NERFでSci-Fiなライフルを作る


NERF HyperFire AssaultRifle mod.

格好良いライフルの画像を見掛けた。
www.thefirearmblog.com
どうやらAR-15をベースにしたカスタムモデルらしい。銃にはあまり詳しくないが、原型である「ゴルゴ13の銃」M16とはずいぶんイメージが違う。どうやらAR-15には様々なカスタムパーツが作られており、これもそういったパーツを用いたビルドの一例らしい。
魅力的なこのライフルの形状を、NERFで再現してみようかと思い立った。

素体を決める

まずは改造のための素体にすべく、なるべく形状の類似性が高いブラスターの選定を行なう。
デザイン上のポイントは、大きく分けて4点。まずグリップ前方に下挿しのドラムマガジンがあること、それからグリップ後方に親指を入れる穴があり下方はショルダーストックまで繋がった形式であること、ショルダーストックが箱型であること、そして本体と高さを揃えたハンドガード付きの銃身が備わっていること。
このうち、グリップまわりの形状についてはどうにでも改造のしようがあるので優先度は低い。ショルダーストックも自作が不可能というわけではないものの、グリップよりも材料を必要とするため難易度が上がるので、できれば製品の形状に頼りたい。本体と銃身の位置関係については発射機構との兼ね合いが重要になる。とりわけカセットマガジンを含む発射機構については、改造はほとんど不可能と思われるので最優先である。

というわけで、まずは発射方式から選定してゆく。とはいえカセットマガジン方式のブラスター自体は決して少なくないため、選択肢は広い。ブルパップ方式のものを除外しても50では効かないぐらいの種類があるはずだ。
ただ、ドラムマガジンの入手も考え合わせると選択肢はかなり限られてくる。これまでに国内で正規販売されたブラスターの中で、ドラムマガジンが附属していたのはAlpha Trooper CS-18、Raider CS-35およびRampage、RhinoFire、HyperFire、Infinusの6種しかなく、このうちRaider CS-35/Rampageは形状以前にカセット挿入口が横向きなので条件が合わないし、RhinoFireは2連の大型ブラスターであり、入手難易度も価格も高い上に改造向きとは言えない。Alpha Trooper CS-18は発売時期がELITEシリーズよりも前であるために入手が難しい(AccuStrikeシリーズとして再販されるらしいが、現時点では入手できない)。

残る2種のうち、Infinusはグリップこそサムホールスタイルではないものの、充分なサイズのストックを持ち、グリップエンドを伸ばして接合すれば雰囲気は悪くなさそうだ。またエクステンションバレルを装備可能であるため、改造コストが低く抑えられる可能性がある。反面、自動装填システムを持つため内部空間に余裕がなく、とりわけ銃身位置より上側に張り出す装填機構の関係で本体の高さを抑えられないのは厳しい。

HyperFireはサムホールタイプのグリップと大きな箱型ストックのバランスが良いこと、また銃口の位置が本体上端に近いため高さを抑えやすい点で扱いやすい。ただしバレルが短かく、しかも純正のエクステンションバレルを取り付けることもできないため、何らかの改造が必須となる。本体とバレルの高さを合わせることが困難でストックの改造難易度も高く、流用可能なエクステンションバレルも持っていないため全体に改造コストが高くなるInfinusよりも、グリップまわりを少しとバレルの自作程度で済みそうなHyperFireの方が素体には適しているようだ。

改造計画

素体が決定したので、改造指針の策定と構想に移る。
最初にHyperFireの分解画像を探し、中身のレイアウトを確認する(こういう時はだいたいブラスター名+mod、で画像検索すると分解画像が探せる)。
imgur.com
画像を見ると銃口の下、マガジンキャッチより前の部分はほとんど空洞であることがわかる。この部分がデザイン上の大きな特徴ではあるのだが、今回はHyperFireらしくない形に改造したいわけで、ここはばっさりカットしよう。またグリップ前方を覆うハンドガードも、マガジンリリースボタンより下はカットしていい。
ショルダーストック内の電池ボックスより下についてもカットは可能だが、ネジ穴は残しておかないとフタが固定できなくなる。
逆に難しそうなのがグリップ後方からショルダーストックへの接続部だ。ここはグリップ中程から伸びているが、元ネタのデザインでは下方からストック下に接続して三角形のシルエットを形作っており、ここがデザイン上の大きなポイントになっている。従ってカットして繋ぎ直したいところだが、一方でこの内部にはトリガースイッチに繋がる配線が通してあるため、迂闊にスペースを潰すわけには行かないし、カットの際にも配線を切らぬよう注意せねばならない。
結局、ここについてはスペースを確保しつつサムホールを拡大する方向で行くことにした。
銃身は百均の塩ビパイプで自作する。

加工1:本体フレームのカット

まずは前方の銃口下部空洞を切り落としてゆく。射出用フライホイール部分が若干露出するが違和感は少なく、周辺を適当に埋めれば問題なさそうだ。
次に、グリップ前方のハンドガード部を切り落とす。マガジンリリースボタン部分については内部の補強曲線部に合わせてカットして残し、グリップ下方は直線的に断ち落とした上で曲面に合わせて削る。
グリップ後方部分は、サムホール部分の前側上方を残しつつ前側下方〜後ろ半分を切り取り、分割した上で位置をずらして貼ることにより穴を広げつつ配線スペースを確保する。また下のアーチ部分にはプラ材を接着してグリップ下に増設する直線部の基礎にする。
継ぎ接ぎの間をパテで埋め、削って形を整える。ここで直線的に平滑に、工業製品らしく加工できるかどうかが仕上がりに影響するので入念に磨く。
ついでに電池ボックスのフタも小改造。ネジで止める形式だと電池交換が面倒なため、ネジ穴を削って百均の小型強力磁石を埋め込み、フタを磁力で固定するようにした。
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パテだけで形状を作り込むと細かいディティールを作り込むのが難しくなるため、ドレスアップに流用可能なパーツを物色する。
百均でこんな三角コーナーを見付けた。
kokubo.co.jp
台形の穴が連続した網形状はなかなかSFガジェットめいて使い勝手が良さそうだ。惜しむらくは三角形で左右非対称のため、両面に等しく使うには不向きなことだが……まあ左右の面を見比べることはあまりないので良しとしよう。
網部分だけを切り出す。硬度の低いポリプロピレンなのでカットはそれほど難しくない。
これをグリップ下方に貼ってみた。周囲をパテで埋めて形状を整える。

加工2:バレルの延長

続いて短かい銃身を延長する。元の銃口そのままではパイプを固定できないので、射出機構に直結する内側パイプだけ残し、外側には百均の塩ビパイプを組み込む。
もちろんこのままでは格好悪いし安定しないので、バレルを支える部分を作る必要がある。実銃の場合は銃身が過熱し素手で触れなくなるので、外側に熱を伝えにくいハンドガードを取り付けるが、そのようなイメージでアウターを組みたい。他のNERFエクステンションバレルでも、だいたいは銃身とハンドガードの二重構造になっている。
いい感じに網状構造のパーツが入手できればいいが……と百均を巡ったら、直径5mmぐらいの穴が斜め45度の網状に並んだ小物入れを見付けた。硬度の高いスチロール樹脂だ。
item.rakuten.co.jp
これをカットしてバレルの左右に並べよう。あとはバレルの根本と先端で固定すればいい。
以前にHammerShotの外装パーツをバラした時の余りパーツがサイズ的にもデザイン的にも丁度良かったので、これを小物入れの側面と接着して外装のベースとする。下半分は一度カットした上で前方にずらして接着することで「謎の斜めスリット」が発生し、SFっぽさが強調された。さらにグリップにも使った三角コーナーの網をここにも配置してみた。ただ、左側面には丁度良いのだが右側面では反転して角の丸めが行なわれていない面を表にせざるを得ないのが残念だ。
バレルにするパイプには、一定間隔で穴を空けておく。これはダーツが押し退ける空気を逃がすための穴で、少しでも空気抵抗を軽減して初速の低下を防ごうという試みだ。

