博物学的SFゲーム「トリノホシ-Aerial Planet-」

昨日メール便で届いていた(のを今朝発見した)ので早速プレイ開始。SF色の強い博物学的フライトシミュレータである。


白鳥座α星の裏に隠れた恒星コニウス。地球から3000光年以上離れたこの星系の第二惑星は、地球に近似した質量を持ちハビタブルゾーンに位置する、水の豊富な惑星である-----つまり、人間の居住に適した星と言える。実際、生物相も炭素系主体でアミノ酸の構造も一致しているようだ。
宇宙塵の直撃を受け大破した調査船から脱出した主人公の少年は、救助の見込みのないこの状況下、グライダーを利用して一人惑星の裏側にある基地への帰還を決意する。しかし地表の98%が水に覆われたこの星で、自力で着陸可能な陸地を発見するのはほとんど不可能である。そこで、多く自生する「鳥類」(地球のそれに類似してはいるものの関連性のない生物相であり、この呼称は必ずしも適切ではないが)を観察し渡りに追随することで移動を試みようという、そんなゲームである。


このゲームの肝は、なんといっても生物の観察と分類であろう。キャンプ中に周囲をうろつく鳥、あるいは飛行中に見掛けた鳥を撮影し登録してゆく。そのままでは「未知の鳥」としか出ないので、自分で自由に名を付ける。これは楽しい。楽しさばかりではなく、生態を調べて渡り鳥らしき群れを仲間として他の島へ旅せねばならない。
食料もまた名付け分類の対象である。こちらは毒性の問題なんかもあるから、ある意味で鳥以上に重要な要素だ。しかも、なるべく効率良くかき集めて、次の島へ渡るまでの繋ぎとする必要がある。


フライトシミュレータとしても結構本格的……に思えるが、こちらは知識に乏しいので実際のところそれほどでもないのかも。ピッチ角とロール角のコントロール、それにブースト/上昇気流による高度確保で飛行してゆく。ものがグライダーだけに気流の影響が強い。
フライトシムで一番難しいのは着陸だと思うのだが、これについては簡略化されている。キャンプ地の周辺に近づき、高度100mより下ぐらいになると×ボタンで自動着陸。


ざっと感想を。まず、なんといってもSF的/博物学的テイストが楽しい。こういうハードSFタッチなゲームというのは非常に少ないため、貴重な一本と言える。
また、飛行が楽しい。空模様、地表の景色、いずれも美しいの一言。ただ、距離別でモデリングの切り替えでもしているのか、時々地形がふっと多少変形することがある。
アドヴェンチャとしては難易度があまり高くない。アクション的部分が強いため、謎自体は簡単にしてあるのだろう。確かに両方ハードだとちょっと敷居が高過ぎるかも知れない。
鳥・食物は名前、解説とも変更可能。ただちょっと操作が判り難く、最初気付かなかった。漢字も使えるが常用漢字中心に一部の文字しかないのと音からの入力が中心となるため長文は辛い。
ただ、フローの接続が所々おかしいような気がする。例えば肉食性の鳥を見掛けたとき。「嫌な予感」と形状から肉食の可能性には思い当たったのだが、実際に襲われた時は何もなく、彼らの野営地に到着したときに「どうやら肉食らしい」飛び発つときに襲われて「肉食なんだ!」いや……その判定は最初に襲われた時点で行なわれているべきでは?
まあ、多少気になるところがないでもないが、それを遥かに上回る楽しさなので気にしない。


初回版には初音ミク歌うイメージアルバム付き。特に期待してはいなかったが、思ったより聴ける。


本日から昼は迷宮、夜は惑星の探査に励むとしよう。

今日の惑星博物誌

まずは飛行訓練。不慣れなため戸惑うが、表示を一人称視点に切り替えたらやり易くなった。
旋回のためにはまず左右どちらかにロール、そのままスティックを下に倒して機首を上げる。慣れれば結構コントロールが効く。右高度計は2段表示で、上は海抜、下は地表からの高度。下段表示に気を配っておかないと地面に激突して大ダメージを受ける。ロールし過ぎて見当識失調したときは左スティックを押し込むと水平に戻してくれる。
カメラは右スティックでコントロール可能。撮影時などには便利だが、方向を見失い易いので注意。こちらも押し込むとデフォルト位置に戻る。

