TRPG考:回避問題

戦闘をつまらなくする大きな要因のひとつが回避ではないかと思うことがある。


古いシステム、とりわけ下方ロールのものに多いのだが、攻撃側が判定に成功した後で防御側の回避判定を行ない、成功するとノーダメージというパターンでは、回避の効力が高過ぎて戦闘が終わらない。それに攻撃側の成功度*1がまったく考慮されないというのもなんだか理不尽だ。
上方ロールのものでは達成値を比較して結果を決めるものが多く、この理不尽さは薄い。システムによっては成功度の差がダメージに直結するようなものもある。
それでも尚、回避は味気なく感じてしまう。上方ロールのシステムであっても、戦闘中の行動が「xxを攻撃……はい成功、ダメージxx」の繰り返しを脱していない。もっとこう、ギリギリの鬩ぎ合いを表現するようなシステムはできないのか。


バトルテックではユニークな処理でこの問題を解決した。回避という概念がそもそもないのだ。確かに、音速を越えて飛来する砲弾を能動的に回避する方法など存在しない。戦車戦や艦隊戦での「回避」とは、狙いがつけ難いように動き続けるという意味であって飛んできた砲弾の着地点から移動するという意味ではない。
代わりに、地形による命中修正や移動による修正を組み合わせて敵の攻撃に不利な修正を多く付けることで回避としている。移動による修正が自分と敵で異なる*2のがポイント。
ただ、これは同時移動/同時攻撃というルールだからこその処理でもある。敏捷度順に行動するようなシステムでは移動=回避という処理はできない。
また、単純に回避をなくせば面白くなるというものでもない。あくまでバトルテックの場合は計算によって回避が成立することが面白さにつながっているのだ。


RPGでこうした面白さを実現するにはどうしたら良いだろうか。回避により何らかのリソースを失う?例えば武器の「構え値」のようなものを用意し、攻撃判定の基準値としてみる。回避するとこれが大きく下がる。受けによる防御ならば下がり幅は小さい。攻撃の順序は構え値に準拠するので、回避すると攻撃が遅れる……
アイディアに過ぎないので、これで面白くなるかどうかは不明だが、少なくとも回避と防御の2択によるディレンマは生じると思う。

*1:そもそも下方ロールの場合、成功/失敗の2分類のみで段階というものが存在しないのだが

*2:回避側は歩行-走行-ジャンプの3段階で60度向き変更も含むが、攻撃側は移動したヘクス数のみを問題とする