人類起源神話の形

貴種流離譚という物語形式がある。主人公はこの世界のものではなくもっと尊い世界に属すべきもので(貴種)、それが場違いなこの世界にいるが故に迫害を受けており(流離)いずれ時至れば元の世界に戻り幸福になるという形式で、「醜い家鴨の子」辺りを思い浮かべて頂くと判り易いと思う。


この構造を持った人類起源神話をでっち上げたら面白いのではないかと思いついた。つまり人間は本来神の世界に属するもので、この苦界に追放されているがいつかは神の世に戻るという、ある種性悪説的というか悲観的というか、そうした物語である。
と考えていてふと気がついたのだが、これはキリスト教に於ける人類起源神話そのものではないか。人類は楽園を追放された身であり、いずれ時至れば千年王国に再生して至福を得るのだ。