延長バレルの外装は銃口の根本でネジ止めしてしまうことにした……のはいいが、実際に取り付けてみたところ、思ったより取り付け位置が低い。元にしたライフルの格好良さのひとつは銃本体の上面からバレルのハンドガード部までがツライチであることなのだが、出来上がったシルエットはそうなっていない。
NERFの電動ブラスターはダーツを上下からフライホイールで挟んで射出する形式を取るため銃口より上側に機構が突出することになり、どうしてもバレルが本体上端より一段低くなってしまうのだが、それが露骨に出てしまった格好だ。
そこで、バレルの上側に高さを水増しするパーツを増設してシルエットを合わせることにする。
本体から切り落としたパーツの一部がドットサイトっぽい形状に見えるので、これをバレル上方に取り付けてみる。また、本体との間を繋ぐためにバレルを支持する肋材を取り付けることにした。これには百均のふきん掛けを流用している(百均材料ばっかりだ)。
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加工3:アクセスドアの改造

HyperFireの発射機構は突起の付いたベルトが回転してダーツをフライホイールに押し込む方式だが、このベルト駆動部はダーツクリップ直上にあり、ジャム時のアクセスドアを兼ねている。しかし歯車部分のカヴァーが後方の駆動歯車と接触しないようにするため、ドアの開閉角が抑えられておりアクセスが悪い。これを改善するため、開き角を大きく取れるように改造を試みる。
ヒンジの開き角を抑える要因となっているのは、ベルト駆動歯車を覆うカバー部分と、本体フレームの接触だ。これを削って90度近くまで開くようにしてしまおう。
ただ、これによってベルト歯車部分が剥き出しになってしまうという問題も生じる。塵を噛み込んで歯が潰れるのも困るが、回転する歯車に触れて怪我をするのも困るので、ここに可動式の覆いを着けることにする。
ヒンジの後方、青いフレームの波状部には何の部品もなく、僅かながら隙間を確保できそうだ。ここに収納されるようなスライドドアを取り付けられないだろうか。
三角コーナー網の切れ端がちょうど良いサイズだったので、ネジ受け部の上を少し削って空間を作り、それに合う幅に切り取った網を入れてみる。行けそうだ。
問題はこのカバーをヒンジにどう固定するかだ。最初、柔軟性のあるフィルムを接着してみたのだが、あっさり剥がれてしまった。網に軸を接着してアクセスドア側に受けを作ることでヒンジにすることも考えたが、接着部分がすぐ外れそうな気がする。
そういえば網の方には穴があるわけで、アクセスドア側にも穴を空けて結んでしまえば……
幸い、ドアの上方はただの空間なので、ここに小さな穴を空け、細い結束バンドを通して網を結び付けることにした。仮組みしてみるとするりとドアが隙間に収まり、効果的に歯車部分を覆い隠してくれるし、意匠的にも悪くない。
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加工4:タクティカルレールの増設

HyperFireにはストックやバレル取り付けのための機構だけでなく、タクティカルレールも本体前方の1箇所しかない。スコープを取り付けるには位置が悪いし、他のオプションを付ける余地もないので、レールを増設する。
5x15mmのスチロール樹脂製アングルを2枚重ねて貼り合わせたものを、長辺で背中合わせに接着するとT字型の部材が作れる。これが丁度タクティカルレールぐらいの幅になる。
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固定ツメを滑らせる溝と引っ掛けるラッチは作れないが、代わりに前方から差し込んでツメで止まるように運用すればいいだろう。貼り合わせた下の材を、上の材の幅に合わせて少し斜めにカットすると差し込みやすい。

アクセスドアの上方にあったアイアンサイトは切除し、代わりにタクティカルレールを取り付ける。アクセスドア上方には空間があるので、ここをカットしてレール基部を差し込んで固定する。レール部材側は空間の幅ギリギリに作っておいて、アクセスドア側はそれより狭く中央部分を切り取り、レール部材の左右に切り欠きを入れて嵌め込めば、ガタツキもなくぴったりと固定される。ただアクセスドアのパーツが中央分割でないため左側に隙間ができるので、そこは端材で埋めてしまう。
これにより従来よりも後方、ストック頬を付けて構えた時に眼前に来る位置でスコープを取り付け可能になった。

また、延長バレル下部にもレールを取り付ける。実銃のアタッチメント用に用いられるピカティニーレールの場合は凹凸を設けてパーツの固定位置を調節できるようになっており、それを模したタクティカルレールにも凹凸のディティールが付けられていることが多いが、自作レールでは幅を調整して凹凸を作るのは些か難しいものがあるので、代わりに肉抜きでディティールを増やしてみた。

加工5:フォアグリップの制作

延長バレルのパーツとして流用したHammerShotのパーツには、下方にトリガーガードを形成する突起がある。これをどう処理するか考えた結果、HyperFireから切り取ったハンドガードをここに取り付けてフォアグリップを作ることにした。未来的フォアグリップとして人気の高いHera ArmsのCQRを参考に、パテを盛って形を作る。
item.rakuten.co.jp
グリップ後方は斜めに伸ばしたアームで本体フレームに接合し、剛性を確保した。
ここはモデルとした銃にはないパーツであり、シルエットを大きく変えてしまう部分なので悩みどころではあったが、下面のディティールアップを優先することに。

その他、ドラムマガジン側面を切り抜いてメッシュ状にするなどの改造も考えたが、ダーツの滑りに干渉してジャムの原因となりかねないため断念した。

塗装

全体をマットブラックで塗装し、明度を抑えたグレーを中心として塗り分ける方向でプランを立てる。とはいえ、グリップまわりにミディアムグレーを使うと他の塗り分けが難しい。とりあえず金属パーツを黒を混ぜたメタルカラーで塗り、ストックとハンドガード外装部をダークグレーで塗ってみた。
なお全体の塗装にはマットな質感を期待して黒板用スプレーを使ってみたのだが、これが乾燥に半日かかる代物だったために下塗りだけで数日ががりになってしまった……やはり模型用を使うべきだったか。

近くで見ると造形にも塗装にも粗が目立つが、遠目にはなかなか良い雰囲気のSF銃に仕上がったので満足。
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はじめてのカメラ選び:レンズが安いマウントを探す

レンズ交換式のカメラは、交換レンズを取り揃えてこそ意味がある。しかし何本も買うとなると金額が問題になってくる。
最初にボディとレンズのセットを安く買えるとしても、その他のレンズが高価いようでは苦しい。
そこで、レンズマウントごとに基本的なレンズ群の価格(と、ついでに重量)を調べてみた。とりあえず「はじめてカメラを買う」時のことを想定し、高価な35mm判フルサイズは除外してAPS-C以下の一般的な国内メーカー製品を取り上げている。
なお、価格情報は価格comの2018年10月初頭時点でのもので計算しており、時期により多少の変動があろうかと思うので参考値ということで。

