食べたのは誰か

グロ注意。>>食人賞 - ファック文芸部

I

「部屋の入口にはすべて内側から鍵が掛かっていた。そして中には誰も居らず、部屋にいた筈の主人すらなく、ただ夥しい血痕あるのみ。……これは、密室食人です!」
「だが、食べた方はどこへ?」
「さて、それが問題だ。密室状況がトリックでないのだとすれば可能性はふたつ。被害者と加害者とが互いを食べ合ったか、それとも加害者が完食後に自らをも完食したか」

II

「なるほど、解ったぞ。我々は今まで、この部屋が密室とばかり思っていたが、視点を変えれば世界の方が部屋に対して密室であり、部屋は常に拓かれていたのだ」
「あれか、寄生虫の中に体表が消化器になっているのがいるが、あれは考えようによっては我々が寄生虫の腹の中にいるようなものだという」
「なんにせよ全然解決してないよな」

III

「食べる理由なんていつの世も二つぐらいしかないものだよ。旨いから食べるか、他に食べられないから食べるか、だ」
そう言うとホームズは琥珀のパイプから、フッと煙を吐き出した。
「被害者に共通性がないところを見るとグルメの仕業ではないな。恐らく犯人は人しか食べることができないため、食人鬼になるしかなかったのだろう。
僕の場合は謎しか食べられないから探偵をやっている。
君はなんで医師になったのかね?内臓が好みだからか?」