが、指摘を拒絶せず、かつ悪意を以て応えない相手ならばそんな方法は無用であるので、概ね自業自得と言えよう*2。
ところではてブ他SBMコメントなどを指してヲチと同一視する場合もある。直接のアプローチでない点で必ずしも間違った認識ではないし、個々のコメントにはヲチ要素が含まれもしようが、総体としてヲチのためのシステムではなくヲチのために利用されているわけでもない。その点、少なくともスレ単位でヲチ目的に創設される2chあたりとは少し異なる。まあこれはこれで切り分けの難しい部分があるが*3。
2chであれ増田であれ、元発言に対する「意見」が出てくるならば、その部分はヲチではない。しかし実際のところヲチのほとんどは「こいつバカだ」程度の感想を述べるに留まり、具体的に「どの部分をしてバカと判断しているのか」が抜け落ちる。無論これを明示すれば、今度はその言動が批判なりヲチなりの対象となり得るわけで、多分にこれを忌避するが故にヲチに留まらざるを得ないのではないかと疑っている。