ミラーレス

マイクロフォーサーズ レンズ 価格 重量
広角ズーム オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6 ¥51,442 155g
標準ズーム パナソニック LUMIX G VARIO 14-42mm/F3.5-5.6 II ASPH./MEGA O.I.S ¥15,500 110g
望遠ズーム パナソニック LUMIX G VARIO 45-150mm/F4.0-5.6 ASPH./MEGA O.I.S. ¥21,760 200g
小計 - ¥88,702 465g
標準単焦点 パナソニック LUMIX G 25mm/F1.7 ASPH. ¥19,350 125g
マクロ オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 30mm F3.5 Macro ¥26,800 127g
小計 - ¥46,150 252g
総計 - ¥134,852 717g
キヤノンEF-M レンズ 価格 重量
広角ズーム CANON EF-M11-22mm F4-5.6 IS STM ¥34,000 220g
標準ズーム CANON EF-M15-45mm F3.5-6.3 IS STM ¥23,938 130g
望遠ズーム CANON EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM ¥34,284 260g
小計 - ¥92,222 610g
標準単焦点 CANON EF-M32mm F1.4 STM ¥58,895 235g
マクロ CANON EF-M28mm F3.5 マクロ IS STM ¥31,576 130g
小計 - ¥90,471 365g
総計 - ¥182,693 975g
富士フイルムX レンズ 価格 重量
広角ズーム 富士フイルム フジノンレンズ XF10-24mmF4 R OIS ¥84,980 410g
標準ズーム 富士フイルム フジノンレンズ XC15-45mmF3.5-5.6 OIS PZ ¥31,980 135g
望遠ズーム 富士フイルム フジノンレンズ XC50-230mmF4.5-6.7 OIS II ¥36,450 375g
小計 - ¥153,410 920g
標準単焦点 富士フイルム フジノンレンズ XF35mmF2 R WR ¥36,449 170g
マクロ カールツァイス Touit 2.8/50M ¥97,670 290g
小計 - ¥134,119 460g
総計 - ¥288,404 1210g
ソニーE(APS-C) レンズ 価格 重量
広角ズーム SONY E 10-18mm F4 OSS ¥69,800 225g
標準ズーム SONY E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS ¥29,010 116g
望遠ズーム SONY E 55-210mm F4.5-6.3 OSS ¥28,380 345g
小計 - ¥127,190 686g
標準単焦点 SONY E 35mm F1.8 OSS SEL35F18 ¥35,800 154g
マクロ SONY E 30mm F3.5 SEL30M35 ¥19,800 138g
小計 - ¥55,600 292g
総計 - ¥182,790 978g

ミラーレス機では、やはりマイクロフォーサーズの安さと軽さが突出している。ズームレンズのみの合計ならばEF-Mもそう高価くはないのだが、単焦点が割高なため総計では1.5倍近い差がある。また重量で見ても、APS-Cがほぼ1kg弱の重さとなっているのに対しマイクロフォーサーズは3割ほど軽い。
APS-C機の中では唯一の「主力ライン」である富士フイルムX系はレンズにもかなり力が入っており、それが価格にも跳ね返っている格好だ。もう少し「撒き餌」を用意してもいいのでは……

一眼レフ

キヤノンEF(APS-C) レンズ 価格 重量
広角ズーム CANON EF-S10-18mm F4.5-5.6 IS STM ¥30,280 240g
標準ズーム TAMRON SP AF 17-50mm F/2.8 XR Di II LD Aspherical ¥17,930 434g
望遠ズーム CANON EF-S55-250mm F4-5.6 IS STM ¥25,000 375g
小計 - ¥73,210 1049g
標準単焦点 TOKINA AT-X M35 PRO DX 35mm F2.8 ¥53,978 340g
マクロ CANON EF-S35mm F2.8 マクロ IS STM ¥38,479 190g
小計 - ¥92,457 530g
総計 - ¥16,5667 1579g
ニコンF(APS-C) レンズ 価格 重量
広角ズーム ニコン AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR ¥33,300 230g
標準ズーム TAMRON SP AF 17-50mm F/2.8 XR Di II LD Aspherical ¥17,930 440g
望遠ズーム ニコン AF-S DX VR Zoom-Nikkor 55-200mm f/4-5.6G IF-ED ¥14,580 335g
小計 - ¥65,810 1005g
標準単焦点 ニコン AF-S DX NIKKOR 35mm f/1.8G ¥19,760 200g
マクロ TAMRON SP AF60mm F/2 Di II LD [IF] MACRO 1:1 ¥29,508 390g
小計 - ¥49,268 590g
総計 - ¥115,078 1595g
ペンタックスK(APS-C) レンズ 価格 重量
広角ズーム TAMRON SP AF 10-24mm F/3.5-4.5 Di II LD Aspherical ¥30,743 406g
標準ズーム TAMRON SP AF 17-50mm F/2.8 XR Di II LD Aspherical ¥17,930 440g
望遠ズーム ペンタックス smc PENTAX-DA 50-200mm F4-5.6ED WR ¥24,696 285g
小計 - ¥73,369 1131g
標準単焦点 ペンタックス smc PENTAX-DA 50mmF1.8 ¥9,974 122g
マクロ ペンタックス HD PENTAX-DA 35mmF2.8 Macro Limited ¥45,276 214g
小計 - ¥55,250 436g
総計 - ¥128,619 1345g
ソニーA(APS-C) レンズ 価格 重量
広角ズーム TAMRON SP AF 10-24mm F/3.5-4.5 Di II LD Aspherical ¥30,743 406g
標準ズーム TAMRON SP AF 17-50mm F/2.8 XR Di II LD Aspherical ¥17,930 434g
望遠ズーム シグマ 18-50mm F2.8-4.5 DC OS HSM ¥21,455 395g
小計 - ¥70,128 1235g
標準単焦点 シグマ 30mm F1.4 DC HSM ¥34,930 435g
マクロ TAMRON SP AF60mm F/2 Di II LD [IF] MACRO 1:1 ¥38,313 390g
小計 - ¥73,243 825g
総計 - ¥143,371 2060g

キヤノンの標準単焦点で35mmの最安はマクロレンズだったので、そちらはマクロ側で登用し次点を採用した。スペックが近い上に価格、重量とも勝るのだから実質的に両方を買うことはないと思うが、それを言うなら明るい標準マクロのあるマウントはいずれも標準単焦点が不要と言えることになり、比較が面倒になるので便宜的なものである。仮に35mmマクロを2本分として計上するなら、合計金額で1万5千円ほど、総重量で150gほど下がることになる。
総じてAPS-Cサイズ一眼レフはレンズが安い。ニコンなどは合計わずか11万強とマイクロフォーサーズよりも2万円以上安い。サードパーティ製が充実しているのが価格面でも優位に働いているのは間違いないが、決して純正品が高価というわけでもなく、たとえばペンタックス単焦点などは1万円を切る圧倒的な安さを見せる。
驚くべきはソニーAマウントで、すべての安価なレンズがサードパーティ製品である……というか、どうやらソニー製のAマウントAPS-C用レンズは既に一般店頭販売を終了し自社通販のみとなっているようだ。Eマウントのフルサイズ化に伴い事実上クローズしたラインとはいえ、あまりに扱いが小さい……
ただ、安価な反面でレンズの重さはミラーレスの1.5〜2倍もあり、本体も大振りであるため携帯性の面ではミラーレスに分がある。安さを取るか軽さを取るかは悩みどころだ。

なお、上記はあくまでズームレンズ3本と単焦点レンズ2本を個別に購入した時を想定しての金額であり、たとえばレンズキットでこれらのうち1〜2本が代替される場合はその分だけ残りの金額が変わってくる。たとえば標準ズームと望遠ズームの附属するダブルズームキットは5〜10万円ぐらいで購入可能だが、これを購入することで標準ズームおよび望遠ズームを別途購入せずに済ませられるならば実質3〜7万円分ぐらい安くなると見做せることになる。

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docseri.hatenablog.jp

環境型水族館「アクアマリンふくしま」

福島県いわき市の水族館「アクアマリンふくしま」へ行ってきた。
www.aquamarine.or.jp
シーラカンスの研究などでも知られる、環境展示・体験学習型の水族館である。

交通

水族館の最寄駅であるJR常磐線泉駅までは、上野駅から特急ひたちで2時間ほど。運賃3670円+特急券2200円で行ける(もちろん普通列車のみでも行けるが、3時間半ほどかかる)。
特急には停車駅の少ない「ひたち」と停車駅の多い「ときわ」があり、上野駅からはひたちが毎時丁度、ときわが毎時30分に出ている。
当初は8時発に乗って10時過ぎぐらいの到着を予定していたのだが、上野駅ナカのecuteは8時にならないと開店しないため、朝御飯を買う時間もない。駅弁の売店ならば6時半から開いているしコンビニで済ます手もないではなかったのだが、それは些か味気ないということで、結局ecuteが開くのを待って弁当を調達し、9時の便で行くことにした。
私が購入したのはeashionの牛焼肉・ハンバーグ弁当。2種類の味が楽しめて満足感が高い。
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(ところで弁当販売店の公式サイトを見たが「メニュー」のすべてがnot foundになってるのはどうかと思うので、ちゃんと整備していただきたい)

