書物

花井沢町公民館探訪(1):花井沢町はどこにあるのか

「花井沢町公民館便り」は、架空の小さな町に引き起こされた「生物だけを通さない」障壁の暴走事故と、その結果として外界と隔てられた閉鎖社会を描くSFである。花井沢町公民館便り(1) (アフタヌーンコミックス)作者: ヤマシタトモコ出版社/メーカー: 講…

火星から月へ:アンディ・ウィアーを読み比べる

アルテミス 上 (ハヤカワ文庫SF)作者: アンディウィアー出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/01/31メディア: Kindle版この商品を含むブログを見るアルテミス 下 (ハヤカワ文庫SF)作者: アンディウィアー出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2018/01/31メデ…

持続可能な漫画読み放題の可能性を探る

漫画の違法共有サイトが話題である。 実際に覗いたことがないので伝聞になるが、「既存の合法的な電子書籍/Web漫画誌などよりも使いやすい」のだそうで、無料で気軽に人気作品が多数読めることから出版業を大きく圧迫しているようだ。 無論、国内の著作権法…

「本好きの下剋上」を追う博物館の旅

本好きの下剋上?司書になるためには手段を選んでいられません?第四部「貴族院の自称図書委員I」作者: 香月美夜出版社/メーカー: TOブックス発売日: 2017/12/09メディア: Kindle版この商品を含むブログ (4件) を見る 印刷博物館 2018年1月初頭まで、文京区…

最高のファンタジー漫画、紫堂恭子「辺境警備」と「グラン・ローヴァ物語」

ファンタジーがファンタジーであるために、必要なのは異世界ではなく、「幻想」だ。 魔法と呼ばれていても、定型の呪文を唱えれば定型の効果が発揮されるようなものは、単なる「技術」であって、幻想がない。 魔獣と呼ばれていても、生態が知られており人の…

図書館の騎士団:打ち捨てられた武と知の物語

スウェントヴァイトという都市がこの世界に存在したことはない。つまりこれは架空の世界だ。だが所謂「竜と魔法の存在する」ファンタジーではなく、実在しないというだけでその様相は全くの中世欧州のそれである。 スウェントヴァイトは知の砦だ。古今東西あ…

Kindleの整備

iPadをAir2からPro9.7に買い替えた。初めてiPadを導入したminiの時は、即日購入できるモデルということで32GBを選択したところ容量が全然足りなかったので、Air2では最大の128GBを買ったにも関わらずKindle端末として本格利用を開始したら容量の大半を喰い潰…

本好きの、本好きによる、本好きのための「本好きの下剋上」

「本好きの下剋上」を、公開分まで読み切った。あまりに面白かったので書籍版もKindleで揃えて、また最初から読み直している。一作品をじっくり読むより次々に濫読する方を好む私としては小説をこのように読了後すぐに読み返すことはほとんどないので、気に…

異世界ひとりDASH村(ただし本限定)「本好きの下剋上」

「小説家になろう」で大勢を占める異世界転生チートものの中で、ちょっと異彩を放つ作品である。 ncode.syosetu.com 特徴的なのは「中世ヨーロッパ風世界であること」「(中身が)現代日本人という設定が描写に生きていること」「チートというより苦労話である…

ノベルゼロの初回刊行分をサンプリング

KADOKAWAが新レーベルを創刊した。ノベルゼロ、主に30代の男性をターゲットとした「大人向けライトノベル」的位置付けである。 novel-zero.com 装丁は無地で、上1/3には黒文字だけ、下2/3を絵入りの大帯で覆うという「ライトノベルっぽさとライトノベルっぽ…

ブレイクエイジの話をしよう

20年前に描かれた、「ロボット対戦ゲーム」漫画の傑作が、Kindle化された。漫画全10巻+外伝、それに小説がリリースされている。 (理由は不明だが9巻のみリンクできない。はてな側の問題と思われる) どんな漫画? 一言で表せば「Boy meets Girlでモラトリアム…

多分唯一の"ピンボール漫画"「FLIP-FLAP」

とよ田みのるのピンボール漫画「FLIP-FLAP」がKindleで出版された。作者自身の手によるKDPである。FLIP-FLAP作者: とよ田みのる発売日: 2015/03/16メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る単行本には未収録な販促絵なども追加収録、通常電書では切り捨…

打ち切りと自己出版とロック付き電書アプリ

DeNAのWebコミック配信サイト「マンガボックス」にて連載中だった漫画「境界のないセカイ」が、講談社による単行本販売が行なわれないことになり、収益が見込めないため打ち切られたという。「境界のないセカイ」マンガボックス連載終了のお知らせ打ち切りの…

「ダンジョン飯」1巻発売を記念して

ダンジョン飯 1巻 (ビームコミックス)作者: 九井諒子出版社/メーカー: KADOKAWA/エンターブレイン発売日: 2015/01/15メディア: コミックこの商品を含むブログ (202件) を見る九井諒子初の長編連載が単行本になった。作者の持ち味である「フィクションではオ…

Kindleアプリへの機能改善要求

以前電書アプリに望む機能 - 妄想科學倶楽部などでもある程度電子書籍への機能要求について書いたのだが、普段使っているのがAmazonのKindleアプリ(iOS版)なので、今回は(主に上記記事で触れなかった部分について)機能への不満点と改善案を書いてみる。 「ラ…

