人力検索:回答者拒否機能の是非

人力検索は様々な問題を孕んでおり、実のところ新たな機能の導入ではなく根本的なシステムの変更が必要なのではないかと思っている。
今回の回答者拒否案の根本には、恐らく早い者勝ちな回答オープン制度への不満があるのだろう。


現在のシステムでは質問者は送られてきた順に回答を開くのみであるから、回答者は質問者が満足してしまう前に自分の回答を読んでもらうべく、他者より早く回答せねばならない。これははてなが即応性を意図してそのように設計したのであるが、結果としてgoogleでちょっと検索しただけで中身を吟味していないような回答など、質の悪いものが多くなる傾向を生んでいる。何らかの方法でこの早い者勝ち制度を改めなければ、ユーザーの増加に伴って回答の質は低下の一途をたどることになろう。


もう一つの不満点は回答の表示により追加される支払いポイントである。現状のシステムでは、支払いポイントは「回答を読むことに対する対価」の認識が強い。これは回答を読む度に支払いポイントが増加するという制度の問題だが、かと言って読んだ数と支払いポイントに何の関連も持たせなければ、多数の回答を集めておきながら全くポイントを払わないような輩も登場しかねない。
この辺りについては解決案をid:DocSeri:20040925#1096124774で提示した。


個人的にはユーザーへの直接的な評価は避けるべきだと考えており、故に前述の案もあくまで回答に対する評価である点にこだわっているのだが、早晩回答者への評価システムもあるいは避けられないのかも知れない。
そうだとしても、直接的なブラックリスト制度には問題があるように思う。
ひとつは余りに直接的・攻撃的に過ぎ、新たな軋轢を生じることが確実であろう点。ブラックリストでの回答拒否はシステム上、ブラックリストに入れられたユーザーが入れたユーザーをはっきり認識できる。
もう一つは新規ユーザーがブラックリストを有効活用できない点。現状案では一度回答された(=被害を受けた)後でなければリストに登録できないから、この制度が有効に生かされるのは何度も質問を重ねたユーザーのみで、初心者救済策にはなり得ない。


以上を踏まえた上で、ユーザーモデレーション制度を提唱する。
これは、キーワードと同じくユーザーに対し±の評価を下すことで、支持されない回答者を排除するシステムである。各ユーザーの開始時モデレーション値は50(±ともに1票としてカウント)とし、他ユーザーの画面で+または-に票を投じることでスコアが変動する。
捨てIDでのスコア操作を防ぐ為、投票はユーザー登録後30日以上経過し、また最近30日以内に質問または回答を行ったユーザーのみに限る(人力検索はてな市民権)。
質問者は質問作成時点でモデレーション閾値を1〜100の範囲で設定する。これは設定値以下のスコアしか持たないユーザーの回答を拒否すると同時に、回答オープン時に加算される支払いポイント量を表す。即ち、優良回答者に回答権を限定すればするほど支払うべきコストも高くなる(が、最初の1〜2人で回答が終了すれば却って安くつくかも知れない)。
一応、閾値を高くしすぎて誰も回答できないような状態を避ける為、ユーザー評価値の最大値の表示、及び設定された閾値以上のユーザーの絶対数または割合を通知する必要があるだろう。
併せて、回答できない質問は表示色を変更するなどの方法で回答者に知らしめる必要がある。これは無駄足を避ける為でもあるが、ユーザーに自信の評価を知らしめる為でもある。殆どが回答不能な質問で占められるユーザーには反省を促したい。


ところで人力検索はてなは基本的に、自動検索エンジンの代わりに人力でURLを探し出すことを主目的としており、故にURLが必須(専門分野はてなでない限り)だが、既にこのシステム自体も有名無実である。この際、URL欄は参考程度に止めてしまっても良いのでは。


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