特急ひたちは全席指定であるが、席を予約しなくても乗ることはできる。座席上の荷物置き場にランプが点灯しており、緑は現区間が予約済みの席、黄色は次の区間から予約客のいる席、赤は空席であるため座っていても良い(もちろん、途中で予約客が乗ってくる場合はどかねばならないが)。なお行きは空席もあったが帰りの便は水戸以南で全席満席であったので、予め座席の予約をおすすめする。
上野から水戸までの1時間あまりはノンストップ、ここまでは実に特急らしいのだが水戸を過ぎると途端に停車駅が増え、1〜3駅ごとに停車するようになる。特段乗換駅でもない上下2面ホームの小さな駅にも停まる。
まあ泉もそんな感じの駅の一つで、ここに停まってくれるからこそ比較的短時間で水族館まで行けるのだが。
Google StreetViewで駅舎を見ると結構立派な感じを受けるが、駅前にあるのはバス停とタクシー乗り場のみで賑わいが感じられない。駅自体もホーム2面のみ、売店もなく、それどころか改札内に乗越清算/Suicaチャージャーもなかったのは驚いた。
利用者の最も多い通勤時間帯の7時台を除けば、20〜30分に1本の電車しかない。特に特急待ちの場合は最大1時間近く待つことになるので、それなら時間潰しを当て込んだ店がありそうなものだが、地元は完全に車社会なのでそういう需要に乏しいのだろうか。

ここから新常磐交通バスで最寄りバス停である「イオンモール小名浜」へ。なおバスは1時間あたり2本ほどしかなく、列車の発着時間と連動もしていない。またSuicaなど交通ICカードには対応しないため整理券を取って小銭で支払う必要がある。運賃は大人270円。
バスで走ること15分ほど、イオンモール前のバス停に到着する。ここは差し渡し300mほどもある大型の複合商業施設で、近隣にある漁港の魚市場/食堂街である「いわきら・ら・ミュウ」、それに「アクアマリンふくしま」を含めた一角がこの付近で一番のレジャースポットということになる。
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バス停からイオンモールに入り2階へ上がると、車道を越える橋を渡り港側へ出ることができる。港側に向かって右側に見える湾曲したガラス張りの建物が、目指すアクアマリンふくしまだ。
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館内

入るとまずは「縄文の里」と題したビオトープをぐるりと回るトンネルがある。ただ、現時点ではビオトープを外側から眺めるのみで、途中いくつかの生物展示がある以外にはあまり見るべきところはない。
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トンネルの終わりにユーラシアカワウソの水槽があり、それを抜けると本館に続く道に出る。面倒ならこの一角は迂回して直接本館に向かっても良い。
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本館は港に面する左側が一面、湾曲したガラスで覆われている。右側はコンクリートの箱型構造だが、その上側を覆うようにガラス面が伸び、屋上は日当たりの良い温室状になっている。
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本館エントランスから、まずは古代生物のコーナーを抜ける。
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最大の板皮魚類ダンクルオステウスの模型は迫力だ。
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化石を見ながらエスカレーターで屋上温室部分へ上がる。
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屋上に広がるのは、ミスト散布により湿地帯を形作る「ふくしまの川と沿岸」コーナー。
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長い森の折り返しで、目の前に飛び込んでくるのは「潮目の大水槽」の水面近くを駆け巡るイワシの群れだ。
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この水槽は途中で区切られており、左側が黒潮、右側が親潮になっている。北海道の南東から本州の太平洋岸沿いに南下してくる親潮と、房総半島から北上してくる黒潮とがちょうどぶつかり合う「潮目」が福島県宮城県の沖合あたりに位置し、それが水槽の由来である。

親潮を過ぎると、その向こうには北の海に暮らす水鳥や海獣の展示水槽がある。入館前から響いていた吠え声は、ここにいるトドのものだ。
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さて、開放的な屋上から館内に戻り、今度は漁業などに関する展示の並ぶゾーン。ここにはクジラの骨や南極の氷、ニホンウナギの調査など、生きた魚からちょっと離れた(やや地味な)内容が多い。
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そこを抜けるとふたたび屋上の、今度はアジアの水辺コーナーへ。
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熱帯植物の間を抜けると、そこは珊瑚礁の水槽である。温かな海に棲む色とりどりの魚が目を引く。
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その先にはふたたび潮目の大水槽。
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以前は左右の階段から直接降りられたが、今の順路は一旦この水槽前を通過することになっているようだ。何故かここには寿司屋があり、潮目の握りを食べることができる。
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寿司屋の先にはオホーツク海コーナー。
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ヒラヒラと細い触腕を棚引かせるのはドフラインクラゲ。
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ぽってりと丸いのはシロクラゲ。
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クリオネは小さくてよく動くので撮るのが大変だ。

さて、潮目の大水槽まで戻ると、潮目に当たる隔壁部分が三角の通路になっているのがわかる。ここからはふたつの水槽を一度に見ることができるだけでなく、通路の壁がプリズムや万華鏡のような効果を生む、なかなかの写真スポットでもある。
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三角形のトンネルを抜けた先には「ふくしまの海」、ここは大陸棚の先にある深度200m以上の深海水槽エリアである。
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ヨシキリザメやギンカガミ、タカアシガニにキタミズクラゲなど、青暗い水の中にほのかに浮かび上がる生物の姿は、人の目には充分な明るさだがカメラに収めるには厳しいものがある。
暗いゾーンを抜けて情報エリアの先へ進むと、南国の明るい浅瀬水槽があり、色鮮やかな熱帯の魚を真横や真上から見ることができる。
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下へ降りるとミュージアムショップとレストラン、他にシアターや展望塔も。
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ここから左へ進み入口側へ戻ってもいいが、今回は右手側の体験学習エリア「アクアマリン えっぐ」へと向かう。ここは子供にも見やすいように背の低い、周囲からぐるりと見ることのできる小さめの水槽が並び、魚だけでなく昆虫や蛇なども展示されている。
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外へ出ると釣り体験や磯の生物に触れられる蛇の目ビーチ、ぐるりと外周を通り抜ければビオトープの先にふたたび館内へ戻る入口がある。
この先エントランスホールには金魚展示エリアがあったのだが、今は改修のため撤去されている。
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順路の最後はエントランスホール中腹にあるシーラカンス展示エリア。
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タマカイはスズキ目の魚で、シーラカンスの属する肉鰭綱とは4億年前に分かれた別グループの魚だが、その中では形態・習性ともシーラカンスに似ているため、ここで展示されている。
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シーラカンスの標本(インドネシア種・アフリカ種とも)、
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絶滅した大型シーラカンスの化石やヒレの動きを模したロボットなども。

外へ出るとクウェート・ふくしま友好記念庭園の先にフェネック館が。
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残念ながらここも現在は改修中だ(金魚はこちらに移動するらしい)。

撮影

今回は水族館内の撮影を前提にカメラをセッティングした。
水族館は全体的に暗いので、オートで撮るとシャッタースピードが遅くなりがちだ。しかし水槽内には水の動きがあり海藻や水棲生物もじっとしてはいない。特に魚は結構素早く動くので、シャッタースピードはなるべく早くしたい。そこで画質の荒れには目を瞑り、ISO感度上限を高めに設定してISOオートで撮ることにし、シャッタースピード優先モードで1/200〜1/250ぐらいにしておく。これで手ぶれや被写体ぶれは大体防げるはずだ。
もちろん、ISO感度は低めに撮れるに越したことはないのでレンズも明るいものを使う。今回は小さな水槽に寄って撮ることも考慮して標準画角の30mm F2.8マクロと寄れる中望遠の42.5mm F1.7を選択。