飛行訓練終了したら鳥の撮影。セレクトでサイトを出して〇で撮影。撮影されたものは鳥種として認識される。より詳細に特徴を捉えた写真(実際には立体スキャンだが)が撮れると少しづつ「レベルアップ」してゆく。
とりあえず、最初に遭う頭部が硬く*1鴨に似た鳥に「カブトガモ」と命名。後にヴィデオで現地研究者が「ガンモドキ」と呼んでいるという情報があったからそれに合わせても良いかと思ったのだが、まあ自身の命名権を優先することにしよう。
ちなみに鳥はキャンプ地周辺にも出現、地表で観察できるので撮影が巧く行かなくても鳥種特定は可能。
様々な所を飛んでキャンプ候補地を増やす。高度を上げた方が広範囲をサーチできる。
高度を失ってくると不安になるものだが、高度50mを切るとグライダの安全装置が作動して高度を保ってくれるので楽に飛べる。キャンプ地から大きく離れた時などにお試しあれ。


以下、ネタバレにもなるので隠す。
頬から鮮やかな橙色の長い髭を下げた青い鳥は、河川/湿地で魚を獲っているようだったのでアゴヒゲカワウと命名。後に同種の体色違いと思われるものが登場したのでアオヒゲカワウ(もう一種はアカヒゲカワウ)に変更。
大柄で二股に分かれた嘴が特徴的な大鳥は鸛に似ていたのでフタハシコウノトリ
鴎に似て硬い頭部を持つ鳥はカブトアジサシ。
とりあえずこの4種を認識したところで、漂鳥らしいカブトガモに付いて近くの島へ飛行するミッションになる。
鳥たちは音声によってコミュニケートしているらしく、まずは友好の鳴き声を録音してカブトガモの仲間にならなければ。キャンプ地で他の鳥に追い回されているところを救い出して友好の声を録音、これを使って飛行しながら鳴き声で鳥を呼び寄せてゆく。


渡りに成功した北の島はかなり広い湿原と3000m以上の山脈を持つ大きな島であった。
まずは島への渡り中に失った食料を補填すべく、食べられそうな動植物を採取して回る。
なにかドロドロした(多分植物性の)物質はマナと呼ぶことに。
足10本の蜘蛛のようなものにはジッキャクグモ、茶色い藻のようなものはカッショクモ。


この島にはフタハシコウノトリより大型のハイソアラー登場。横に広がった嘴からオオヒロハシと命名。オオヒロハシは上昇気流を捉え高度3000を飛ぶ強者である。彼らに混じって高度3000mを越えることに成功。その後、山脈の北へ渡る。
北側には長い首に左右に突き出た硬い頭部とその先端に眼を持つ大型肉食鳥が。シュモクヅルと命名。こいつらはかなり凶暴で、うっかり群れに突っ込むとかなりダメージを受ける。


山脈の終端に小島。ここはどうやらシュモクヅルの野営地らしい。豊富な植生が確認されるがそれを食べる鳥はいない。ちょっと散策したら色々見付けた。
蜘蛛のようなものがいたので暫定的にクモモドキ。何かピンク色の幼虫のようなもの。
赤くて丸くて弾力のある実はニセトマト、半透明のゼリーのようなものはクズモチソウ。菱形で硬い実にはヒシノキと命名した。
赤に白斑のある実は毒だった。食べずして判別する方法に乏しいので、多少の危険を冒さざるを得ない。

*1:これはこの鳥単体の特徴というよりこの星の鳥類に多く見られる特徴のようではあるが