電書アプリに望む機能

それなりに本読みの人ならば誰しも「本の置き場」に悩んだことがあるだろう。物理的な場所を取らない電書は明らかに収納問題の救世主だ。 しかし現状、電子書籍には足りないものが多過ぎる。場所という絶大な利便性があるからこそ他のことには目を瞑っている…

丁度良いkindle具合

去年末にiPad miniを買ってから、なるべく本はkindleで買うことにしている。普段から携行できるし、場所を取らないからだ。別にkindle以外の電書サーヴィスでもいいのだが、分散させると管理が厄介になるので一番将来性が安定しそうなkindleで統一することに…

電書雑誌に必要なもの

kindleで月刊スピリッツが無料だったのでダウンロードしてみた。 個々の作品への言及はさておき、「雑誌としての機能」が気になったのでちょっと書く。普段、雑誌を読むに際し(少なくとも私は)全部通読することはない。ざっとめくって絵柄で作者を見分け、好…

リアルゲームブック:本屋迷宮からの脱出

神保町の書泉グランデで開催中のリアルゲームブック「本屋迷宮からの脱出」に参加してきた。 フリーペーパー:SCRAP:京都全域で配布中 » リアルゲームブックシリーズ vol.1本屋迷宮からの脱出 店頭で(参加費代わりの)1050円のゲームブックを購入し、それを…

「聲の形」を巡るもの

「聲の形」という漫画が今、話題になっている。 少年マガジンの第80回漫画賞で大賞を受賞した作品でありながら、本誌への掲載は見送られ、その後作者は別の原作付き連載を以てデビューした。 以前一度だけ「別冊マガジン」に掲載され、大きな反響を呼んだこ…

魔導書大戦RPG マギカロギア

魔道書大戦RPG マギカロギア (Role&Roll Books)作者: 河嶋陶一朗,冒険企画局,トリゾー出版社/メーカー: 新紀元社発売日: 2011/04/28メディア: 単行本(ソフトカバー)購入: 5人 クリック: 172回この商品を含むブログ (20件) を見るサイコロ・フィクションシ…

美しい鉱物写真集

鉱物趣味はなかなかに茨の道である。「鉱物の標本」を集めて楽しむ場合は産出の稀な標本類の入手が、単に「綺麗な石を集める」場合は宝石級の価格が。そしてどちらにしても、保管の問題が。 しかし単に「綺麗な石を見たい」だけなら、写真で済ませるという手…

明日の早川さん

早川さんの中に流れる時間を止めたい、と最近考えはじめた。だってこのままずっと早川さんにいい人が現れる気がしないんだもの!30なんてすぐだぞ、もっと頑張れ!http://twitter.com/coco_n/status/12882354666 という作者の呟きを受けて 実は早川さんに最…

立ち読み書店と通販のビジネスモデル案

Twitterで呟いてた話なのだけれど、もうちょっと纏めておくべきかと思ってこっちに書いてみる。 電子書籍の情報量 kindleとiPadにより、漸く電子書籍市場がまともに成立する感じになってきた。電子書籍は検索性や空間占有量などの点で優位性があるので、いず…

(こんどこそ)電子書籍は流行るのか

電子ブックリーダーは電子ブックが受け入れられない限りは本体の需要もない。かつてソニーやパナソニックが電子ブックリーダーを(それもかなり出来の良いのを)作っていたけど、事実上撤退状況にあるのは、結局のところコンテンツが充実しなかったからだ。 何…

『クトゥルフ神話ガイドブック』ガイドブック

id:amamako ラブクラフトネタ理解したいけど何処で仕入れればいいのか…… id:feita クトゥルフ神話って全く知らないんだけど(なんか沙耶の唄と関係あるんだっけ?)結構オタクの常識なのか・・・? 「オタクの嗜みとして知っておきたいけどどこから入ったらいい…

図書館ベストセラー問題を考える

http://www.city.machida.tokyo.jp/shisetsu/cul/cul08library/announce/announce03/index.html 図書館が扱わなくなったからってそんなに書籍を自費購入することはないよなぁ。予算も保管場所もそうそう増えないわけで、単に読まなくなっちゃうだけなんじゃ…

泡坂妻夫、死去

http://www.asahi.com/obituaries/update/0204/TKY200902040135.html あんまり数読んでないけれど、作中に登場する「本を使ったトリック」をその作品自体に仕掛けたり、「袋とじ小説(16p単位で袋閉じになった状態で短編小説として読み、袋を開いて長編小説と…

大人の科学、望遠鏡ふたつ

ついでに資料の名目でニュートン式反射望遠鏡とガリレオ屈折望遠鏡の2種を購入。 思ったより小さい。しかしまあ、書籍サイズで2000円のキットなんだからまあこんなものか。

TRPG表紙議論

ルルブの表紙問題についての三つの立場 - ブレーキをかけながらアクセルを踏み込むでざっくり纏められているけれど。 好みの問題はさておき、気になるのは「萌え絵表紙の隆盛は需要の現れではないか」説。まあ半分ぐらいはその通りかなとも思う。 半分、とい…