いつもiPhoneで撮影する妻は流石に水族館では撮れない範囲が広いと思われるので、明るくて130gと軽い42.5mmは、小さくて200gしかないLUMIX GM1に装着して彼女に貸すことにする。ストラップ込みで重量たった360gなので、2台持ちでも負担になりにくい。
ズームできないので撮影範囲の調整には戸惑っていたようだが、「流石にiPhoneより綺麗に撮れる」と満足してもらえたので持って行った甲斐があった。
ただ、暗いエリアのクラゲを撮ろうとした時にAF補助光が水槽に反射してピントが合わない問題があった。補助光を切ってクラゲは撮影できたが、より暗い深海エリアではコントラストAFの限界域を下回りまともにピントが合わなくなってしまった。この辺は低感度に弱いマイクロフォーサーズの限界だろうか。
もっと明るいレンズが欲しくなるような気もするが、F1.2シリーズでは高価な上に最大撮影倍率が低いので寄って撮りたい時には使えないし、それ以上に寄れるレンズはF2.8からとなる。それを考えると最短31cm(撮影倍率0.4倍相当)の42.5mm F1.7は水族館用にはベストチョイスかも知れない。

ピントの問題だけでなく、水族館の撮影では水と水槽による屈折が問題になる。真正面に近い角度で捉えないと、ピントが合っていても収差による色滲みなどでぼやけた写真になってしまう。

食事

漁港の付近だけに、この付近には海鮮系の食堂が多い。地元の名物料理はどうやらカジキらしく、イオンモールの橋を渡ったところにある「美食ホテル」はカジキ料理の店ばかりだった。
おすすめは「いわきら・ら・ミュウ」。ここは魚市場と食事処の複合施設なのだが、魚市場側では串焼きの店舗やその場で買った海鮮を焼いて食べられるバーベキュー場などもある。
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www.lalamew.jp
館内のレストランには海鮮丼や天ぷら、煮付けなどの店が並ぶ。その中の、刺身と煮付けの店「さかな処 まさ常」で食べたドンコの煮付けが絶品だった。柔らかい身もぷるぷるの皮も美味しいが、なんといってもとろけるような肝は一度ならず味わいたい。
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TeamLab☆Planetsを撮る

豊洲TeamLab☆Planetsに行ってきた。
華やかなイルミネーションで幻想的な光景が撮れることで知られる体験型施設である。
planets.teamlab.art

料金

季節によるが大人3000円ほどの通常チケットとその倍額ぐらいの優先チケットがあり、入場までの待ち時間が異なる仕組みになっている。とはいえ連日完売の台場TeamLab Borderlessに比べ豊洲Planetsの方は余裕があるようで、平日朝一番の時間を狙ってみたところほとんど待たされることなく入場できた。休日の昼過ぎ頃など混みそうな時間帯でなければ大丈夫かも知れない。

用意

重要なこと:この施設は水を使ったアトラクションであるため、 内部には首から下げられるカメラ、もしくはスマートフォン(首かけ紐のついたビニールケースが貸与される)以外の荷物を持って入場することができない。また成人の膝下ぐらいまで水に漬かるエリアがあるため、予め膝上丈の衣服で来るか、あるいはレンタルのハーフパンツに穿き替えることになる。
また一部エリアでは床が鏡になっているためスカートの中が見える。こちらも予め下に何か穿いておくか、レンタルのハーフパンツを着用しよう。
施設内は裸足で歩くことになるので靴下も履かずに来た方がいいだろう。

時間

朝9:00-9:30入場のチケットを買って待機列に並び、退場したのが11時前ぐらい。中でどれぐらい滞在するかによるが、だいたい1時間半前後で出てくる感じだろうか。

内部

ここから先はネタバレになる。驚きも体験の要素なのであまり説明しない方がいいのかも知れないが。

中は基本的に真っ暗である。ところどころ照明によって彩られているが、ほかは床も壁も天井も黒い。視覚ではなく足裏の触感を頼りに進むことになる。
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ほどなく通路の先から水が流れてくる。足を浸しつつ緩やかな坂を登ると、突き当たりは滝になっている。
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足を拭いて先へ進む。

人を駄目にする部屋

床全体が人を駄目にするソファでできた部屋を越えてゆく。足元を取られて進みにくい上に沈み込むと気持ち良いのでつい駄目になるが、他の人に踏まれないよう壁際で駄目になること。

万華鏡の部屋

天井から無数のLEDライトが下げられた全面鏡張りの部屋。刻々と色を変える光点が繰り返し反射して無限の光彩を作り出す。
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LED自体にピントを合わせても面白みは少ないので、むしろ積極的にピントをボカした方がいいかも知れない。
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ピントを合わせる時は、上や下に向けて消失点を入れるようにすると広がりが出る。
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これは飽和してソラリゼーションみたいになったのが面白かった。
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色彩の水辺

膝下まで水に漬かる部屋。乳白色の水にプロジェクションマッピングで色とりどりの線や魚などが投影され、揺れ動く。娘はこれが一番気に入ったようだった。
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球体の部屋

ぼんやりと光る大きな風船を掻き分けて進む。ちらりと写る人影でサイズ感が伝わるだろうか。
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花びらのドーム

半球形の部屋。床は鏡になっている。
他の部屋では「座らないでください」と注意されるが、この部屋のみ寝転がることが認められている。
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この部屋は他よりも暗く、手持ちではなかなか厳しい。人が写ることを恐れないならばカメラを床に置いて長時間露光するのもいいかも知れないが、如何せん光は無秩序に動き回っているので、画になるかどうか。

出口へ

ここを出ると、ほどなく元のロッカールームへと戻ってくる。荷物を取って退出。

その他

待機列の隣には売店があり軽食や飲み物が買える。
外の待機列はテント屋根こそあるものの気温対策は冷風機と配布しているミネラルウォーターぐらいのもので、暑い日に長時間並ぶのは辛そうだ。人の少ない曜日/時間帯を狙うか優先チケットを手配した方がいいかも知れない。
ただ、平日朝一番となると丁度通勤時間帯と被るため満員電車で向かうことになる。入る前から疲労するのは(特に子供連れなら尚更)避けたいところ。
中は涼しく、水に漬かるので気持ち良い。ただ1時間以上歩くことになるので、遊んでいる時は夢中で気付かないが結構体力を使っているようだ。
カメラはスマートフォン(貸し出しのケースに収まらないのでタブレットは不可)、あるいはネックストラップ付きのカメラならば可だが、内部でのレンズ交換はできないものと思った方がいい。一眼レフなど大きなカメラが許可されるかどうかはわからない(小型のミラーレスは問題なかった)。
2年間しかやってないらしいのでお早めに。また行きたい、けどその前にTeamLab Borderlessの方も行きたい。

光の散乱を楽しむ、オールドレンズ遊びのための「宝石レンズ」


宝石レンズと呼ばれる特殊レンズがある。
www.illuminaopt.com

マニュアルフォーカスレンズの内部、たぶん後玉の前あたりにカッティングされた宝石を取り付けたもので、これによってレンズ内部で光が散乱し、他のレンズでは見られないほどはっきりしたフレアやゴーストが得られる。いわゆる「オールドレンズ」遊びに於いて好まれるような性質を極端にしたものだ。



宝石のカットパターンや色によって色の乗りや散乱の出方も変わる。1枚目の青いものはサファイアの入ったレンズで、2〜3枚目のものはルビーの入ったレンズで撮影している。

このように、普通のレンズではちょっと出ないような色かぶりと派手な散乱光こそが宝石レンズの持ち味で、このエフェクトを得るためだけの特殊なレンズとして、一種のフィルタのように使うことになるだろう。

もっとも、フレアが生じるのは逆光に近い角度で光が差し込んでくる時だけなので、それ以外の条件下では案外普通のレンズとして使える(中央に光を遮るものがあることでボケがリングボケや二線ボケになることを気にしないならば、だが)。

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ただし、普通のレンズとは決定的に使用法が異なる点がひとつある:絞りの機能だ。

