動画共有:「違法に無料で視聴」ではなく「無料で視聴するものだが法的には違法」じゃないのか

他。


PVでもアニメでも、繰り返し視聴するものではないように思われる。2度3度見ることはあっても、あるいはPVならば短期間だけ環境映像的に再生し続けることはあるかも知れない、しかし音楽のように携帯して毎日再生するようなことはあまりない。映像はそれ自体に集中するもので、他の行為とオーヴァラップできない性質のものだからだ。
繰り返し利用しないコンテンツに対するコストは相対的に大きくなる。書物でも、手元に置いて何度も読み返すような作品でもない限りは図書館などを利用し無料で済ますのが主流だろう。また映像作品のほとんどはTVでの放映が前提となっているから、こちらも無料で視聴できる。ヴィデオ等へ録画して見返すことは咎められない(私的録音保証金の話はひとまず措こう)。


要するに、デジタル化とネットワーク化により共有体制が成立したから違法に無料で共有されたのではなく、元々無料で利用するのが当然になっているのに法律上は違法とされているだけの話なのだと思う。無論、技術的に容易になったことで表面化し問題となっているわけだが、大っぴらに行なわれてこなかったというだけで状況に変化があったわけではないのだ。


ところで実際、どれぐらい「違法に利用」されているのだろうか。
「ニコニコ動画」1人あたりの平均利用時間、Yahoo! JAPANやmixiを上回るに拠れば8月の総利用時間は551,286分。そのすべてが音楽と仮定、1曲あたり5分とすると110,257曲分が再生されたことになる。
たった100万、いや違った10万曲である。CDの曲単価が大体250〜300円、ダウンロード販売では150〜200円だから、高く見積って3千万円程度(当然ながら同一人物による単一曲複数回再生なども多いので、実際に仮想購入曲数として10万曲が見込めるわけではないと思われる)。
一般社団法人 日本レコード協会8月分によれば音楽CD/動画の売り上げ合計は307億1800万円、ニコニコにより損失が生じたとしても精々0.1%に過ぎない。対して過去10年の統計からも明らかなように、売り上げは年々10億以上減少し続けており、これはYoutubeニコニコ動画が登場する以前からの傾向、どころか売り上げが減少に転じた1999年はまだ日本国内では本格的なファイル共有なども行なわれていない黎明期。つまり共有が売り上げを損っているのではなく単に音楽全体が斜陽であるに過ぎないことが見て取れる。
逆にニコニコ動画では手動マッチング広告掲載機能によりAmazon経由でかなりの販売促進が行なわれており、ニコニコ市場売上高ランキングアーカイブ ニコニコ市場8月の月間売上高ランキングを見ると上位30点の合計だけでも3千万円を超過、推測するに市場全体で5千万〜1億程度の売り上げがあるようだ(幅があるのはテールがどの程度か不明なため)。無論そのすべてが音楽というわけではないが、少なくとも単純に再生回数から導かれるほどには利益を妨害していない、それどころかむしろ売り上げ増加に貢献している。
コメントでご指摘頂いたが再生回数を一桁読み間違ったので修正、それに伴い結論を含めて少々手直しした。