ツリーでもタグでもなく

ブログやSBMのカテゴリ分けというのは他人のためにしか機能してないので、自分のためにカテゴリ(以前の何か)が作れるようなマーク手段が欲しい - 焚書官の日常他各所を読んで思うところを。
カテゴリ毎にフォルダを作って分類するようなツリー構造の問題点は「これはカテゴリAにもBにも属する」というものをどうするか、というところだと思う。すべてのデータは常にいずれか1箇所にのみ分類され、曖昧なものを許容する冗長性がない。
それを補うのがタグのようにメタデータを付与するやり方で、これならばAにもBにも属する場合でもAとB両方のタグを付けるだけで良く、分類/検索が容易である。ただしタグを自由に決定できるシステムではツリー構造より曖昧性が大きいため、共通性を見出すのが困難になる。個人の分類に於いてはそれほど大きな問題にはならないだろうが、多人数で扱うには向かない。
これに対しはてなブックマークではキーワード(及び自動カテゴリ分類)とタグの併用という新機軸を打ち出すに至ったが、これは個人のブックマーク内に於いては有効に機能するものの、はてなブックマーク全体を見通すには結局利用できていない。


ところで結局何のために分類するのかと言えば、それは情報を後から探し易くするためである。つまり検索が強力になれば分類など不要とも言えるわけだが、残念ながら人の記憶は曖昧だしコンピューターにはその曖昧さを処理できないから、その折衷案として人の曖昧さをある程度排除しながらも感覚的に処理できる方法が模索されているわけである。
その点で一番成功を収めているのではないかと思えるのが関心空間で、キーワードをカテゴリツリーに分類しつつもそれを超えるメタデータとして「つながり」を用いて共通点を人為的に結びつけている。
「つながり」はタグと同じく文字列の全文一致でリストアップされるとともに、あらゆる分類に関係なく二つのデータを相互に結びつけ、これによりひとつのキーワードに対し近似するキーワードが人力でリストアップされる。つまりタグに局所的なデータリンクの概念を持たせることで単発的なリンクの連なりがひとつのグループを作り出し、狭い範囲ながら密度の高い分類を可能にしていると言える。
つながりは1方向からのアクションでも双方向に生成されるから、ユーザーは自分のキーワードに対しページビューを呼び込む効果を期待し、積極的につながりを見出す。
また副次的効果として、相互のつながり文字列で短い会話が成立するという側面もあり、コミュニケーションとある種の自己顕示欲の相互作用でリンクは加速する。


はてなの場合、この効果は主に日記のコメントとトラックバックが担っており、ブックマークにその効用を期待してはいないのだと思うが、現行の1行コメントではなくクリップに対する長文記入とコメント/相互リンクを可能にする仕様というのもまた違った価値を生み出しうるのではないか。それは既にブックマークではない別種のサーヴィスかも知れないが。