宝石レンズは、絞り開放ではさほど強いエフェクトを生じない。しかし絞ってゆくと光が強まる。そして、絞り続けるとそのうち開口部の径が宝石よりも小さくなり、つまり光がまともに入ってこなくなり何も見えなくなってしまう。
手持ちのレンズのうち、MD ROKKOR 50mm F1.7を改造したレンズの例を示す。

F1.7 F2.8 F3.5 F4 F4.8 F5.6 F6.7 F8 F9.6 F11 F16

このように、絞ることでフレアの出方が変わる。ただ、F5.6あたりからは被写体がはっきり見えなくなり、F8ぐらいになるともうルビーの赤い色しか見えなくなっている。
従ってこのレンズでは絞りを被写界深度の調節を目的に使うことが難しく、主にエフェクトの強さを制御するために使うことになる。

効果的なエフェクトの出し方には慣れが必要だが、概ねレンズに対する光源の角度が重要なポイントとなる。
下に簡単な実験を示す。
これは手持ちのLEDライトを用い、被写体とカメラの位置を固定したまま、ライトの照射角のみを真正面(逆光)から被写体の真横までずらしていったものだ。

厳密に角度を測ったわけではないし、恐らく宝石レンズの元となったレンズによっても発生角度は異なると思うが、だいたいのイメージとして捉えて頂くと良いだろう。
なお、端の方にギリギリでエフェクトが残るぐらいの角度にセットした状態と、それを上から撮影したカメラ=被写体=光源の位置関係を示す写真が次の2枚となる。

なにぶんフレアを生かすレンズであるため撮影条件はかなりシビアで、基本的には水平に近い入射角の日光が期待できる日の出直後や日没前のわずかな時間にしか使いどころがないが、その代わりうまくハマった時の効果は他のレンズでは得られないドラマティックなものとなる。
また夜間でも照明を逆光気味に入れれば結構フレアを出すことができるので、このレンズを付けて夜の街に繰り出してみるのもいいかも知れない。
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サマーナイトミュージアム×東京メトロ「7つの謎解きミステリーラリー」

夏休み期間中、都内の美術館・博物館では金曜日の夜に閉館を21時まで延長し、また入館料も割引するサマーナイトミュージアムを実施している。
これに連動して、都内の国立・都立、7つの美術館・博物館を巡り謎を解くラリーイベントが開催されている。
mysteryrally.com
これを書いている時点では私もまだ最後まで解いていないのだけれど、思ったよりも時間がかかる上に会期の終わりまであまり間がないので、今のうちにお勧めしておこうと思う。

必要なもの

謎解きに参加するためには、いくらかの準備が要る。

  • 東京メトロ各駅で配布している冊子(A4サイズ)
  • A4の冊子を持ち歩きやすい鞄
  • 鉛筆
    • 美術館内では鉛筆以外の筆記用具が使えないので注意。
  • 入館料
    • 一部の美術館・博物館では入場して展示を確認する必要がある。通常料金で入場するとして合計1800円。
  • 交通費
    • 各館への移動は参加者負担。1日乗車券で回る手もあるが、正直1日で回り切れるとは思えないのでお勧めしない。

といったところか。

謎解きの流れ

最初に、入手した冊子を一通り読んでおこう。まずは館ごとに1ページが割かれ、2/3ほどの面積の文章と1/3ほどの謎が示される(水色枠のページ)。次いで後ろにピンク枠で行くべき場所の案内がある。路線図、各館のアクセス情報と「謎を解いてから行くべき場所」の指示という組み合わせになっている。
場所を把握したら、いよいよ各館に出発だ。水色ページ「Step1」の指示を見て展示品から情報を得ると、行くべき駅の名が示される。その駅で情報を得てもうひとつの謎を解くのがStep2だが、解いては駅に行くのでは効率が悪いので、先に7館すべて回ってから7つの駅を巡るのが良いだろう。

あなたがどの路線にアクセスしやすいかにもよるが、最初は2館一気に回れる上野(国立西洋美術館東京都美術館)あるいは恵比須と目黒の間にある2館(東京都写真美術館東京都庭園美術館)あたりからアタックするといいかも知れない。余裕がありそうなら、上野からは日比谷線秋葉原へ出てJRに乗り換え両国で江戸東京博物館、恵比須からだったら六本木の国立新美術館へも接続できる。国立近代美術館のある東西線竹橋駅だけがどちらからもやや行きにくいが、たとえば両国から錦糸町へ出て半蔵門線で大手町→竹橋とか、乃木坂から千代田線で大手町→竹橋といったアクセスが考えられる。

ただ、正直なところ謎解きはかなり難易度が低く、それを主体に全力で楽しむような感じはあまりない(まだ最後まで解いていないので最終的な手応えについては書くことができないのだが)。なので、「謎解きのために行く」というより「普段行かない美術館に足を運ぶきっかけ」ぐらいに捉えて、それぞれの館を楽しむことを中心にした方が良いと思う。どの館も公立の大手美術館であり収蔵品も多いので、一通り見るだけでも1時間では収まらないぐらい時間がかかるはずだ。特に上野は、謎解き館の2館以外にもふたつの博物館と動物園まであり、これだけで1日では終わらないぐらい密度が高い空間だ。そういった沢山の楽しみをスルーして謎だけ解くのは勿体ない。

まあそうは言っても9月半ばでラリーの会期が終わってしまう前になんとか情報を回収したいところではあるので悩ましい。
美術館の中で常設の展示品ではないものが謎に関わっているのは竹橋の国立近代美術館のみ、また美術館の謎を解いた後で回収すべき駅の情報のうちで会期中にしか掲示されないものは第一の謎(国立西洋美術館)のみなので、この2箇所さえ先に押さえてしまえば会期終了しても解けそうなものではある。
しかし、すべてを解いた後の最終問題が特設Webサイト上にしかないので、これが会期終了時点でクローズされてしまうとすれば期間中にしか解けないのかも知れない。

各館の紹介

今回巡る各館を簡単に紹介しておく。

国立西洋美術館

JR上野駅 公園口改札を出て上野公園に入るとすぐ右側にある、東京文化会館向かいの建物。装飾を廃したそっけない造りを特徴とするモダニズム建築の第一人者ル・コルビュジェによる設計で、建物自体が代表作として世界遺産登録されている。
川崎造船所社長だった松方幸次郎のコレクションを中心とした西洋美術400点ほどを中心に展示されており、特にロダンの彫刻やモネの油彩などが多い。

東京都美術館

日本で最初の公立美術館として大正末期に開館したもので、コレクションの展示だけではなく企画展やワークショップ、作家の登竜門となる公募展などを総合的に運用する美術館として運営されている……らしい。謎解きに必要なのは館外の彫刻展示のみだったので中を見ておらず、詳しい説明ができない。
煉瓦壁の直方体を連ねたシンプルな外観に、大きく設けられたガラス窓から見える通路壁の鮮やかな色彩が映える。

国立新美術館

東京都美術館のコレクションが増えすぎて公募展の場所がなくなってきたなどの理由から、「独自のコレクションを持たない純然たる貸し館」として建てられたもので、現在はルーヴル美術館展、荒木飛呂彦原画展が開催されており混雑していた。
建物としては、黒川紀章設計による、波打つガラスウォールのエントランスが特徴的。

東京都庭園美術館

皇族の邸宅および庭園だったものが戦後に払い下げられたもので、美術館とはいうが美術品の展示を目的とするものではなく、館そのものがアール・デコの粋を凝らした美術品である。館内の公開期間は限られるが、入口のルネ・ラリックによるガラス彫刻などは見ることができる。
docseri.hatenablog.jp

東京都写真美術館

写真および映像専門の美術館で、1階は映画館として館の選んだ作品を上映しており、2階・3階がそれぞれ展示室になっている。
建物の内装自体が白と金属に統一されているのは、モノクロの写真を意識しての設計なんだろうか。
docseri.hatenablog.jp

東京国立近代美術館

明治から現代までの美術品を展示する館。展覧会の場ではなく美術品を収集しコレクションを常設する形の美術館として国内で最初のものであったらしい。
外苑から皇居を望む景観そのものを展示するかのような「眺めの良い部屋」など、建物としてもちょっと面白い。
また少し離れた場所に煉瓦造りの旧近衛師団司令部だった建物を使用した別館「工芸館」があり、同じチケットで入館できる。

江戸東京博物館

両国駅の隣りに鎮座する異様な巨大建築。今回の参加館で唯一の博物館で、江戸時代から現代までの東京の文化風俗を展示している。内部には1/1スケールの建物が複数再現され、内部を見て回ることもできる。
両国駅は東西に改札があり、西口から出るとすぐ博物館だが東口からはかなり大回りとなるので注意。

1日で全館回るプラン

どうしても謎解きだけ最短でやりたい、という人のためにプランを考えてみた。
入館してから謎を解いて出てくるまで30分として、駅から美術館までの移動時間と駅間の移動時間を計算してゆく。

いちおう、これで7館ぜんぶを1日で巡ることが可能である。ただし途中での休憩どころか昼食すら予定に組み込んでいないので実際にはもっとかかるだろうし、目的の展示以外何も見ない前提だし、その上でこの後さらに7駅を巡る必要があるので、まあ1日でやるのは諦めた方がいいと思う。

初めてレンズ交換式カメラを買う人のためのレンズマウントまとめ

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スマホで手軽に撮る写真に満足できなくなった時のステップアップとして、一眼レフやミラーレスなどの「レンズ交換式」カメラの購入を考える人は多い。
本体のレンズで撮れる範囲で済ませるしかなかったレンズ固定式のカメラと違って、レンズ交換式カメラは取り付けるレンズ次第で写りが変わるので、一台でなんでもできるし、表現の幅が広い。
その一方で、たくさんのオプションがあるために何を買ったらいいのかわからなくなりがちでもある。なにしろメーカーごとにレンズの取り付け方式が違っているし、同じ方式であっても使えるレンズと使えないレンズがあったりするので、慣れないと混乱する。
その辺りの事情を、すこしでも解りやすく整理できれば、と思ってこれを書いている。

レンズマウントの基本

レンズ交換式のカメラは、「レンズマウント」によって本体とレンズを接合する。これによって自由にレンズを付け外しでき、様々なレンズが扱えるわけだ。
ところが、レンズマウントには様々な種類があって、メーカーごとに採用している形式が違う(これにはカメラの発展史に伴う様々な理由があるにはあるのだけれど、一番大きな理由は要するに「他社の製品を使わせないため」だ)。
だから基本的にはカメラ本体を買ったら、レンズも同じメーカーのものを買うことになる……のだが、これにも色々と例外があって、たとえばカメラーメーカーとは別にレンズだけ作っているメーカーがあったり、同じメーカーにも複数のレンズマウントが混在していたり、逆に複数のメーカーが同じレンズマウントのカメラを出していたり、さらには同じレンズマウントなのに組み合わせられないカメラ/レンズがある場合もあったりしてややこしい。

レンズマウントごとの特徴

要するにレンズマウントの種類ごとに使えるレンズが決まってしまうわけで、ある意味本体の性能よりも「使いたいレンズが付けられるカメラはどれか」の方が重要とすら言える。もちろん、はじめてカメラを買う時にレンズのことがわかるはずもないので、最初は漠然と「使えるレンズは多いに越したことはない」ぐらいに捉えておけばいいと思う。
参考までにマウントごとの対応レンズ数を記載するが、こちらは2018年8月15日現在の、価格com「交換レンズ」カテゴリに於いて各レンズマウント用として表示される総数を記したものであり、価格comに登録されない商品の数は含まれていないので、実態とは多少の差があることに注意。

そういうわけで、レンズマウントごとに特徴を見ていこう。といっても、ほとんどのマウントはメーカーごとに違うので、メーカー単位でマウントを見てゆく感じになる。

なお、この記事はあくまでカメラ初心者に向けて書いているつもりなので、いきなり手を出すことのなさそうな中判カメラやライカなどについては割愛する。

ニコン

Fマウント(対応レンズ364本:うちAPS-C専用76本)

35mm判フィルムカメラ時代からずっと変わらず使い続けている、一眼レフ用としては現役最古のマウント。プロを中心にユーザが多いため交換レンズが豊富で、安価なものから超高価なものまで選択幅が広い。
デジタル一眼レフでは35mm判フルサイズ機(FX)とAPS-C機(DX)の2種類があり、レンズの中にはAPS-C専用のものがあるので注意。
現在、一眼レフと競合する新マウントのフルサイズミラーレス機の発表を控えており、今後Fマウントを継続展開するのかどうかは不明。

Nikon 1マウント(対応レンズ22本)

1インチセンサーを採用した小型ミラーレス一眼用マウント。レンズ交換式としては初めて専用ケーシングなしで防水を実現するなど意欲的な試みも見られたものの、レンズ本数が非常に少なく、そのため最広角でも27mm相当、魚眼レンズもないなど選択肢が狭い。2017年を以て販売終了。

Zマウント(対応レンズ3本)

Fマウントを置き換える、新規格35mm判フルサイズミラーレス一眼用マウント。Fマウントで制限要素となっていたマウント径を広げ新時代の光学性能を謳うが、現時点では高価な製品しかなく、手を出しにくい。

キヤノン

EFマウント(対応レンズ308本:うちAPS-C専用68本)

35mm判フィルムカメラ用のマウントとしては最後発で、そのぶん電子化時代を見据えたマウントとして長く活躍してきた。ニコンFマウント同様にプロユーザが多く、選択幅が広い。
デジタル一眼レフに35mm判フルサイズ機とAPS-C機の2種類があるのも、APS-C専用レンズ(EF-S)があるのも同様。

EF-Mマウント(対応レンズ:45本)

こちらはAPS-Cミラーレス一眼用マウント。EFマウントに比べてずいぶんレンズが少ないが、どうも主力である一眼レフと社内競合しないようにわざと少なくしているようだ。
他社がほとんどソニー制の撮像素子を採用する中で独自に撮像素子を自社開発しており、全画素をそのまま像面位相差センサーとしても利用できるオートフォーカス技術により「ミラーレスでも一眼レフ並みの合焦速度」を謳う。

RFマウント(対応レンズ4本)

ニコンZ同様に35mm判フルサイズミラーレス一眼用の新マウントとして発表。従来のEFマウント機との関係性がどうなるのかは今のところ不明。

リコー・ペンタックス

Kマウント(対応レンズ156本:うちAPS-C専用67本)

35mm判フィルムカメラ用のマウントで、何度も小改修を続けたらしく細かく見ると同じマウントにも色々と差があるのだが、まあ基本的には電子制御のレンズについては気にしなくて大丈夫……だと思う。
例によって35mm判フルサイズ機とAPS-C機があって、レンズもAPS-C専用のDAと35mm判対応のFAがある。

Qマウント(対応レンズ9本)

コンデジと同じ小さなセンサーを使った小型ミラーレス一眼用マウントで、マウントは同じだがセンサーサイズが2種類(1/1.7型と1/2.3型)あるため同じレンズでも画角が変わるので注意。なお2014年以降、新たな製品が登場しておらず、公式なアナウンスはないが展開を終了したものと思われる。

GXR(対応レンズ5本+α)

撮像素子とレンズを一体化したユニットごと交換する特殊な方式のミラーレス一眼。これによってレンズのサイズを抑えたまま、大型センサーで解像度の高い短焦点距離レンズや小型センサーでズーム倍率の高い望遠レンズなどを特性に合わせて使い分けられ、しかも一体型なので水や埃に強いという画期的な製品だったが、特殊すぎてレンズわずか5本で終わった。なおライカM42マウント用ユニットが存在したため、手軽なライカレンズ母艦として一部マニアに人気があったようだ。

ソニー

Aマウント(対応レンズ165本:うちAPS-C専用39本)

ミノルタ時代から引き継いだ一眼レフ用マウント。もちろん35mm判フルサイズ機とAPS-C機があって、APS-C専用レンズがあるのだが、なぜか他メーカに比べAPS-C用の比率が低い。
半透過ミラーによるミラー動作なしのレフレックス機構など新機軸を取り入れてきた意欲的なラインだったが、近年ソニーは一眼レフ路線からミラーレスへの移行に本腰を入れたため、こちらは今後フェードアウトしてゆくものと思われる。

Eマウント(対応レンズ173本:うちAPS-C専用30本)

こちらはミラーレス一眼用のマウント。当初は他メーカー同様にAPS-Cサイズのミラーレスを展開していたのみだったが、途中から「他社一眼レフに競合する本気の35mm判フルサイズミラーレス」路線を打ち出し全力で展開を始めた。そのぶんだけAPS-C用レンズは抑えられている(マウントは共通のためフルサイズ用レンズをAPS-C機で使うことも可能であり選択肢は広いものの、サイズと価格が問題になる)。
余談ながらαはAPS-C機では珍しく、最新のα6300より前の機種ではモニターにタッチしてフォーカス位置を決める機能がないので、ピント位置変更がちょっとやりにくい。

シグマ

SAマウント(対応レンズ56本)

シグマは交換レンズメーカーとして知られるがカメラの製造も手がけており、独自構造の撮像素子を製造するFoveonを買収し自社製品に搭載している。
SAマウントは一眼レフ・ミラーレス共通のマウントで、撮像素子のサイズに関わらず共通のレンズが使える……というか、つまり35mm判フルサイズ用のレンズしかない。
2018年9月、他社規格への参入とSAマウントの終了を発表。

富士フイルム

Xマウント(対応レンズ97本)

APS-Cサイズのミラーレス一眼用マウント。キヤノンソニーと異なり社内競合となる一眼レフ機のラインを持たないため心置きなく全力で取り組むことができ、他社APS-Cミラーレス機よりも対応レンズ数が多い。
また、フィルムメーカーであるため独自のフィルム発色再現機能を持っており、フィルムカメラの愛好家にファンが多い。

オリンパスパナソニック

これはちょっと特殊で、単一メーカーの独自規格ではなく複数メーカーの共同規格のため、異なるメーカー製品で互換性がある。

フォーサーズマウント(対応レンズ35本)

コダックが中心となって策定した一眼レフ用マウント。既に展開を終了している。ミラーレス用の現行規格であるマイクロフォーサーズとは直接の互換性がないことに注意。

マイクロフォーサーズマウント(対応レンズ188本)

こちらはオリンパスパナソニックが中心となった、世界初のミラーレス一眼用マウント。写真用カメラだけでなく動画用カメラやクアッドコプター搭載カメラなどにも採用されている。
メーカーごとの互換性があるため対応製品が多く、ミラーレス機では最も選択幅が広い。センサーサイズが35mm判フルサイズの縦横半分になるため画角に対する焦点距離が2倍換算となり、レンズがぐっと軽くコンパクトになるのが特徴。
また他のマウントと比較してボディ内手ぶれ補正機能とセンサーのダスト除去機能(特許を押さえている)の強さには定評がある。

イカ

「初心者向け」なのでライカには触れないつもりだったが、2018年9月にライカのミラーレス規格にパナソニックとシグマが参入することが発表され、比較的安価な国産品が入手可能になる可能性があるため、例外的に扱う。

Lマウント(対応レンズ15本)

イカ独自のミラーレス規格。35mm判フルサイズの「SL」とAPS-Cサイズの「TL」があるがマウントは同一。
なお古いライカにも「Lマウント」と呼ばれるものがあるが、こちらはネジ込み式でまったく規格が違うので注意。

レンズマウントアダプター

レンズはそれぞれにマウントの規格が違うため取り付けられるレンズの種類がカメラによって決まっているが、「どうしてもこのレンズだけは使いたい」というようなこともある。その場合には、取り付け部の構造を異なるマウント用に変換するアダプターを使うことで、非対応レンズを使用することもできる。
ただ、これにも制約があるため、あらゆるカメラにあらゆるレンズ用のマウントアダプターがあるわけではない。大雑把に言えば「一眼レフのレンズをミラーレスのボディに付けるアダプターはあるが逆はない」「小さなレンズを大きなセンサーのカメラに付けると周囲が写らない」。
また、アダプターがあっても電子接点がないとオートフォーカスなど電子的な制御の必要な機能が働かなかったり、働いたとしても純正レンズのようには動作しなかったりする。あくまでイレギュラーな手段と割り切ろう。

画角と距離とセンサーサイズ

レンズには焦点距離というものがある。これは「撮像面からレンズ主点までの距離」なんだけど、重要なのはそれが「画角」、つまり撮影範囲を意味するという点だ。
二等辺三角形を描いてみよう。底辺が撮像面、頂点がレンズの主点だ。
撮像面から主点に向かう2本の直線を延長する。この範囲がつまり、レンズを通って撮像面に映る範囲の角度になる。これが「画角」だ。
焦点距離が長くなると、そのぶんだけ画角が狭くなり、短かくなれば広くなる。そういう関係性であることが理解できればいい。
ズームレンズはそうやって、レンズを動かして主点の距離を変えることで画角を変更しているわけだ。

ところで画角は焦点距離だけじゃなくて底辺の大きさでも変化する。同じ焦点距離でも、底辺を広げれば画角も広がり、狭くすれば画角も狭くなる。つまり、撮像面のサイズが変わると同じ焦点距離のレンズでも画角が変わってくる。
具体的には、35mm判フルサイズの画角に対して、撮像面が狭いAPS-Cサイズでは実質的に焦点距離が1.5倍(キヤノンの場合は更に若干狭くて1.6倍)、フォーサーズだと2倍相当になる。たとえば35mm判で50mmと同じ範囲を写すレンズは、APS-Cなら35mmぐらい、マイクロフォーサーズでは25mmということになるし、50mmをAPS-Cで使うと75mm、マイクロフォーサーズでは100mm相当のレンズになる。まあ変わるのは画角だけで、レンズの明るさやボケの強さなんかは焦点距離相応なんだけども。
ということを覚えておくと、「異なったカメラ間で同じぐらいの性能のレンズを比較する」時なんかに役立つ。

一眼レフとミラーレス

この2つの何が違うかというと、「どうやってレンズが映す像を確認するか」だ。
一眼レフは、レンズの後ろに斜めのミラーを置いて撮像面への光を遮り、それをファインダーへ送って直接レンズから来る光を目で見る。元々、フィルムカメラの時代には撮像面に光を当てるのは撮影の瞬間だけだった(光を当てた瞬間に像が焼き付けられる仕組みな)ので、それまで遮っておける形式は都合が良かった。
それに対しデジカメの場合は撮像面に光を当てっぱなしでも問題なく、像の確認も単に撮像素子の捉えた映像をモニターに映せば済むので、撮像面への光を遮る仕組みも、レンズの光を目で直接見るための仕組みも必要ない。
デジタル時代にフィルムカメラの方式をそのまま流用していた一眼レフから、デジカメには不要な機構を省いて元のやり方に戻したのが「ミラーレス一眼」だ。逆に言えば一眼レフとミラーレス一眼は、ミラーがあるかないか以外では基本的な構造に差はない。

でも一般に「一眼レフの方がミラーレスより高性能」と思われている。それには色々と理由があるのだが、まあ要するに「今までは一眼レフの方がミラーレスやコンデジよりも高性能になるように差を付けていた」といったところで、本質的に一眼レフがミラーレス一眼やコンデジよりも優れているというわけではない。だから「フルサイズミラーレス」など一眼レフと差のないミラーレス一眼が作られはじめると実質的な差はなくなり、むしろ「撮影の直前まで撮像素子を遮る」一眼レフでは事前の画像解析による機能、たとえば「人物の顔を識別して目にピントを合わせる」などミラーレスならばできることができないといったデメリットの方が大きくなってきた……というのが現在の状況。